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MF文庫J

キミに捧げる英雄録 1.立ち向かう者、逃げる者 ★★★   



【キミに捧げる英雄録 1.立ち向かう者、逃げる者】  猿ヶ原/こーやふ MF文庫J

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熱さとエモさ爆発の新時代ファンタジー!

精霊が紡ぐ「英雄録」──それは、この世界の誰もが憧れる至高の英雄譚がいくつも記されている書物。何の取り柄もない僕アイル・クローバーは、英雄録に「主役(えいゆう)の一人」として名を刻んだ同郷の英雄ベルお姉さんに「私の弟子になってみない?」と持ちかけられることに。「他の誰も期待してなくても、私だけはアイルちゃんに期待している」。その言葉を糧に、姉弟子シティさんとの絶望的な実力差や魔導書イゼゼエルとの悪夢の関係に直面してもあがき続ける。主役と端役、期待と絶望、臆病と無謀──言い忘れてたけど、これは僕が「最高の主役(えいゆう)」になる物語だ。

臆病ってのは戦場に立つ者の資質としては決して悪いものではない。無謀に身を任せてしまう事もないし、慎重に用心深く立ち回ることが出来る。生き残るための資質として臆病というのはむしろ有用な性質と言えるだろう。
でも、アイルのそれは臆病は臆病でもただのビビリでただのヘタレだ。怖いことがあれば目を伏せて、恐ろしいことがあればうずくまって、震えて動かず怖い何かが通り過ぎていくのをひたすら待っているだけの、根性なしだ。怯え縮こまり迫りくる危機からも現実からも逃避する。小心者だ。
いやさすがにこれはヒドい。何者にもなれず、何者にもなろうとしない、こんな少年が主人公というのはさすがに見ていてキツかった。なんで、主役になりたかったんだろう。こういう自分を変えたいから主役に成りたかったのか、それとも主役に成りたかったからこういう自分を変えたかったのか。
その辺、語られていただろうか。ちょっと記憶に残っていない。
何故か、そのアウルを幼馴染のお姉さんは期待している、と目をかけていた。そして十年経ってなおそれは変わらなかったらしく、英雄になった彼女はアウルに弟子になってと声をかけてくる。そんなベルお姉さんの期待に縋るように、彼は主役になるための旅に出るのだった、無謀にも。
だって、十年間このアウルくん、何か一人で変わろうと努力していた様子ないんですよね。何か鍛えてた? 何か克服しようと積み上げていたものはあった?
なにもないまま、手ぶらでベルの元を訪れるのである。あれだけ卑屈に自分の在りようにまったく自信を持てないままで。
……なんでこの子が選ばれたんだろう。なんでベルはこの子に目をかけたんだろう。真剣に謎であり、疑問でした。
その疑問に対しては、ちゃんと相応しい答えが用意されていて、ヘタレのアウルだからこそベルが求める相手だった、という合理的な理由ではあったんですよね。それはそれで、ヒドい理由であり、いくら卑屈で根っから惨めさをまとっているようなアウルにしても、怒って然るべき理由だったのですが。
でも、それ以前になんでこの子強くなれたんだろう。彼が奮起し、自分の中の臆病者としての方向性を転換することが出来た、覚醒できたその前の段階から、彼はぐんぐんと強くなっていってるんですね。それは、魔導書イゼゼエルというイレギュラーであり悪魔であり相棒である彼と出会ってしまう、その前から。
なにもないアウルでも、あんな簡単に短期間に、メチャクチャ頑張ったとはいえそれは誰でも出来る範疇の努力だったはずなのに、なんでか強くなるんですよ。普通の兵士の何十人分何百人分とかいうなかなか突拍子もない基準の数値で表示されながら。
いやいや、こんな子に勝てない、というかまとめて蹴散らされる普通の兵士ってなんなんだろう。ベルから強くなるためのアイテムを渡されたお陰でもあるんですけど、それこそ普通の人からしたらなんかズルい代物だよなあ。
アウルに与えられていた役割は、まあヒドいものでした。でも、直接陥れられたとか謀略によって嵌められたというわけじゃなくて、結局これってただの実力差であり本人の力不足であり自覚のなさが要因なんですよね。そこまで、悪辣な話だとは思わない。与えられた舞台で踊れなかった方が悪いと言うだけの話じゃないか。
そして、アウルはその舞台でちゃんと自分で踊ってみせた。それだけのことである。それだけの事を成し遂げることがどれだけ大変か、という話でもあるんだけれど、アウルには十分お膳立てが成されていたわけですし、ベルの思惑と違ったとしてもわりと至れり尽くせりな立ち位置だったんじゃないだろうか。
臆病者が勇気を出した。それは称賛されるべき事だとは思うけれど、悪者が偶に善行を施したら注目され褒められる、みたいな感じで真っ当に頑張り勇気を出していた、まとわりつく視線や期待に藻掻いて藻掻いて、それを振り払ってみせたシティちゃんをもっと褒めてッ。
まあそんな感じであんまり主人公に好感を持てなかったので、後半の展開は多少驚くところもあったけれど熱く感じるとかまではいかなかったかなあ、というくらいで。


聖剣学院の魔剣使い 7 ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い 7】  志瑞祐/遠坂あさぎ MF文庫J

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10歳児に転生した最強魔王とお姉さん達の学園ソードファンタジー第7弾!
「――〈海王〉リヴァイズ・ディープ・シー!?」海の底に眠る〈天空城〉で、竜王ヴェイラが遭遇したのは、古代の海を支配した最強の魔王だった。火花散らし、激突する二人の魔王。一方、レオニスの所属する第十八小隊は〈帝都〉で開催される聖剣士の武闘大会、〈聖剣剣舞祭〉に参戦することに。復讐のため魔王の配下となる咲耶、王家の宿命に導かれるレギーナ、〈魔剣計画〉の裏で暗躍する、フィレット家と戦う覚悟を決めたエルフィーネ。それぞれの因縁を抱え、舞台は人類最後の絶対防衛戦――帝都〈キャメロット〉へ。嵐の前に静けさはない。嵐の前には〈魔王〉が来る――!!


こうしてみると、セリアの部隊のメンバー。リーセリアにレギーナ、エルフィーネ、そして咲耶と四人ともそれぞれに並々ならぬ事情を抱えているんですよね。四人とも高貴な身分でありながら、その立場を失ってしまっている身でもある。エルフィーネは厳密には違うけれど、密かに実家とは対立しているわけですしね。
各々の事情については、これまでだいたい一人にスポットをあてて一巻ほど掛けて描いてきたわけですけれど、帝都での大規模イベント〈聖剣剣舞祭〉に参戦する事になったのを期にみんなの抱えている問題が一堂に会する形で浮き彫りになってきた感がある。
その中心はエルフィーネが探っている魔剣計画とそれを主導していると思しきフィレット家。ついにアンタッチャブルだったフィレット伯爵家、実家の父や兄たちと対決する覚悟を決めたエルフィーネを裏面に、表側では特別招待枠として参加することになった〈聖剣剣舞祭〉。という事になっているけれど、レギーナも実の姉妹であるはずの王族と対面することになり、咲耶も一族の行く末をかけてレオニスが化けている魔王の配下として、帝都で暗躍することになり。と、せわしなくなっている一方でリーセリアに関しては、家の事情関係なく話が進むのかな、と思ってたんですよね。
セリア自身は、レオの第一の眷属という立場がヴェイラの再びの登場で脅かされて、なぜかレオにくっついて眷属と名乗るヴェイラと張り合ってしまい……という感じにレオとの関係の方で忙しそうにしていたんでねえ。クリスタリア公爵家の生き残り、という立場故に特別招待枠で武闘大会に参戦することになった、という事情だけで実家関係の話は十分大変そうだっただけにセリアについてはそれ以上クリスタリア公爵家云々の話は掘り下げられないかな、と。少なくとも実際に大会がはじまるまでは関係ないかな、と思っていたのですが……。
ラストで思いっきりひっくり返されてしまいましたよ。正直、その人物の登場は結構驚いた。
なかなか怒涛の展開になってきていて、それだけこの帝都編が山場という事なのでしょう。そろそろ、黒幕の正体と目的についても暴いてきてほしい頃合いだっただけに、ここに来てのストーリーの激しい動きようは大歓迎である。敵の正体はもとより、いったい何を目論んでいるのか、何をしようとしているのかがわからないまま、というのはひたすらに受け身で居続けないといけない状態でもありましたからね。
不死王レオニスの復活を、敵側に今の今まで悟られていない、というアドバンテージもあったので一方的に受け身だった、というわけでもないのですけれど。
おかげで、わりとレオニスはこれまで呑気に過ごしているんですよね。帝都に来たら来たで普通に観光気分ですし。シャーリーが届けてくれる食べ物レポート、結構重宝してるでしょう、レオくんw
本来の諜報活動よりも、美味しい食べ物探しの方がレポート量多いじゃないか、とツッコミながらもそれを咎めるでもなく、何気に楽しみにしてるんじゃないか、というくらいに読み込んでますし。
それ、普通にシャーリー編纂のイベントや観光スポット、お店情報誌な帝都ウォーカーですよねw
しかも、セリアとのデートでレポートが役に立ったものだから、シャーリーに勲章を授与しようか、とまで悩んでますし。呑気だw

とはいえ、ヴェイラと組んでのリヴァイズとの激突に、最後のあの人物の出現、といつまでも呑気してられなくなったか。風雲急を告げるなかで次回に続く。



クラスに銃は似合わない。 ★★★☆   



【クラスに銃は似合わない。】  芝村 裕吏/さとうぽて MF文庫J

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相棒は拳銃とAIの妹? 芝村裕吏が贈る予測不能の学園潜入アクション!

突然だが、世界初の完全無欠のAIな妹を持つ兄は、高校生になると何を始めると思う? 俺は妹・瑞穂の膨大な維持費のため、大金を稼げる殺し屋になる…はずだった。だけど会社が自分の仕事適正を護衛と見いだしたから、今俺は中学校に潜入し、ある少女を秘密裏に守る任務を遂行中だ。コードネームはPP01。そしてなぜか相棒は妹(口うるさい)。妙に可愛過ぎる護衛目標に接近(仕事だ)すると、妹がぎゃーぎゃーと騒ぐ(やかましい)。ちょっと都合の良いラブコメ展開を期待したが、そもそも甘い任務を用意されるはずがなかったわけで――では、こっそり銃を忍ばせて、クラスで任務を始めよう。

AIの妹って、AIが勝手に妹を名乗ってるとか、実妹が電脳化してしまいAIになってしまった、とかじゃあないんだ。これ、文字通り電脳人類じゃないですか。科学者である父親にとって、ネット上で人体錬成シミュレーションされた非実存にして電脳上に実在している存在。史上初のネットベイビー。それが瑞穂である。さらっと流されちゃってるけれど、ちゃんと自我、人間としての自意識が生まれちゃってるの、どえらい事なんじゃないのか。
この超存在のAI妹の扱いが、日本政府にしても社会にしてもアホすぎる。そんな社会悪に仕立て上げて叩いて終わり、みたいなレベルの存在じゃないし研究じゃないし、結果じゃないでしょうに。
人類の未来が間違いなくネジ曲がる存在だろうに、ほんとに何考えてんだか。なんでここまで物事を矮小化してしまえるのか。
生み出した科学者の父親は社会的に抹殺され、家で役立たずになっているそうだけど、第三国に拉致られても全然不思議じゃなさそうなんだけどなあ。
莫大な維持費、生存費が掛かるという妹のために、死にものぐるいで働きまくっているという母親も結構謎の存在である。いやだって、必要な金額の桁が尋常じゃないじゃないんですよ。スーパーのレジ打ちとかパート業とかで賄える話じゃないでしょうし、一体何の仕事をしてるんだ?
そもそも、この妹の瑞穂って母親からすれば自分関係ないところで夫がこさえてきた娘なんですよね。しかも、非実存。でも、主人公の語り口によれば母親は彼女を実の娘としてちゃんと受け入れ愛していて、だからこそ彼女を生かし続けるために過労死しそうな勢いで働いているわけで……地母神か。
主人公も主人公である。高校一年生、いや訓練期間とかから考えると中学生の段階で関わっていたのか、この裏稼業を営む「会社」とどのようなツテを使って働くことになったのか。何があったら、中学生が暗殺業なんぞを営んでいる会社で働く縁が生まれるんだ?
まあ作者の他のシリーズでも、普通の会社の採用試験受けたら傭兵会社の戦闘単位の指揮オペレーターになってた、などという顛末もあるので、どこに裏稼業の世界に入り込むルートが埋設されてるかわかったもんじゃないのだけれど。
それに彼自身、スペックが意味不明なところあるんですよね。みっちり訓練は受けたみたいだけど、受けたからってあんなに動けるの? それ以前に、周りには舌打ちにしか聞こえないレベルで圧縮された高速言語で妹と雑談してる段階で、ちょっと意味不明なところあるんですけど。この子、常態的に超加速思考を行ってるってことなの? 脳改造とかされたみたいな話全然ないんですけど。肉体的にはノーマルのはずなんですけど。
特に、この主人公、スペックが凄いとかいう話は一切していなくて、やることなすことさらっと流すのでなんか普通に誰でもできる当たり前のことなんじゃないか、と錯覚しそうになるけれど、かなり無茶苦茶意味不明な動きとかしてますからね?

しかして、この少年、現段階ではまだ見習い以前。今回の護衛案件はテストであって、実際の仕事ですらないのである。訓練自体はみっちり受けているからして、素人っぽい戸惑いは一切ないのだけれど、やはり初仕事ということで勝手がわからないところや、自分に適正がないんじゃないか、という疑念を抱えながら探り探りやってるんですね。これを初々しいと取るべきか、それとも実は熟れてるんじゃ、と思うべきか。内面的には迷い悩み、ながらなんですけどねえ。
実際、彼はエージェントでありながら護衛対象の少女である谷城祥子にどんどん感情移入して肩入れしていってしまう。いや確かに彼、あんまりこういう仕事向いてないよ。仕事として徹しきれない、割り切れない。毎度、あれだけ依頼人に情を持っちゃったら持たないぞ。
一見するとクールに徹しクレバーであろうとしているように見えるし、いざとなったら多分本当に「選択」してしまえる、妹の方を優先するだろう「覚悟」を備えちゃっているのがまた苦しいんですよね。感情に振り回される未熟ものなら、情けないで済むのだけど。
下手にプロに徹してしまえるだろう鋼の芯を持ってしまっているのが、余計に辛みを抱えている。こういう人物は、本当に選択しなければならないギリギリまで、なりふり構わずあらゆる手段を講じて、自分自身を容易に損なってでもやれることをやってしまおうとするからだ。場合によってはやれないことまで強引にやれる範囲に引きずり込んでみせる。
妹ちゃんが必死に、本当になりふり構わず必死にがむしゃらにこの兄が殺し屋の道に進もうとするのを止めたのは、多分大正解なのだろう。そっちの道に進むには、この兄は危うすぎる。いくらでもやらかしそうだ。本気で、人を殺すこと自体はなんでもない、と思っている所なんぞ尚更に。

それはそれとして、この兄、女たらしであることは間違いないんですよね。あれだけ安易に女の子に対して「かわいい」を連呼するとか、ちょっと考え無しすぎる。そんなに本気で可愛いとか言われたら、意識しちゃうの当然じゃないですか。しかも、この谷城ちゃん、学校では孤立気味なんですよね。人恋しさに飢えているところに、隙間なくビシッと寄り添うわけですよ。精神的に。
そりゃ、出会って数日で即転んでもおかしくないですわ。谷城ちゃん、ちょろいかもしれないけど、これは責められない。これは心ぐらつく。
元々、兄が分析していたように谷城ちゃんってかなりこう、面倒くさいタイプなんですよね。いやなるほど、確かに妹瑞穂とその面倒臭さの方向性とか似てるかもしれない。容姿も結構似せてきているの、意図的なんだろう、イラストデザインとか。
その面倒臭さが、丁度ハマるところにハマると恐ろしいほどチョロい合致になっちゃう典型だなあ。兄の性格が、その面倒臭さを受け止めるのにピッタリすぎてるんだ、これ。


事件の方は、なんか突然前触れ無く、異形の「モンスター」が現れたことで「お!? う!? えお!?」と面食らってしまった。これ、どういう方向性の作品だったんだ? 
そういえば、初っ端から電脳人類たるAI妹という存在が爆誕している世界だけに、こんな超常的な存在が出現しても不思議ではなかったのかもしれないけれど、作中の登場人物たちも警察も兄妹が所属する裏稼業のやべえ会社の人たちも同じように「お!? う!? えお!?」と面食らっていたので、この作中世界的にもあまりにもイレギュラーで異常な出来事だったのだろう。
おかげさまで、このモンスターと戦う兄の姿が冒頭の描写にあるお嬢様の目に止まり、物語はこの兄妹が裏稼業の任務から任務に渡り歩いていくエージェントものから、やや異なる方向へと舵を切ったみたいなのだけど。
犯人も意外といえば意外。いやなんでこいつがそんな力持っていたの? というこの事件の異常さに繋がっている。
これ、本当にどういう方向性の物語になるんだろう。2巻が出ないことには判断できないぞ?
それはそれとして、日常と非日常がぐるぐるにかき混ぜられた、主人公のちょっと外れた独白やら自問自答に味が出ている、面白い作品でした。個人的には芝村さんには「大軍師」の方を優先して欲しいとも思うのですけれど。


なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 6.天魔の夢 ★★★   



【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 6.天魔の夢】  細音 啓/neco MF文庫J

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預言者シドが語る真実――「その先」が最も気になるファンタジー、第6弾!

「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイは、各種族の英雄や精鋭たちと出会う中で、この世界を改変した黒幕へと近づく。機鋼種の強敵・マザーDを激戦の末に破った後、カイが手に入れたレコーダーには、預言者シドを名乗る男の声が残されていた。シドから語られる黒幕の真相とは――。一方、六元鏡光(リクゲンキョウコ)、ヴァネッサ、ラースイーエら三英雄たちが、三種族の思惑が入り乱れる中で衝突を始める。そして、預言神の加護を受けたこの世界の“二人のシド”アーカインとテレジアは三英雄を強襲する機会を伺う。今、この世界は「誰の記憶にもない」局面に突入する――!

正史において、どうやって人類が勝利したのか。そもそも他の四種族をまとめて封印できたんだ? という点についてはずっと疑問点であり続けていたのですけれど、こうして実践という形で答えを見ることになるとは。
これは確かに人類の勝利とは程遠いよなあ。預言者シドが苦悶することになったのも良く分かる。
時に刃を交えて戦い、時に同じ敵に立ち向かうために共闘し、時に旅の道連れとして寝食を共にして、カイたちは本来敵でしかなかった異種族たちとコミュニケーションを重ねてきた。
彼らは人類とは全く異なる種であったけれど、ちゃんと言葉も通じるし、意思も交わせるし、一緒に笑って一緒に怒り、一緒にご飯を食べて触れ合うことのできる存在だった。
カイだけでなく、鏡光がバルムンクにべったりとなってバルムンクの方も真っ向からぶつかろうとして妙に噛み合う仲になってしまったり、ハインマリルがサキのことを気に入ってちょっかいを掛けまくるうちに何だか相通じるようになってしまったり。
カイだけじゃない、人類種と他の種族が種を越えて仲良くなれる、その可能性は示されていたのだ。
レーレーンがこっそりと告げてくれた「期待」は、まさしくカイが僅かずつかき集めたまだ見ぬ未来への可能性だった。
もし決着を付けるなら、お互い同士でつけるべきだった。それが融和であろうと決裂であろうと、当事者同士でつけるべき決着だったのだ。
それを、横やりで人類がなんら関与できない置いてけぼりの状態で、勝手に決着がつけられてしまった。今話していた相手を、意思をかわそうとしていた相手を、友情が愛情が通じていたかもしれない相手を、一方的に消し去られてしまったのだ。
納得なんてできるはずがない。

でも、それが人類のためになるのなら。人類がこれ以上滅びに怯えることなく、犠牲が生まれることなく、平和を得ることができるのなら。それは享受しなければならない、妥協しなければならない無力感だったのかもしれない。
だから、カイ以外のみんなは起こった事から目を逸らし、与えられた平和を受け取ることにしたのだろう。多くの何の力も持たない一般人たちからすれば、自分たちを脅かしていたものが消えたのだ。いつ死ぬか、いつ殺されるか、家族を失うか、愛する人を殺されるか。そうした不安を、恐怖を、戦うすべの無い人たちは常に抱えて、怯え暮らしていたことを思えば、ジャンヌもバルムンクもこの与えられた平和を否定はできなかっただろう。
カイだってそうだ。どれほど納得できなかろうと、拒否したくても、彼はそれを自分の感情だけで否定したり拒絶したりできなかった。真面目だなあ、と思う。
レーレーンやリンネという大切な友人、大切な人を奪われて受け入れられるはずがないのに、自分ひとりの都合で、人類がようやく手に入れることができた平穏に後ろ足で砂をかけることが出来なかったのだ、この少年は。
だから探したんですよね。この結末が理不尽で、人類にとっても不都合である理由を。決して、このいっときの平和が人類に良き未来をもたらさない、という証拠を。
見つからなかったら、ずっと苦しんだんだろうなあ。それこそ、預言者シドのように。
幸いにして、カイは証拠を見つけることが出来た。この結末が、世界を軋ませる悪手であることを知ることが出来た。ならば、あとは邁進するだけだ。
見知らぬ世界に一人放り出されたときも。かつて居た人類が勝利した世界と違って、放り出されたこの世界が人類が滅びようとしている世界だと知ったときも、カイは怯むことなく戦い続けた。そういう少年なのだ。やるべきことがあるのなら、たとえたった一人でも、誰にも理解して貰えなくても邁進する。そういう気概を彼は根本に備えている。
なるほど、つまり彼こそが正しく「人類種族の英雄」となるのか。その証こそ、世界種リンネの剣。
そうしてもうひとり、退場したと思われていた最後の英雄が出番を待つ。ここでまさかの主天アルフレイヤ再び、にはさすがにゾクゾク来ましたよ。


可愛ければ変態でも好きになってくれますか? 6 ★★★   



【可愛ければ変態でも好きになってくれますか? 6】  花間燈/トマリ MF文庫J

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変態VS生徒会!? 新感覚変態湧いてくる系ラブコメ、波乱の第6巻!!

ついに、書道部なのに書道をほとんどしていないという至極当たり前な指摘を生徒会から突っ込まれた俺with変態娘たち。
さらには部長による部費の使い込み(バニーガール衣装代)も発覚して、補填のためにお金を稼がなければならなくなり……
え? 今回のペナルティとして俺が生徒会の人質に!?
会計の愛梨に冷たい視線を向けられながら、副会長の彩乃に執拗に匂いをかがれながらも生徒会の臨時役員として奔走する日々が始まった。
書道部のためにもこんなことをしている場合じゃないのに……あれ、生徒会も美少女揃いで、案外悪くないかも……?
中高生男子に圧倒的支持な変態湧いてくる系ラブコメ、変態VS生徒会編、突入!

はいアウトー!! いや、紗雪先輩、部長、部費使い込みは普通にレッドカードですから! 私的流用したらダメですから。一応、部内でみんなのために使った、と言えるのかもしれませんけれど、書道とバニーガールスーツは何の関係もなさすぎる。バニーガールの衣装を買うために部費使いました、ってそれ普通に問題になるでしょうに。しかも、わりと値段が洒落になってない金額なんですが。
ダメだ、この部長なんかもうダメだ。社会に出てやっていけるんだろうか、なんか普通に心配になるぞ。文武両道の才女、できる女という落ち着いた雰囲気を醸し出している紗雪先輩ですけれど、この人普通にダメ人間なんじゃないだろうか。
何気にメンタルもガラス並みに脆いヨワヨワの雑魚ですし。繊細というより雑魚ですし……。
慧輝くん、この人真剣に飼ってあげた方がいいんじゃないだろうか。他の人と比べても、ほったらかしにしてたら勝手に死んでそうなんですけど。籠から出して野生に逃してしまうと、そのまま生きて行けずに死んじゃいそうなんですけど。飼育しないと生きていけないタイプじゃなかろうなw
この人のやたらペットになりたがる性癖って、変態性じゃなくて生存本能によるものなんじゃないだろうか。あんまり真性って感じはしないですし。
まあ書道部の面々の変態性って、わりとみんななんちゃって変態っぽいヌルい感じではあるんですけどね。
……ただし瑞葉、てめえは別だ。この妹だけかなりガチの露出趣味なのは間違いないので注意されたし。今の所、まだ見られるかも、というスリルに興じる段階でとどまってますけれど、早晩見られることに興奮を覚えそうでヤバいよなあ。兄の慧輝に対してはすでに見て欲しい願望が滲み出しはじめてますし。

ともあれ、紗雪先輩の私的流用はかなりアウトなので、普通に廃部案件なんですよね。書道部にろくな活動実態が存在しない、まともに書道してるの紗雪部長だけ、という状況が追い打ちかけてますし。いやこれ、普通に廃部にしますよ、自分なら。お金返せばお目溢し、というのは凄まじい温情なんじゃないだろうか。
というわけで、書道部から身売りされ、あるいは借金の方、人質、担保として一時的に生徒会の手伝いをすることになった慧輝。先から知り合いにして匂いフェチの変態である副会長の彩乃の他にも、慧輝を目の敵にする長瀬愛梨に書記の三谷凛、生徒会長の鷹崎志帆という面々が迎えてくれたわけですけれど、まあそうですよね。これで生徒会の人たちは一般的な性癖の人たちでした、となると作品の主題を揺るがしてしまうので、案の定変態揃い……生徒会長除く。まあこの志帆さんも何らかの性癖の持ち主なんでしょうけれど。
いやでも、匂いフェチの彩乃はともかくとして、愛梨の百合ラブも三谷の女装癖も、これ趣味の範疇ですよねえ。だいぶマイルドですよ。これを変態と呼ぶのは過剰というか烏滸がましいというか。
彩乃さんはだんだんガチというか、そろそろヤバいんじゃね?というくらいに増しましてきましたけれど。
書道部の面々の変態趣味の対象が慧輝くんが相手でないとダメ、と指向性が定まっているのに対して、まだ生徒会の面々のそれは自分の趣味の範疇なんですよね。
まあ彩乃さんはそろそろそっち方面でも怪しくなってきた、慧輝くん限定になってきた感があって、その分ヒロイン度を増してきているのですけれど。
でも、いい加減変態だから付き合えないという姿勢、なんとかしないとダメでしょう。紗雪先輩、メンタルボロボロじゃないですか。元々、雑魚メンタルだったのが追い詰められてグダグダじゃないですか。慧輝くんが面倒見てあげないと生きていけないんですから。
だいたい、性癖に関してはフラットかもしれないけれど、慧輝くんが一番根っこの根性が変態臭いんだよなあ。普通の頭の中身したやつは、女友達や妹にエッチなメイド服着せようとしませんからw


七人の魔剣姫とゼロの騎士団 2 ★★★☆   



【七人の魔剣姫とゼロの騎士団 2】  川田 両悟/GreeN MF文庫J

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ゼロの騎士団の前に学園最強の魔剣姫が立ちはだかる――激突必至の第2弾!

「魔剣」の奪取と共に転校早々に騒動を巻き起こし、シャーロットと共に「ゼロの騎士団」を立ち上げたナハト。そんな彼を上級生の魔剣姫たちや元老院が快く思うはずもなく、いよいよ学園を挙げての「ゼロの騎士団」潰しが本格化する。部室や新たなる団員の獲得にも苦労する有様のナハトだったが、めげずにあの手この手で魔剣姫たちと接触し、様々な変化を引き出す。だが、最大の壁となって立ちはだかるのは、最強の魔剣姫と噂される学園長代理のエレミア・キールモール。シャーロットの因縁の相手との戦いにエレミアの思惑も絡み、事態は思わぬ方向に加速していく――!

シャーロットさん、メインヒロインにも関わらず1巻から引き続き表紙を飾れず!
まさかのエレミア先輩の登壇である。この人、ナハトの義祖父絡みの因縁もあってかなりネガティブな情念を彼に抱いていた上に、理事長代理という立場上でもどうにもナハトと対立軸にある所に立っているので完全に敵対枠、或いはラスボスまであるのかと思ってたのですが……。
なんか、唐突に姉なるものが生えたぞ!?
え? 実はチョロイン枠なんですか、理事長代理!? エレミア先輩だけは違うって信じてたのに!
いやね、そもそも七人いる魔剣姫、これ全員チョロイン枠ですぜ。武闘派で鳴らすミルティですら、戦闘中にパンツ覗かれて意識しちゃってるくらいだし、フルカタ先輩のありさまと来たらこの人がザ・チョロイン筆頭か、というくらいの惨状ですしねえ。男を誑かす類の毒婦姦婦であるスピカでも、あれ自分の得意分野が通じないとなると途端にムキになってしまってるあたり、チョロインの素質十分である。
むしろ最初から好意的なラナンシャが一番好感度爆上げとかならないじゃないだろうか。
彼女らに比べると、1巻で敵対したシャーロットのライバルであるアリアが何気にもっとも正統派ヒロインしているとも言えるんですよね。この娘も敵対からコロッとチョロインされてしまった類でもあるのですけれど、ツンツンしているわりに健気さも隠さないし、純情さや溢れてくる好意を持て余して一杯一杯になってる所なんぞ、実に可愛らしい。ラストでは一気呵成にシャーロットに宣戦布告まがいの攻勢に出てきてますし。シャーロットさん、うかうかしてたらマジで看板ヒロイン奪われますよこれ。
さて、そんなヒロインたちの視線を一手に集める主人公のナハトですけれど、1巻では硬軟入り混じりながらのガンガンと息もつかせぬ攻めの姿勢で学園のシステムそのものに喧嘩売るような勢いに強いカリスマ性を感じたものです。
でも、ここに来てその勢いに考え無しの浅慮さが見え隠れしてきた感があるんですよね。幾らなんでも前後のこと何も考えてなくて行き当たりばったりに好き勝手やりすぎ。
事前にルールも相手のことも調べていないし準備もしていないまま、とりあえず当ってみるべしとばかりに喧嘩を売るし、トラブルに首を突っ込むし、勝手に試合に乱入するし。
その行動の結果どうなるか、という点について全く考えてないんですよね。もうちょっと戦いというものに対してクレバーでしたたかなのかと思っていたのですけど、これだとただの脳筋バトルジャンキーだよなあ。実戦派ではあるんだろうけれど、それでは喧嘩屋の範疇を出ないだろうな、という素行で。
本物の戦争でも、無関係の勢力がいきなりなんの前触れも宣告もなく、戦場に横槍入れてきたら問題になりますわな。ルール無用の喧嘩ならともかく。
これでナハトくん、女の子相手にはわりとこう、行き届いた対応をするのにね。とんだセクハラ野郎ではあるんだけれど、上記したケースのような好き勝手なやり方と違って無神経とは程遠い当たりで女性陣には接してるんだよなあ。天然ジゴロか、どなたかの教育かはわかりませんが。
ともあれ、当面の騎士団メンバーも集まり……って、トラブルに見舞われていたハオランはともかくとして、他の二人、アンリとリッカは普通に探したら普通に入ってくれた的にえらいあっさり集まったなw
いや、二人共問題児故に売れ残っていたという事情はあったにせよ、二人共かなり癖のあるキャラのわりにコストかからず加入したのが、なんか逆に面白みを感じてしまった。キャラ濃い女子なんだけど、ヒロイン枠ではないんだなー、きっと。あくまで魔剣姫たちがヒロイン枠っぽいですし。それがむしろイイのかもしれませんが。

今回の敵はあんまり底の深くない実に小物っぽい小物だったので、バトルもわりとあっさり目で。やはり本格的なそれは魔物相手の実戦に入らないと緊迫感もなかなか引き出されてこないかしら。
アリアとシャーロットが本格的に鞘当はじめてきましたけれど、一方で次はそろそろフルカタ先輩のターンに回ってきそうだなあ。なんか、この先輩放っておいたら勝手にオチかかってるしw


聖剣学院の魔剣使い 6 ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い 6】  志瑞祐/遠坂 あさぎ MF文庫J

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10歳児に転生した最強魔王とお姉さん達の学園ソードファンタジー第6弾!

「レオ君――君は、一体何者なの?」〈死都〉での任務より帰還したレオニスを待っていたのは、リーセリアによる質問攻めだった。魔王の秘密は遂にバレてしまうのか!? 一方、咲耶の周囲では〈桜蘭〉出身の武装傭兵団が〈第〇七戦術都市〉を巻き込む恐ろしい計画を実行しようとしていた。かつての同胞を止めるため、ひとり奔走する咲耶は、謎の魔王(※レオニス)に接近する。「魔王の力を貸りるには、それなりの対価が必要だな」「え、えっちな要求か?」「違う!」明かされる〈桜蘭〉滅亡の真実。姿を現した咲耶の姉。そして、レオニスの師にして〈六英雄〉最強の〈剣聖〉が目を覚ます――!

レオくん、想定外のことが起こるとわりと内心でいつもテンパってますよね。今回にしてもセリアに正体がバレたときにしても、予想外のところで咲耶と行き会ってしまった時も、え!?え!?どうしよう!?どうする!?てな感じで慌ててますし。まあ慌てて軽率な失敗をしないあたりは流石なのですが、テンパってる時点で可愛いんですよ、ショタ可愛いんですよ。
君はずっとそんな感じで居てください。
……いや、セリアに事情の一端を明かしたとき、けっこうやらかしてないかしら。魔王と告げなかったのはともかくとしても、探しているロゼリアという人物が現世ではただの女の子という情報は、セリアさんちょっと引っかかっちゃうんじゃないだろうか。
古代の王国の王様だった、という話をしながら、魔王だという事に関しては言わなかった件についても、別に言っちゃっても良かっただろうにそこまで踏ん切れなかったのか。彼が勇者から魔王になった詳しい事情については明かされていないので何とも言えないのだけれど、少なからず親しかった人たちが敵に回ったことが心に残っているんですね。魔王だと知れた時にどう反応されるかが引っかかって踏ん切れなかったというのは、それだけセリアの事を大切に思っているからなんだろうけど。情報の小出しは後々話がもつれる要因になりそう。
ただでさえ、他では魔王ゾールなんて名乗って活動はじめているわけですし。それでついつい咲耶と接触してけっこうがっつり関わるはめになっちゃってるわけですしね。
彼がそうして徹底して自分の正体隠していることは、敵側にも一切その存在を気取られていないという点で大きなアドバンテージを稼いでいるのも確かなんでしょうけど。
セリアに埋め込まれていた女神の欠片とやら、普通の展開なら後々芽を出して取り返しのつかない事態に陥る原因になりそうなものなのに、あっさりレオくん除去しちゃいましたしね。いや、取っちゃうの!? 取れちゃうの!? とびっくりしてしまうくらい簡単に取っ払っちゃったもんなあ。なんやかんや理由つけて、現状では手を出せないみたいな展開にもならず。これ、埋め込んだ敵サイドはこれ気づいていなくて、未だに「ふふふ」とほくそ笑んでるわけで、若干間抜け面を晒してるんですよねw
ただ、果たしてこの欠片を除去してしまった展開が思わぬことにならなければいいんですけど。もしかしたら、埋め込まれたままだった方が違う展開になったという可能性も、セリアと女神の繋がりしだいではアリ得るわけですから。まあこればっかりは話が進まないとわからないのですけれど。

そろそろ咲耶側の事情も明らかにしてきてくれたわけですけれど、彼女は彼女で孤高に半分闇に身を沈めながら修羅に堕ちても外道に堕さず、の矜持を示しながらヴォイドを斬って回っている姿はさながらダークヒーローなんですよね。
魔王軍としてはスカウト上等なのか、この場合。でも、スカウトする際に取引で彼女だけではなく咲耶のもとに集っている彼女の国の民まで臣下になるように要求するというのは、最初からあんまり取り込むつもりはなかったんでしょうね。ブラッカスも、あんまり気が進まない感じでしたし。
結局、レオくんは眷属であるセリアも含めて、あんまり魔王サイドに取り込もうという姿勢は見せないんですよね。魔王の配下になるという事は人類の敵になるという事、それを彼女たちに強いる事に抵抗を覚えているのか。あんまりそのあたり言及されないので、想像するしか無いのだけれど。
セリアをせっせと育てたり、今回咲耶に新たな力を授けたり、と彼女たちの強化にはせっせと勤しんでいるのですけどねえ。

そうこうしているうちに、復活したレオくんが初めて遭遇する自分よりも強力な敵。ここで、まさか魔王である彼に「聖剣」が発現するのは予想外でした。いやだって、魔王に聖剣って。
セリアがずっと悩んでいたように、この世界では皆に聖剣が発現する以上、人間として生まれ変わったレオくんにもその可能性がある、というのはそれこそ言われるまでさっぱり頭になかったなあ。
となると、そもそも「聖剣」とはなに? という話になってくるんですよね。ヴォイドの正体からして、未だに殆どわからない状態である以上、あまりにも情報が足らないのだけれど。
いずれにしても、大きく事態が進展したのには間違いなく。剣聖のヴォイドがセリアの事を女神の器と言ったのは今回レオくんもはっきり聞いたわけですから、セリアの正体についても話が進んでいくんじゃないでしょうか。さらに、新たな魔王も登場して、ということで話も新たな段階に進みそう。


七人の魔剣姫とゼロの騎士団 ★★★☆   



【七人の魔剣姫とゼロの騎士団】 川田 両悟/GreeN MF文庫J

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七人の魔剣姫が支配する学園に風穴を開ける男―魔剣の学園ファンタジー!

七人の魔剣姫が支配するキールモール魔術学園に突如現れた、赤毛の少年ナハト。「この学園にあるんだろ『七つの魔剣』が。そいつを全部いただきに来た」転入早々に学園中を敵に回した不敵な少年の狙いは、全ての魔剣を手に入れ、伝説の騎士団を蘇らせること。当然、同級生のシャーロットやアリアをはじめ魔剣姫たちが彼を黙って見逃すはずがなく――「なんつーか。あんた、すごい美人だな」「ちょ、ちょっとジロジロ見ないでよ。金とるわよ」ナハトの持つ伝説級の魔具、飛島を巡る騎士団、大陸中を跋扈する魔物の脅威――巨大な学園を巻き込み、少年と七人の魔剣姫達の戦いが始まる!

あれ? この表紙の女の子、メインヒロインじゃないの!? てっきり、このツインテールの娘アリアがメインヒロインなんだなー、と思って読み始めたら……違うよ!? もっとガッツリとメインヒロインの娘がいるよ!? 
そのメインとなるシャーロットは、一国の姫ながら国元が飛島探索の盛大な失敗によって破綻したため生活にも汲々としている貧乏姫。本来魔剣姫というのは自前の船と騎士団を揃えて飛島の探索を行うことが半ば義務付けられているのに、貧乏が故に、金がないが故に、実力はあるのにそれを発揮できる場を持てないお姫様。おかげで、金金金と金を稼ぐのが最優先のなかなか世知辛い学園生活を送っている。
個人的にはもっとがめつい守銭奴か金の亡者でも良かったと思うのだけれど、あくまで騎士団の創設や船を購入するためにお金を欲しているという目的がはっきりしているので、実は目的関係なしにお金も好き、というキャラクターではなかったんですよね。
シャーロットの初動の動機、同じボッチのナハトとある意味対等の立場で勝負をしなければならないポディションのために、貧乏という属性がついていたようものなので、船が手に入ったりと金銭面で追い詰められなくなると、金無し貧乏という属性が薄れてしまったのはちともったいなかったような気がする。
まあ金はなくても貧乏でも、気概と矜持は一級品というもともと非常に男前の気合の入ったお姫様なので、守銭奴という要素は不純物だったのかもしれないのですが、苦労してるなあというある種のクレバーさが備わっているのが伝わってくるので無意味ではなかったか。
対する主人公の方はというと、これがまた珍しいくらいアクの強い主人公。昨今ではむしろライバルキャラ向けのキャラクターなんじゃないだろうか。どこか大型の猫科肉食獣を彷彿とさせる落ち着きと猛々しさを兼ね備えたような立ち居振る舞いなんですよね。
堂々と、7人の魔剣姫を下して学園を統一するという野望を公言しながら、脳筋とは程遠い強かな立ち回りを見せつつ、食いつくときは躊躇なし。一方で愛嬌もあって、相手のプライドや信念を擽るような強者は強者を知る、とでも言うような所もあり、結構女殺しな言動もあり、と強烈なカリスマを感じさせる主人公なんですよね。
珍しいくらい、パワフルなタイプの主人公だなあ。
ヒロインである魔剣姫たちも、それぞれ一国を代表する姫君であると同時に、自ら騎士団を率いる指揮官でもあり、とみんな強固な意思と指針を備えた気の強い娘さんたちばかりなものだから、同じく色んな意味で存在感の強烈なナハトとはどうやったって衝突することになる。
まあナハト、ガンガン行く一方でわりと柔軟に突っかかってこられてもからかって絡め取ったり、と硬軟自在の対応が出来るタイプなので、変にいがみ合うことは少ないのだけれど、いい意味でバシバシと言葉でも行動でも丁々発止が繰り広げられるんですよね。それが対立でも協働でも、衝突でも一致団結してでの進撃でも、仲良くイチャつくみたいになるシーンでも、なんかこう話のテンポにしても流れにしてもパワフルな感触がするんですよね。
冒険を主体とするお話なんだから、それくらい人間関係でも話の展開でも力強くなければ、ドキドキしないじゃないですか。パワフルであればあるほど、ワクワクしてくるじゃないですか。
自分の我を通し、夢を貫くために譲れぬものを賭けてぶつかり合い、そうやってぶつかって衝突して仲間を集めていき、空を駆けるための船を手に入れ、魔物がひしめく秘境の地を探検するため、自分たちだけの騎士団を結成する。学園モノである以上に、冒険を志す若者たちの無鉄砲で夢にあふれる躍動は、やっぱり見ていてワクワクさせてくれるものでした。

スタートダッシュとしては充分な力強さを見せてくれた、期待を大いに持たせてくれるシリーズ開幕でありました。続き、楽しみ♪

ヒロインの方はシャーロットがもう文句なしにナハトの相棒感を出していて、表紙を飾ったアリアの方は二番手から羨ましそうに臍を噛むポディションになってしまっていますけど、デレを堂々と押し出せるようになったらこの手の娘は侮れないぞお。


殺したガールと他殺志願者 ★★★   



【殺したガールと他殺志願者】 森林 梢/はくり MF文庫J

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思わず殺されたくなる甘くて歪なラブコメ。第16回新人賞《優秀賞》受賞!

『最愛の人に殺されたい』と願う高校生・淀川水面は、死神を名乗る女から一人の少女を紹介される。
「貴方が殺されたい人ですか?」出会い頭にそんなことを尋ねる少女。名前は浦見みぎり。『最愛の人を殺したい』という願望を持つ少女だった。
互いの望みを叶えるために、二人は協力関係を結ぶ。水面はみぎりに愛されるため。みぎりは水面を愛するため。
「貴方には、私の理想の男性になってもらいます」「……分かった」「殺したくなるくらい魅力的な男性にしてあげますから、覚悟して下さい」
こうして始まった、歪な二人の歪な恋路。病的で猟奇的で不器用な少年少女が最高のデッドエンドを手に入れる物語、開幕。

登場人物、みんなある種の歪んだ願望に囚われた在り方をしている人たちばかりなのですけれど、印象としては裏表のない素直な人たちだなあ、というものでした。歪んで捩じれて捻くれているような人たちなのですけれど、よくよく見ると自分の願望という枠組みにピッタリ収まった、付与された設定?属性?どういうべきなのかちょっと悩みどころなのですけれど、定められた在り方に対して純粋で真っ直ぐなんですよね。
何て言うべきか。
彼らは自分の願望を叶えるために苦悩し、現実との間に苦慮し、自分たちが願望を叶えることによって起こる弊害に心軋ませるわけですけれど、自分の願望そのものについては一切疑わないし迷わないのである。それについては一切ブレない。自分の根幹については揺るぎがない。
それは前提であると同時に定義付けでもあるのか。
その定義づけに沿って、物語は展開していく。それは定規で線を引くようにゴールまで一直線に見えるのだ。トラブルも、迷いも寄り道も、分岐ではなく撓みですらない。二人の抱える在り方からすれば、その二人が結ばれようとするならば在って然るべき展開である。
教科書どおり、というのとはまた違うんですよね。未知数を解いていく方程式、というべきか。投入された数字が同じなら、ぴったり同じ答えが出るような。ただ、その中でも複雑な計算を要する方程式ではなく、平易でシンプルな式に基づいているようなそんな方程式だ。
そのぶん、性急で遊びがなく迷いがなく予想が外れる余地がなく変数の幅が狭く見えている範囲が限られていて、見えない部分の奥行きが乏しい。
そこに書かれているものですべて、と言う感じだろうか。
淀川水面がなぜ、最愛の人に殺されたい、という願望に囚われているのか。
浦見みぎりがなぜ、最愛の人を殺したい、という願望に囚われているのか。
それもまあ、書いてある。語るまでもなく。推理や考察の余地がないくらい。右から左だ。
むしろ、これに関してはなぜその願望を抱くに至ったかを当人に語って欲しいくらいだったのだけれど。自問し自答もしてませんでしたよね。なぜ、という考察が当人にはなかったように記憶する。
あるが前提、なのだ。ないと、始まらない。
人間関係、水面とみぎりの間に生じる感情、好きという気持ちについても、遊び無く直線的にはじまって成り立ってしまう。ないと、はじまらないから、というのは過言だろうか。
二人の間で出る結論まで一直線だ。
水面の持つ願望なら、こう悩むだろうな。それがみぎりの願望と掛け合わさったらこういう反応になるだろうな。と、いう既定路線をテクテクと歩んでいく。まったくもって、ブレがない。
分かれ道、分岐のない舗装された道路を躓くこともなにかに引っかかることもなく、バリアフリーでゴールまで歩いていくような読感でありました。
そういう意味で、全体的に構造的にもストーリー的にも登場人物的にも素直で覗き込む部分があんまりなかったんですよね。
面白いと言うか興味深かったのは、底が浅いとか中身がないとかそういう感じじゃないみたいだった、という所かなあ。登場人物、水面やみぎりは生き急いでいるのか何なのか、余裕がないのか、前ばっかり見てる感じなんですよね。自分を見ていない、前ばっかり見ていて顧みていない。でも、視線がそっちに向かないだけで、置いてけぼりにしているだけで、なんか感触というか奥を覗いていけばごっそり掘り起こせそうなものがありそうなんですよねえ。ただ、それを勢いよく無視して放置してしまっているような。キャラの造形段階でそういう余地が既にあるような構造になってるっぽいのになあ。でも、覗けないんだよなあ。見えてる部分しか見えてこないんだよなあ。表層しか捉えられない。
なんかうん、もどかしい。

水面の抱えている爆弾は、みぎりが知る事で彼女の中で劇的な化学反応が生じておかしくない代物だけに、二巻があるのならもっとこう、二人の中を覗き込んで中から色々と摘み上げて並べて舐め回すようにイジれるだけのグチャグチャしたものが見たいなあ。透明度低めの。

探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる ★★★★★  



【探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】 玩具堂/悠理なゆた  MF文庫J

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可愛くて鋭い山田さんの学園ミステリー、第二幕!

山田姉妹と戸村に今日も奇妙な事件(相談事)が寄せられる。我が校の卒業生でもある副担任のさぁや先生の依頼は、彼女が高校生のときに起きた「原稿消失事件」。文芸部の部誌に載るはずだった直前に消えた状況は、確かに不可解で……?あいかわらず平常運転で絡んでくる雨恵と雪音の山田姉妹につつかれながら、またも俺は矢面に立たされるのだった。
だんだん雨恵と雪音の性格も把握してきた2人の距離感は……やっぱ、近すぎるよね!? そして赤面してるよね!? 可愛くて鋭い2人の山田さんと俺とで解き明かす、ちょっと甘めの学園ミステリーラブコメ、第二幕!「よし! プールで推理しよう!」ええっ!?

この作者さんって、ほんと女の子の「素足」好きですよねえ。玩具堂さんの描く作品の歴代ヒロイン、みんな学校でも靴下脱いで素足で足ブラブラさせてるんですから。この二巻ではカラー口絵で机の上に素足で腰掛ける雨恵のイラストが。戸村くん、結構がっつり生足見てるのですけど、たしかにこれは思わず目が言ってしまう脚線美。
さて、今回探偵三人組に持ち込まれてきた3件の事件。ネットゲームの中の人を特定して欲しいという依頼。先生が高校生の文学部時代に消えてしまった小説原稿消失事件の真相を探れという依頼。そして、SNS上での素性も知らない友人を現実で見つけてくれ、という依頼。
どれも、手がかりらしい手がかりもない所から、僅かな情報を頼りに山田姉妹と戸村くんとで顔を突き合わせてワイワイガヤガヤと大騒ぎしながら真相を解き明かしていく、これがまた面白い。いや本当に面白い。
どれもこれも、あるのは断片的な情報だけなんですよね。
ネットゲームの中の人当てなんか、オフ会で実際に顔を合わしているものの、そのオフ会の様子も依頼者からの又聞きな上に大した情報なんて全然ないように見えるんですよね。
先生の原稿探しも、事件自体はもう何年も前に終わってしまっていて、原稿がなくなった状況とその失われた短編小説について書かれた先輩方の評論しか手がかりがない。
最後のSNSの依頼に至っては、SNSにアップされた風景写真くらいが手がかりだ。
これを三人協力して、というよりも役割分担なんですよね。雨恵、雪音、戸村と三人ともこなす役割が違っていて、それが謎をとき、説いた謎をもとに事件を解決して、大団円という所まで持っていく形になっている。ろくに情報もない所からジグソーパズルを組み上げるみたいに真実を見出すこと自体は天才肌の雨恵が拾い上げるのだけれど、その説いた謎をもとにちゃんと関係者みんなが納得する形で事件を解決する、或いは着地させるのって戸村くんであり、その筋道を準備するのが雪音なんですよね。これ、1人でも欠けると事件が解決しました、ってことにはならないんだよなあ。
うん、この三人というのがいいんですよね。
山田姉妹が両隣の席にいて、戸村くんは挟まれた二人の間の席にいる。ただそれだけなら、仲の良い姉妹はどちらかの席まで回って移動しておしゃべりしてればいいのです。でも、この双子は間に戸村くんを挟んだまま喧々諤々喧嘩したり仲良く会話したり、と戸村くんの頭越しに、或いはその目の前でコミュニケーションを取って、その中に自然と戸村くんを巻き込んでいくのである。
間に挟まれて喧嘩されて、困り顔で仰け反る戸村くんの顔が容易に思い浮かぶほどに毎度のごとく。
ついでに、この二人、わりと遠慮なしに戸村くんと距離詰めるんですよね。近い近い、と言いたくなるほど。特に顕著なのが雨恵の方で、靴下脱いだ素足で戸村くんの膝をグリグリと踏んでみたり、肩の上にぽんと顎を乗っけてみたり、人が喋ってる間に顔を突っ込んできて間近で覗き込んできたり。距離が、近い!
一方の雪音こと雪さんも雨恵ほど露骨でないけれど、むしろ余計無自覚な所があって無防備にグイグイと顔を近づけてきたり、雨恵と掴み合い取っ組み合いしてる最中に身体押し付けてきたり、とだから距離近いってw
年頃の男の子からすると、この二人の物理的距離感の近さはなんかもう仰け反ってしまうものがあると思うんですよね。片方は言うと余計に面白がりそうだし、もう片方は言ってしまうと赤面してでもしばらくするとさっぱり忘れて同じことを繰り返しそうな無防備さだし。悩ましい、嬉しいけど悩ましい、という感じになっている戸村くんが何とも微笑ましいばかりなのです。
決して明確な台詞で語られることはないのだけれど、うんこれ毎回玩具堂さんの作品では語ってしまうのだけれど、言葉ではなくて仕草で心の動き、心理描写、その時の感情が伝わってくるんですよね。一話目なんかでも、PC画面を見るのにこの双子、同じ椅子に仲良くちょこんと二人で座ったりするのですけれど、話が進んでいく過程で会話内容とは別に最初は仲良く寄り添ってたのが、途中からお互い尻を押し合って相手押しのけようと押し合ってたり、とほんと落ち着かないわけですよ。特に雨恵なんかいつもグデーっとしてるのだけれど、一瞬たりとも落ち着いていなくて、いろんな動きを会話とは別の所でしているわけです。それは同時に、その瞬間瞬間の彼女の気分も示していて、それが雪音たち他の人たちも同様に細かく仕草とか態度が描写されているものだから、台詞なくても掛け合いがなくても、その場の空気感の変化がリアルタイムで感じ取れる。
まさに、目に浮かぶように彼らの姿が見えるんですよね。
これだけ細かく、ただのおしゃべりのシーンで個々の人物の仕草とか表情の変化とか些細な動き、目線なんかを描写する作品というのは決して多くはないのではないでしょうか。少なくない作品が、会話は会話だけでそのシーンを描写しきろうとしてしまう。情景描写は舞台というだけで、登場人物の内面まで表現するものではないからでしょう。
でも、本作はまさに細部に神が宿っている。ほんの小さな表情の変化や、雨恵の突拍子もない動きや、雪さんの何気ない仕草が、キャラに生気を帯びさせるのである。その場の空気に風を感じさせてくれるのである。そうして伝わる心の動きが、この子たちをより生き生きとさせてくれて、そこから伝わってくる彼ら自身言葉にし切れない感情の弾みが、たまらなく彼らを可愛らしくみせてくれる。
ほんと、瞬間瞬間にたまんねー、と悶絶してしまうシーンがあるんですよねえ。
そうして浮かび上がってくるのは、山田姉妹が戸村くんに抱く彼女ら自身がまだ理解していない特別な気持ちである。それは姉妹への対抗心も相まって、複雑怪奇に入り組んで、思わぬ仕草となって発露するのである。それを実に細かく鮮やかに、でも囁かにさり気なく描いてくれるから、すぅっと空気感として染み込んでくるんですよねえ。
いや、ほんと好きだなあ、この作品は。
雪さん、たけのこを戸村くんの口に押し込んだ雨恵に対抗心燃やすのはいいけど、手ずからキノコチョコをあーんと彼の口に放り込むのは、相当に大胆だと思いますよ。
プールで三人、熱い夏に頭を冷やして推理するためと称して水被せ合いながら遊んでるのなんて、そりゃまあ三人でイチャイチャしてるようにしか見えんわなあ。山田姉妹、水着にシャツという凶悪装備でしたし。
でも、そんな山田姉妹にもそれぞれ抱えているコンプレックスみたいなものがあり、周りと馴染めないものを抱えている。そういう自覚しているウィークポイントを、この戸村くんはさり気なく包み込んでくれるわけですから、双子ともこの隣の席の男の子に対してなんかこう言いようのない特別感を抱いてしまうのも無理ないわなあ。
雪さんの方はこれ、わりとストレートに男の子として意識しだしているようにも見えるけれど、雨恵の方だって特殊な性癖……と言ってしまうとあれだけれど、お気に入りと言って憚らないようですし。
その戸村くんも、探偵というお仕事に対して思う所ありながら、いや嫌悪に近いものを感じていたものの、山田姉妹と探偵をやっているうちにそれを楽しいと思い始めていたことへのもやもやをずっと抱えていたわけですけれど、三件目の事件、あれはだいぶセンシティブ、繊細な心の機微に踏み込む事件であったけれど、それを通じて仕事としての誰かの秘密を暴き出す探偵業ではなく、知恵を出し合い人の複雑な関係が織りなす謎を楽しむ、さぁや先生が保障してくれた言葉をもとに、そしてこれまでの探偵してきた体験を胸に、彼なりに探偵するということへの答えが出たことは、さて、さて、うん、うん。

さても、偶然席替えによって成立した双子と戸村の奇妙な共有空間、共有時間。でもそれは次の席替えによって必然的に終わってしまうもの。偶然は続かない。
もし、それでもその席が、この構図が続くのなら、それは必然だ。みんなが望み、本人たちが望んだものだから。
皆が探偵を欲し、本人たちも探偵を楽しむことを選んだから。
三人一緒に、三人で。双子と彼で探偵だから。



終焉ノ花嫁 2 ★★★☆   



【終焉ノ花嫁 2】 綾里けいし/村 カルキ MF文庫J

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魔導学園×主従バトル×ダークファンタジー、祭華夢幻の第二弾!

人類の敵【キヘイ】が世界を蹂躙して幾年。
魔導学園・黄昏院を設立し、人々はその脅威に抗戦を続けていた。
キヘイと婚姻し、【百鬼夜行】に転科・入隊したカグロコウは、一万五千回の試算の上にキヘイの大進行【逢魔ヶ時】を越える。
束の間の日常を謳歌するコウたちの前に――予想だにせぬ転科生が現れる。
時を同じくして【逢魔ヶ時】打破記念の祝祭が行われ、コウたちも出し物をすることに。
だが、祭りの最中、唐突にコウが殺される。
何度も何度も。
何度繰り返しても――。
さらには【戦闘科】最強の学徒で構成された【傀儡衆】の少女に襲撃されてしまい……?

ササノエ先輩、見事にミレイさんに洗脳されてお化け屋敷の脅かし役で動員されてるじゃん! 孤高の戦士を地で行ってるササノエ先輩だけど不思議と孤立はしていないどころか慕われていて、わりとイジられる事も多い気がするぞこの人。でも何より格好いい。最強の幻級の人は他にも二人いて頼りにされているけれど、百鬼夜行の支柱的存在というのはやっぱりササノエ先輩なんだよな。
百鬼夜行そのものが陥れられハメられたときに、切ってみせた啖呵には奮い立たずには居られなかった。
彼に限らず百鬼夜行の面々は気持ちが涼やかで本当に気持ちの良い人たちなんですよね。黒姫が転入生として教室に現れた時も、事情も何も説明せずともコウが真摯にお願いすることでキヘイの女王だった彼女を受け入れてくれた時も、コウを信頼して気持ちを汲んでくれたからこそ、なんですよね。
また時間遡行の繰り返しで、傍目には奇行に見える行動を起こし、また突然前触れもなく感情を爆発させたような不審極まる場面でも、状況のおかしさや異常さよりもまずコウが見せている感情を、泣きじゃくる彼の悲しみや安堵というものを優先して見てくれて、コウのどうしようもない気持ちの擾乱を皆して受け止め見守ってくれるのだ。こういうシーンを見せられると、本当に百鬼夜行の面々がみんな生き残れたという事が嬉しく思えてくる。この気持ちの良い涼やかな人達が、優しく強い人たちが生きてくれた、という事実にコウの一万五千回もの繰り返しが確かに価値あるものだった、この人たちを喪わずに済んだことがどれだけ掛け替えのない事だったのかが実感できるのだ。

だからこそ、コウが掴み取ったこの未来を否定し、貶めて、百鬼夜行が生き残った事実そのものを台無しにしようとする外部の人間の悪意に強い憤りを覚えるのだ。
敵はキヘイか、はたまたヒトか。
だからこそ、ササノエ先輩の一般の生徒は自分達の排斥に回るのは仕方ないが、これを企んだ連中は生かしておかん、という啖呵が沁み入るのである。怒りのみに染まらず、しかし怒りを留めず、敵と守るべき人たちを明確に区分けして斬り込もうというその姿に、この仮面の先輩の誇りを、百鬼夜行クラスの強さの意味を垣間見ることが出来るのである。
この人たちには幸せになってほしいなあ。
白姫との閉ざされた二人だけの愛の縁にとどまらず、こうして白から分たれた黒姫とも繋がり、百鬼夜行クラスというこれ以上ない仲間たちと出会い、そして途切れたはずの一般クラスの友人たちも、今もなおコウの事を想ってくれていた事を知れて、世界は捨てたもんじゃなくヒトは素晴らしいともっと思えるようになってくる。
だからこそ、余計にヒトの良き部分を塗りつぶすようなヒトの醜悪な悪意が際立ってくるのだけれど。
傀儡衆というのはこれ名前、結局ミスリードだったのか。直接対面してみると、いわゆる暗部な連中にも関わらずこの人たちも何だかんだと裏表のない気持ちの良い人たちだったんですよね。あくまで、彼らは意思を無視して使われる側であったのか。
しかし驚きだったのが、コウの時間遡行って即死した場合その時点で終わりだったのか。いや、これよくまあ一万五千回も即死せずに繰り返せたなあ。本人気付かずに流れ弾とかで頭吹き飛ばされて即死、とかいうケース決して珍しくないだろうに。精神がゴリゴリ削られていく以外は万能に思えたコウの能力だけど、これ詳細を知られた場合かなり容易に排除されかねないぞ。
今の段階では担任教師の二人以外には知られずに済んでいるのだけど。百鬼夜行の面々は知ろうともしていない、ほんとイイ連中なんだけど、敵サイドが全く気づいていないというのは大きいなあ。

ともあれ、学園祭の最中、いやその学祭の終わり際に突然脈絡もなく知人からナイフで刺されて殺されるという自体が続く中で、誰かが生徒たちを操ってコウに攻撃を仕掛けてきている、と察知するのですけれど、最初の案件、一般クラスで仲の良かったアサギリと再会して、話しているときにいきなりナイフで脇腹刺された時には瞬発型ヤンデレだー! と大いに興奮してしまったわけですけど……。
いやうん、ファーストインプレッションは侮れませんね、うん。

さて、今回からさらっと転入生としてクラスに加わってしまった一巻のラスボスである千年黒姫。無理にラスボスする必要なくなったというのもあるけど、ちょっと内気で周りの反応にビクビクしながらでも好奇心を隠しきれずにキョロキョロしつつ、コウの裾つまんで影に隠れてる、みたいなイメージのキャラがめちゃめちゃ愛らしくて、なんだこの新興マスコットは。コウよりもむしろ白姫の方がテンションあがって甲斐甲斐しく世話しだしているあたりは、なんとも微笑ましい光景でした。姉妹みたい、と言いたくなるけど姉妹どころかこの二人アレなんだよなあ。でも白姫よりも黒姫の方が経験も実体験も上のはずなのに、白姫の方がお姉さん風吹かせているのはふたりとも可愛いなあ。
そして、なんか作中で一番ラブコメしているヒカミとミレイのお二人さん。この二人が一番学生生活の青春真っ盛りじゃないですかー。ヒカミの方まったく無自覚にも関わらず、愛が深い、深い。そして薄々察してソワソワしてるミレイさん、乙女ですよ乙女。
そんな二人をみんなで隠れて出歯亀しながら見守る百鬼夜行クラス。こいつら、ほんとあらゆる意味で仲良いよなあ。そして、学園の最後の盾であり最強の矛、他の生徒たちから秘されし影の存在でありながら、わりとちゃんと生徒として青春してるんですよねえ。学園祭も何気に毎年参加してるそうですし。
そんな中に、コウも加わって最終的にちゃんと学園祭を全部回れてよかった。途中経過で、結局参加出来ずに終わるのではないかというちょっと寂しい予感があっただけに、ほんと良かった。
と、良かった良かったなんて言っていられないラストの驚きの展開。そうかー、そうきたかー。
さても、人の敵はやはりヒトか。


聖剣学院の魔剣使い 5 ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い 5】 志瑞祐/ 遠坂 あさぎ MF文庫J

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「よくもあたしを殺してくれたわね、レオ♪」波乱に満ちた聖灯祭の余韻も残る中、レオニスの前に現れたのは、倒したはずの〈竜王〉ヴェイラだった。暴虐の竜王に脅され、しかたなく都市を案内するレオニス。「大変、レオ君が誘拐されたわ!」こっそり二人を追うリーセリアだが、なぜかプールでヴェイラと勝負することに。そんな平和(?)な時間も束の間、第十八小隊に与えられる〈巣〉の殲滅任務。その目的地である〈死都〉では、魔王軍大参謀ゼーマインが、恐るべき〈不死者の魔王〉を復活させる陰謀を企てていた――!

ヴェイラ、あれで死んでなかったのか。どころか、あれで死んでないのどう殺しても死なないんじゃないだろうか。単細胞生物のスライムでもあるまいに、侵食汚染された部分切り離して自意識も覚醒させる、ってほぼ何でもありなんじゃないのそれ?
不死者の魔王顔負けの不死っぷりである。わりと力押しの脳筋っぽい竜王ですらこれなのだから、段々と情報解禁しだしている他の魔王たちもこれ、絶対死んでないだろうし格下に利用されるようなタマじゃなさそうなんだよなあ。絶対曲者揃いだ。
魔王同士よく衝突していたみたいなことをレオニスは常々語っていたけれど、ヴェイラとの気のおけない様子を見ていると、他の魔王とも別に仲が悪かったわけではなかったんだろうな。単にコミュニケーション方法が暴力的だっただけで。
ヴェイラを案内するレオニスの様子はデートみたいな雰囲気とは程遠かったものの、一応この戦術都市は自分の王国扱いしているレオくんなので、現代初体験のヴェイラに対してどーだすごいだろー、的に自慢気に案内して回る姿がちょっと可愛かった。いや、君が作った都市じゃないでしょうに。
レオくん、わりと中身も見た目相応に子供っぽくなってる疑惑は常々あったのだけれど、魔王時代からの知己であり同格であるヴェイラ相手ですら子供っぽさが抜けないあたり、完全にメンタルも幼くなってるぞ、これ。お陰で魔王ムーブかましている時もちびっこが背伸びしてカッコつけてるようにしか見えないのも気の所為ではなかったのかもしれない。名探偵コナンのコナンくんみたいに小学生してるの演技だけで中身ふてぶてしい高校生なのとは、全然違うっぽいんですよねえ。
それがレオくんの可愛らしい魅力につながっているし、お姉さんたちに可愛がられるのに違和感を感じない要因なのでしょうけれど。
とはいえ、お陰で周りはみんなレオくんを弄り回すお姉さんばかりなので、実は対等に接するヴェイラというのはなかなか新鮮な関係者でもあるんですよね。その他では見られなかった対等な関係に、セリアが触発されてこいつは見逃せねえ、と危機感を覚えるきっかけになるのですが。
今まで、他の女性陣が接触してきてもこんな風に嫉妬を感じることあまりなかったですしねえ。
現実的にも、魔王であるレオニスと対等に接する事のできる相手というのは同格の魔王しかいないだけに、そのヴェイラとこうして気のおけない関係でいられるというのは得難いものなのかもしれません。場合によっては、彼女を眷属化していた可能性もあるんですよね。それを回避出来たのは良かったのでしょう。彼女とは対等の関係であるほうが気持ちの良い間柄でいられそう。
とはいえ、こんなにあっさり遊ぶだけ遊び倒したら出ていってしまうとは思いませんでしたけど。でも、敵側にもヴェイラが生存している情報は知られていないだけに、彼女が遊軍としてフラフラ徘徊してくれているのは、いざという時かなりの助けになりそう。
生存が知られていない、というとまさに主人公であるところのレオニスもまだ封印されてると思われてたんですねえ。
敵側が今度は不死者の王を復活させる、とドヤ顔で暗躍しはじめた時は、なんかもう微妙に間抜けた図に微笑ましさすら感じてしまいました。その魔王さま、とっくに復活していらっしゃいますから。現代満喫していらっしゃいますから。いや、満喫してるのは部下のメイドとわんこの方かもしれないけど。
ただこうしてみるとレオニスの復活というのは本当に想定外のイレギュラーなんだなというのがわかるんですよね。敵サイドはそれなりに綿密なスケジュールと計画に基づいて動いているみたいですし、その中で眠れる魔王が勝手に目を覚ましている事態、なんてのは全く考えられていなかったようですし。となると、その事態を引き起こしてしまった、つまり本来なら絶対に目を覚まさないはずのレオニスを復活させたセリアという娘の異常さが際立ってくるわけです。

さらに、タイトルにもなっている聖剣と魔剣についてもかなり不穏な状況が見えはじめてきました。【聖剣学院の魔剣使い】というタイトル、単にみんなが聖剣使ってる学校の中でこっそり魔剣使って無双します、程度の意味合いだと思っていたのが、聖剣と魔剣に深い相関が見られてきたんですよね。ってか、レオくんが使う魔剣と、今回語られた聖剣が暴走した形での魔剣って全然別物? それともなんか関係あるんだろうか。今の所、レオが使うのは魔王時代から使ってたもので、現代に目覚めたらなんか知らんけど人類が使うように為ってた聖剣ってものに関しては全くレオくん知らなかったので関係は見えてこないのだけど。
ただ、レオの魔剣が女神を殺すもの。聖剣が変転した魔剣たちが、女神を復活させるために焚べられる生贄だというのを鑑みると、関係がないはずもないのか。
ともあれ、ここまで聖剣が怪しいものだとは思わなかった。なんかそういうものとして普通に受け入れてたもんなあ。聖剣の誕生、人類の中で発現するようになったこと自体仕組まれていたのか。となると、どうしてセリアには聖剣が目覚めなかったのか。レオの眷属になって初めて聖剣が目覚めたのか。それにもちゃんと理由がありそう。それに、咲耶が他の魔剣に侵食された使用者と違ってちゃんと自我を保ったまま魔剣を使えるというのも、そろそろ彼女が物語の中心に入ってきそうな予感。
今まで、ワンコと遊んでるのとメインの外側で一人でずんばらりんとヴォイド斬りしてたばかりでしたもんねえ。というか、ワンコと遊んでばっかりじゃないかw
そのワンコことブラッカス、いやもう君実質飼われてないかい? 咲耶の後見の翁はこの誇り高き獣は誰にも飼うことは出来ませぬ、と言ってくれてたけど、実質君学院では咲耶のペット満喫してましたよね。むっちゃ飼われまくってたよね?
本人ならぬ本犬、ご満悦そうなので別にいいのですけど。


やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい 3 ★★★★  



【やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい 3】 芝村 裕吏/片桐 雛太 MF文庫J

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ガーディ VS 10万の大軍――異端のヒロイック・ファンタジー第3弾!

僅かな仲間と共に森州平定という大偉業を成し遂げながらも、相変わらず俗世に疎いガーディ。そんな彼を放っておけないフローリン姫の近侍に取り立てられた矢先、次なる戦いが忍び寄っていた。沿海州リエメンを率いる女王ニフレディルが、国の存亡を賭けて10万の大軍を率いてイントラシアへの侵攻を準備していたのだ。その動きを事前に察知したガーディはフローリン陣営の指揮官として、思わぬ人物との同盟を提案する。そして、種族を分け隔てない“究極の優しさ”が、決死の侵略軍すらも救う軍略へと至る時、誰もが予想しない結末が待ち受けていた――!
こうしてみると、ガーディというこの時代において異質すぎる存在を虚飾も偏見も少なく一番深く理解しているのって、アンドゥイレドとシンクロのおっさん二人なんじゃないだろうか。
ナロルヴァやフローリン姫、テイといったガーディと近しい子たちは、近しいが故にガーディの人となり、その性格の優しい所や抜けている所危うい所なんかをよくわかっているけれど、近しいが故に近すぎてその凄まじいとすら言える巨大な能力については頭ではわかっていても実感として把握しきれていない部分があるし、テイに至っては崇拝に近いものがあるからガーディの実像を正確に認識しているかは怪しいところがある。これは臣下になったモノたちも同様で神格化とまではいかないけれど、美化していたり凄い人という固定観念を持ってしまっている節がある。一方でタヘーや幼母は軍師としてのガーディを全く知らないからこそ、よく知っている彼の人柄だけに目がいき、その持ち得る能力については全く関知できていない事からも、見る人によってガーディという人物の捉え方がこれほど幅広くなるのは興味深い。
ナロルヴァあたりは、最近武将としてガーディからちょっと離れた所から前線に立つ者の視点でガーディの業績を目の当たりにしているので、実感を得始めている所もあるのだけれど。
彼を知らない人たちなら、尚更その実像は伝わらないし敵対者として対面する者たちからすれば、その圧倒的な能力ばかりに直面することで、本来の姿とはかけ離れた姿を見出してしまう。もっとも、実像を知らないからこそ、本質を見抜いている節もあるのだけど。

その点、アンドゥイレドとシンクロの二人はガーディという天才のバケモノじみた能力も、逆にその人並み外れた無垢さや弱点、世知の疎さなどちょっと考え方が抜けているのもちゃんと把握してるんですよね。まあ、凄さもダメさもたびたび想像を遥かに越えてしまうので、そのたびに振り回されてしまうのですが。
それでも、このおっさんにしてフローリン陣営の文武のトップを担う重臣二人がガーディの最大の理解者にして後援者であるという事実が、どれほど皆にとっての幸いであるのかは、彼らがほぼガーディの好きなようにやらせて、彼の望むようにすべての準備を取り計らってくれた事からも明らかでしょう。もちろん、これまでにガーディは彼ら二人のお眼鏡に適うだけの実績を立て、信用を勝ち取り、その能力を示し人となりを知らしめたからこそ、なのですけど役職も重く実績も多分にあり経験も深いだろうこの二人が、判断の殆どをガーディという新参に任せきっている(そして恐らく責任の方は自分達で引き受けるのだろう)事は、この二人がどれほどの傑物かを示しているのではないだろうか。
この二人が後ろ盾だと、ほんと何の邪魔も入らないどころかガーディの思う通りにスムーズに準備段階から事が運ぶんですよね。
軒並み、反対勢力を粛清し尽くさなければならなかったニフレディル女王と比較するのも可哀想になるくらい。リエメン側の人材の払底は目を覆わんばかりでしたからね。実質、この幼女王一人であらゆる実務をやってのけざるを得なかったのを見れば尚更に。
忠臣と言える人は僅かも居ましたけれど、実務能力はほぼ役に立つことなし、みたいでしたし。
今回はガーディも三方から迫る敵軍に対するために、自分は後方に待機して各戦線を手ずからではなく他人に任せる必要があったわけですから、ガーディも自分だけで全部やってしまうという訳にはいかなかったんですよね……まあお膳立てはこれでもかというくらい丁寧にやってのけたわけですけれど、これに関してはニフレディル女王も一緒ですからね。
ただ、ガーディには後ろにも前にも自分の代わりに任せられる人が居て、足りない部分も「自分じゃわからないので紹介お願いします」と頼める人が居て、その人は適切な人選で適格者を引っ張ってこれる人だったりするんですよね。
こうしてみると、英雄譚のような戦記物のように綺羅星のごとく将帥が揃っている、というわけではないのですけれど、ガーディ陣営には質実剛健の頼もしい土台を担える人材が揃っているのがよく分かる。そして、ガーディを慕って集まることになったゴブリンや人狼、トロールなどの異種族による精鋭諸兵科部隊という槍の切っ先。
まあそれ以上にやっぱり、精霊魔法、或いは占いという名称で語られる高等数学による演算に基づくガーディの先見が並外れているからこそ、すべてが適切に配置されていくのですが。
ガーディって情が深いように見えてそれらに左右されない完全に理系軍師なんですよね。政治はわからないどころか人の世界の常識も知らない世知に疎い人物だし、あれほど優しさに特化した性質でありながら人の心理というものにも疎い。
今回、リエメンの侵攻をまるで予知したように侵攻の開始から軍勢の数、侵攻ルートに戦略目的まで見抜いてみせたのは、それだけニフレディル女王による侵攻計画が合理性と必然性の塊だったから、と言えるのかもしれません。不合理の入る余地のないほどの完璧に整えられた計画だったからこそ、ガーディには手にとるように予測できた、と見るならばそれだけニフレディル女王が完璧な計画を完璧に実行していたという事実に突き当たるわけで、この幼女王ガーディと遜色ないバケモノなんじゃないだろうか。
惜しむらくは、彼女が才能を発揮せざるを得ないリエメンという国の状況が、災害によって破滅を避けられない状況であり、動ける間に生きるための食料を確保するために他国に全国民ごとなだれ込まなければならない、という時間制限付きの絶望的な状況であり、それを理解していない現状を把握できていない者たちを排除したために、人材という人材が払底しきってしまったという事なのでしょう。軍は糧食がなく、ただただ前に進んで略奪しなければそのまま枯死するしかない。前提条件が悪すぎた。
この幼い女王の身を確保できたことは、森州にとってどういう意味を持ってくるのか。リエメンという国が崩壊しながら、その国民の少なくない数を難民としてではなく移民的な形で森州に吸収できそう、というのはフローリン姫の立場にとっても重要な意味を持ちそう。
すでに、ガーディを近侍としたことでフローリン姫は独立領主としての道を歩みだしている、と周囲からは認識が持たれはじめているし、アンドゥイレドとシンクロのフローリン姫の両輪も、ここにきてガーディとフローリン姫の婚姻を本気で進めに掛かってますし。本国から独立独歩の道を歩もうという気満々なんだよなあ。
そのフローリン姫はというと、もう王族として仮面をかぶるのは完全にやめてしまって、今は公然とガーディの世話を焼くと公言して実行してますからねえ。それはもう好意以上のものだと思うのだけれど、この姫様は浮世離れして危なっかしいガーディの世話を焼かねば、という使命感に燃えているので彼が旦那様に、とかは果たしてどこかで現実味をもって捉えているのか。
むしろ、一旦婚約しそうになりながら引き離されたナロルヴァの方が、ちゃんと自分の気持ちというものに向き合えている様子が見える。
それにしても、世話を焼きたくて仕方ないフローリン姫がまたかわいらしすぎてたまんないんですよね。作中でも繰り返し語られてますけれど、近侍とは本来主君の世話をするような役職のはず(まあ実際は建前に縛られない必要に応じた自由度の高い立場みたいだけど)なのに、なぜか主君のフローリン姫が彼のお世話をしようと彼の住まいまで毎日訪ねてくるような様子で。森州の最高幹部が集まって今後の方針を決めよう、という会議に姫様が直々にガーディ呼びに来て、手を引っ張って会議室まで連れてきた挙げ句に「連れてきました!」ですもんね。なんだこのかわいいお姫様は。
それをみんなが微笑ましく見守っている、というのがこの森州の雰囲気を一番最適に現しているような気がします。
アンドゥイレドさんも、「ワシは、意外に小僧のことを小僧と呼ぶのが好きだったのだな。ガーディさまと呼ぶのが惜しい」という一言でこれまでも好きなキャラだったのですけれど、なんかもう大好きになってしまいました。こういう露悪的で周りからは嫌われているけれど、有能だし実は情も深いしというキャラはやっぱり好きですわー。

ついに「信長公記」の太田牛一みたいな、武将でありながら後にガーディの業績から日常的な様子まで書き残すことになる人物まで登場してるんですよね。
さながら現代から当時の人が残した資料を元に歴史家の視点で、ガーディたち当時の人たちの現代での評価を語ったり、歴史的事実に関しての見解や論説を述べたり、という歴史小説風味の語り口はやはり本作の大きな魅力の一つで、うん面白いなあ。面白い。


いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら ★★★★☆   



【いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら】 永菜 葉一/なび  MF文庫J

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青春の全てを捧げた、小説の世界は――戦場だった。

柊海人の日常は全てが灰色だった。可愛い妹と何かと気に入らないことがあればすぐに激昂してしまう父。アンバランスな家庭を守るため、アルバイトに明け暮れ、将来のことなんて考えられなかった。
天谷浩太の日常は全てが虹色だった。幼いころから欲しいものは何でも与えられ、何をしたって上手くいった。そんな二人に文芸部部長・神楽坂朱音は小説の世界の素晴らしさを説いた。そして、囁く
「君たちのどちらかがプロデビューして、私を奪って欲しい――」
いびつな関係の3人が小説という名の戦場に出揃うとき、物語は動き出す。小説に魅せられた少年少女が贈る、本物の青春創作活劇!
ああ、珠玉を見た。
これには「小説を書く」という行為にまつわるあらゆるものが詰まっている。
小説を書いた事のある人は、まず最初に自分の中からこみ上げてくる「物語」を文字にして打ち出そうとする行為そのものに、とてつもない大きな壁を感じ、恥ずかしさに躊躇い、清水の舞台から飛び降りるような心境を抱いた事があるのではないだろうか。
あの書いてみたいという欲求と、書くという分不相応とも思える行為への抵抗感のせめぎ合い。かつて二次創作という分野ではあるが、物語を書くという経験がある身としては、朱音に促されて海人が初めて自分の文章を書きはじめるまでの躊躇う姿に、随分と懐かしい思いを抱いてしまった。
あの越えた瞬間から、筆が走りはじめた時の開放感のような、未知の世界に踏み入った高揚感は未だに克明に思い出すことが出来る。
そんなふうにして、この海人ともうひとりの主人公、浩太の作家として歩んでいく二人の姿を見ていると気付かされるのだ。これは、思い出だ。経験であり、体験であり、過去から今に至るまで抱き続けた感情であり、モノを書くという事への理解であり、認識であり、未だ結論に至らない道程で振り返り、足元を見て、空を見上げて、これから征く道の先へと目を凝らす。そんな、作家としての有り様、在り方を一つ一つ腑分けして、分け与え、魂を吹き込んだのがこの作品の登場人物たちなのだ。
だから、彼らの叫びは生の叫びだ。青臭かろうと、演出過多に見えようと、ディフォルメされていようと関係ない。それは余分なものを飛び越えて、直截に此処に届く、響いてくる。
そこには、小説を書くことへの一切が詰まっている。書く喜び、書くことの楽しさ、苦しさ、辛さ、恐怖があり、高揚があり、喜悦があり、絶望があり、迷いがあり、達成がある。何故書くのか、何故書きたいのか、どうして書き続けるのか、書かなければならないのか。理性の産物であり、本能からの欲求ともなる執筆という行為。その根源を、ここに現れる登場人物たる彼らはすべて曝け出してくれている。
その中でも、彼ら主人公の海人と浩太はその体現者だ。そして二人はそれぞれ、小説を書くという行為に対しての人生における位置づけが異なっている。それは光と闇という表現で区別され、二人はまったく別のスタンスで小説を書くことに人生を賭している。
その対比が重要なのだろう。主人公が二人いて、二人それぞれの視点で小説を書くという行為に向き合うことが、視野や焦点を狭めることなく、たった一つの答えではない幾つもの作家としての在り方を肯定することに繋がっている。ひいては、文学部の先輩達それぞれの作家としてのスタンスの違いもまた、小説を書くという事への向き合い方への多様性を肯定していると言えよう。どれもが間違いではなく、尊重され、肯定されるに相応しい立ち方なのだ。
それは、浩太と海人にも該当する。生い立ちも、その人生の歩みも正反対のように異なる二人は、作品への向き合い方も、小説を書くという行為に対する在り方もまったく異なっている。しかし、彼らはお互いを否定はしない。むしろ、相手の在り方にこそ憧れている、と言っていい。そして同時に、自分の在り方に確かなものを見出している。もちろん、迷いが生じるときもある。反発が生まれるときもある。しかし、誰よりも相手を認め、尊敬し、だからこそライバルとして鍔迫り合い、時としてその選択を許せずに己の信念をぶつけることになる。
そうやって際立っていくのだ。相反するかのように見えた光と闇の、作家としての在り方はどちらもまた本物なのだ、と。その両方が、きっと彼の人、この作品を手掛ける永菜さんの中に内包されていて、両立しているのだと。それを描き出すのには、主人公はどちらか一人では足りなかったのだ。海人と浩太の二人であったからこそ、相乗させ全部引き出せた、描き出せた、と思えるのだ。
だからこそ本作は論ではなく、談である。
これほど自分自身を腑分けして直接それらを叩きつけながらひとり語りになるのではなく、登場人物たち一人ひとりの「人生=生きる事=書く事」への全力を描き出した青春物語と成しえて見事に完成させた事に、感嘆を禁じえない。
一読者として、心揺さぶられる作品でした。心に沁み入る作品でした。

ラストシーン、海人くんの現況は色々とご自身のそれが投影されてる感じもありますが、打ち切りなんかにゃ負けん欲しいです。わたしゃ、永菜さんの作品、どれもこれも大好きですよぉ。てか、なんでどれもこれも一巻だけなんだよ、どれもべらぼうに面白いのに!! 納得いかーん!!


永菜葉一・作品感想

異世界はジョーカーに微笑んだ。 ★★★☆   



【異世界はジョーカーに微笑んだ。】 赤月 カケヤ/かかげ  MF文庫J

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権力を振りかざし偉そうにしている奴らは、全員死を持って償え――。

罪を犯しても裁かれることのない権力者を趣味で殺害していた頭脳派凶悪犯罪者【ジョーカー】は、異世界に転生した。異世界で授かったあらゆるものを騙す【偽装錬金】の能力と、殺人鬼としての異常性。それらが重なり合い、彼は最強の救世の殺戮者となる。
《人は首を切断しても数秒は意識があるという。死の間際に己が愚行を反省しろ》
「第5回小学館ライトノベル大賞」にて優秀賞を受賞した問題作、『キミとは致命的なズレがある』で鮮烈デビューを果たした赤月カケヤが贈る、腐った上級国民は全て駆逐!系ダークファンタジー!!

世には「正義の殺人鬼」などと呼ばれていた彼だけれど、自分でそれを名乗るような厚顔の輩でもなく正義に酔いしれる愚か者でもない。主人公はただ殺人を趣味と公言するように自他共見える社会不適合の異常者である事に違いはない。
実際、彼は正義の味方なんかではなく、弱者を守ったり助けたりするような事もない。やる事と言ったら、復讐の代行くらいのものだ。彼、復讐という行為の正当性について、復讐そのものを借り物の「復讐は無限の連鎖をうむからだめ」みたいな事を言う結奈を論破するために散々に言い負かしていたけれど、さてどこまで彼自身が自分の語った復讐の正当性について信じているのだか。あれは詐欺師の論法で自分も信じていないようなことをさも正しく唯一の解法のように語って相手に有無を言わせなくするだけのもので、とても自分の信念に基づいた思想とか正論を語っているものではなかったですし。まったくもって、騙りである。
彼の場合、だいたいがその騙りなので、正直に本心を口にしている場面がどれほどあるのか。殺人鬼という以前に詐欺師の類なんだよなあ。
そして、彼は誰も救えていない。救おうとしたのかも定かではないけれど、実際問題として彼に関わり好意的に接してくれた人々は、概ね無残な形で惨死を遂げている。おそらくは、彼が亡くした妹にほど近かった少女まで、結局彼は救うことが出来なかった。
殺人という行為に目覚めるのが遅かったために、救えなかった妹の存在はたしかにこのジョーカーに根ざしている。でも、殺人を行うようになっても、結局どれだけの人を助けることが出来ているのか。
彼の中に残り続けているもうひとりの「結奈」もまた、そうしたうちの一人なのだろう。
結局、彼は誰かを幸せにできる存在ではないのだ。それを、彼自身弁えているのだろう。彼が出来るのは、報いを受けさせる事だけなのだ。

極悪非道の人面獣心の悪人どもに、その悪行の報いを受けさせ、彼らが殺した者たちと同じかそれ以上の苦しみと痛みを与えて後悔させ尽くしてから殺す。無残に殺す。人々の尊厳を踏み躙ってきた者に、尊厳を奪い尽くしてやってから殺す。辱めて殺す。絶望させて殺す。
でも、それはそれだけの悪行を彼らが嬉々としてやり尽くしたあとの事なんですよね。それだけの惨たらしい、穏やかで善良な人たちが酷い殺され方をして、残された人々が絶望に打ち震える様子をこれでもかと見せつけられたあとに、行われる始末である。
それを、痛快には思えない。胸糞の悪さを払拭するためのただの憂さ晴らし程度のものだ。気すらも晴れない。それでも、この連中が報いも受けぬまま、後悔も絶望もしないまま、これまで通りに振る舞い続けるのを見せられるよりはよほどマシ。最低限の精算である。後味の良くない、それでもこれ以上悪くならないための一線を画する、という行為だ、これは。虚しくとも、ケリをつけなければ誰も前に進めなくなる、酷いゴミ処理のお話。
それを、ジョーカー自身も決して楽しんではいないのだろう。趣味だと語るし、自身の絶対優位を確信している強者が絶望に顔を歪ませるのを見ることに愉悦を感じるのも嘘ではないのだろうけれど、彼の中にあるのはそういう「楽」ではなく、本質は「怒」の方に見える。
報いは、彼にも訪れるのだろうか。彼の奥底に安らぎを与える可能性があっただろう人物は、妹も「結奈」も結局は踏みにじられてしまった。その彼の心に平穏は訪れるのだろうか。理解者は現れるのだろうか。何の因果か彼の使徒になってしまった元警察特殊部隊の隊員だった坂西結奈は、まあ正直おバカで結構思考も凝り固まってる所もあってジョーカーの根源を揺るがせるものがある娘には見えないのだけれど、おバカであるが故に煙に巻くジョーカーの一番深い部分を直感的に見ている節がある。理解者となり得る可能性も、あるのだろうか。
救いは、彼にもあり得るのだろうか。
なかなか際どいライン上を踊る作品で、色んな意味でドキドキさせられましたが、さて次回以降もあるとしてどこまで攻めるつもりなのか。やっぱりドキドキさせられるなあ、これ。

赤月カケヤ・作品感想

鬼畜先生の博愛教育 ★★★☆  



【鬼畜先生の博愛教育】 藤川 恵蔵/小森 くづゆ MF文庫J

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目には目を、歯には歯を。異能で荒れる学園を異能でねじ伏せ更生させる!

学園島タルタロス――ごくまれに異能を持つ者が産まれるようになった現代において、政府がそういった特殊な能力を持つ者たちを管理・教育するために、いくつもの異能学園をまとめて作り上げた巨大な教育施設である。そこに新任教師として赴任した神永カムイは、異能学生の集まる今の学園がいかに荒れているかを目の当たりにする。ただでさえ異能に対応できる教師が少ない上に、異能によるイジメや喧嘩、果ては異能を狙う外部の悪党たち――荒れ狂う学園を、かつて自らも異能学生として“異能バトル”に明け暮れていたカムイが、学園の問題と真っ向からぶつかり、豪快に力業で解決していくことに――!

鬼畜か? これ鬼畜かしら!? カムイ先生のこれって、脳筋って言うんじゃないの!?
わりと力任せに物事を解決してますけど、結果としてそうなっているだけで、ちゃんとその場その場では対応をよく吟味し思慮しているので何も考えずに暴力に訴えたり、という真似をしてるわけじゃないんですよね。
よく考えた結果、パワーに訴えているだけで。うん、脳筋ですね!
ただ、その能力で残虐ファイトとか……まあ多少蹂躙戦なんかはしていますけれど、必要以上に生徒たちを痛めつけたり傷つけているわけではないですし、そんな「こいつはひでえ」という有様を現出させているわけではないので、鬼畜呼ばわりはちょっと可哀想なんじゃないかな。
カムイ先生、ちゃんと理想をもって先生やろう、生徒時代にかまけていた能力バトルにはもうウツツを抜かさずに生徒を育て導いていこう、とちゃんと真っ当な若き情熱をたぎらせて先生になったんですよ。熱血教師じゃないですか。
鬼畜はむしろ、そんなカムイ先生を騙して呼び寄せ、「先生が一人もいない」という超絶ブラック環境な学校タルタロスに赴任させた白銀校長の方じゃないかな!?
いきなり新任教師、学校唯一の教師になる、である。
まあ授業の方はオンラインで外部から講師が画面を通じてやるので、学業に関してはそんなに問題ないみたいなんだけど。
白銀校長の目論見としては、カムイ先生に期待しているのは教師としてではなく、異能者として学園内の治安維持をはかるための常駐警備員だったんですよね。教師として理想に燃えるカムイ先生に対してそれは、結構な鬼畜だと思うんだけどなあ。
とはいえ、カムイ先生、おおらかというか鷹揚というかあんまり深く悩まない性質なのか、おおむね「まあいいや」という感じで流しちゃうんですよね。そして、構わず先生として日々起こる学園内のトラブルに首を突っ込んでいくのである。というか、向こうから舞い込んでくるんですけどね、トラブル。学校唯一の先生狙い撃ちで。
それは、同時に生徒たちが抱えているそれぞれの問題にも起因していて、カムイ先生も受け身にはならずに、積極的にその問題解決に生徒たちに踏み込んでいくのである。
まあ短気で手が早いカムイ先生であるからして、その解決方法は腕力!のケースが多いだけで。
難しい問題は力づくで、となってしまうだけで。知恵の輪を解くには引きちぎるのが一番早い、ってなってるだけで。
生徒思いの先生なんだよぉ、本当に。
勤務初日に十人以上の生徒に襲われて、返り討ちにボコボコの半殺しにしたりしていますが、本人は暴力反対なのです。力づくで無理やり問題を解決するのはよくない、とちゃんと思っているんです。だいたい力づくになってますけど。
むしろ、物騒な考え方をしているのは年の離れた幼馴染でこの学校の生徒でカムイ先生の助手みたいな役回りを自認している雪姫の方なんですよね。ヤンデレだろう、この娘。先生に振り向いてもらうとか好きになってもらうとかを既に通り越して、既にガチ嫁のつもりで侍ってますしね。思考の方向が超暴力的で、まず先生の邪魔するやつは処す、事情があろうと処す、という考え方の人ですし。やられたら百倍返しだ!(物理)の人なので、何気に先生が赴任してきて再会したときも超ボッチ状態でしたし。いや、ボッチというより孤高、敵も味方も関係なく周辺に人はおらず、という感じで。色んな意味で無敵の人、なんじゃないだろうかこれ。
わりとカムイ先生への当たりは普通でコミュニケーションにも難があるタイプには見えずにカースト上位の友達多そうなキャラに見えたのでしばらく気づきませんでしたけれど。
やばいね、うん。
ただ、振り返ってみるとこの作品のキャラって、大半がヤンデレ気質な気がするので雪姫も別にヤンデレが売りってわけじゃないんですよね。標準装備? 白銀校長も、雪姫曰くカムイ好きを拗らせきった上で、ペットを籠に閉じ込めって好きが高じすぎて弄り殺すタイプみたいですし、数々のトラブルを引き起こしてカムイ先生を犯罪者に仕立て上げて失職させようとしていた都城雅という少女も、正義感の拗らせすぎで相当に思い込みの激しいタイプでこれ惚れられるとヤバい系でしたし、さらのその背後で暗躍し、カムイ先生をトラブルの渦中に放り込んでいたライバルとも旧友とも言える人物も、カムイを憎んでいるんじゃなくてむしろ好きすぎてちょっかいかけるのが高じすぎてちょっとテロリズムになってるだけですし。だけって……。うん、十分ヤンデレしてますよね。
敵も味方も、ヒロインも総じて病んでる気がするんだけどなあ。例外はほんと、常識人の焔ちゃんだけなんじゃないだろうか。
こういう連中に囲まれているので、脳筋なカムイ先生だけど情熱は真っ当だし、生徒時代のやんちゃを反省して大人になった今は何とか立派な大人として生徒たちを導いてあげたい、という考え方は親身に接する姿は博愛とも言えるし、豪快でいい先生なんですよね。
まあ、若干頭のネジ外れている感もありますし。自分に対する敵意とか頓着しない、鈍感というか
精神が鉛という所もありますけど、行動論理もしっかりしてますし倫理観もそれなりにちゃんとした人ですし、鬼畜先生はほんと言い過ぎだと思いますよ。せめて脳筋先生で勘弁してあげてください。

そして、日向くんは確かに登場人物全員がこいつやべえ、というだけあってヤバかったです、いろんな意味でw
いやでも、完全に踏み外して思考回路もズレているようで、時々本質をズバッと突くような事も行っているので、夢の世界だけで生きているわけじゃなさそうなんですよね。悪い子ではないのだ、悪い子では。ヤバいけど。


藤川 恵蔵・作品感想

Re:ゼロから始める異世界生活 12 ★★★★   



【Re:ゼロから始める異世界生活 12】 長月 達平/大塚 真一郎  MF文庫J

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繰り返すたび、記憶と異なる展開を見せる『聖域』――四度目の機会を得たその場所で、スバルはついにあってはならない存在、『嫉妬の魔女』との邂逅を果たす。影に呑まれる集落、敵であるはずのガーフィールの助力、実験場と呼ばれた『聖域』の真実。――そして、白い終焉を迎える世界でスバルの覚悟を嘲笑う魔人。希望に裏切られ、真実に絶望し、それでも未来を諦められないスバルは魔女との再会を求めて墓所へ臨む。そこでスバルは、『ありうべからざる今』と対面し――。「――もう、立てなくなってしまいましたか? スバルくん」大人気WEB小説、期待と裏切りの第十二幕。――置き去りにした世界の、声を聞け。

情報量が、情報量が多い! 前のVS白鯨&大罪司教編は死に戻りの度にジリジリと前に進んでいた感じだけれど、この聖域編は死に戻りするたびに、次に死んでしまう展開がどんどんと早まってしまうという恐怖。状況を打開するどころか、前回の出来事を踏まえてそれをクリアしようと別の行動をとったらどんどん想定外の事が起こるわ、ガーフの行動が過激化するわ、エルザの襲撃が早まるわ、とむしろ対処の余裕がなくなっていく始末。これほんとどうするの?
という時に、困った時のエキドナさん。我らが強欲の魔女である。エキドナがばっちりスバルをサポートするよ! とばかりに手を差し伸べてくる。
そりゃあスバルからしたらはじめて自分の死に戻りを告げることが出来た相手である。心だって許すよなあ。
しかし、相手はやっぱり魔女なのだ。
とはいえ、今回の周回は収穫が多かったのも確か。情報量が多い! と叫んでしまうほど。
リューズの正体、朧気ながらもガーフの行動原理も見えてきて、ロズワールが隠していたものも。そして、何よりあの小さな図書室の精霊ベアトリスの圧倒的な孤独と絶望を、知るに至ったのだ。あの子の絶望と諦観の海に溺れながらも、幾度もスバルを助けてくれた優しさも。
こうしてみると、スバルの死に戻り周回というのは目の前の絶望をどう回避し乗り越えるのか、という点からスタートしつつ、それとはまた別に何度も繰り返す中でそれまで見えていなかった状況、周りの人たちが抱えている事情、幾つもの秘められた真実が解き明かされていき、その中からただ危機を、絶望を乗り越えるだけではなくて、達成スべき目標や命題というものを見出していくことに繋がっているんですね。
此度はまさに、聖域を脱出し大兎の襲来をなんとかし、館へのエルザの襲撃をなんとかし、という大前提の状況回避を図る中から、ガーフィールの心情に向き合うことになり、またこうしてベアトリスの解放をこそ命題とすることになる。
また、スバルがある意味神聖視して直視していなかった、エミリアという少女の脆さについても向き合わなければならなくなったんですね。エミリアも、あれだけボロボロになりながらいざ目の前にボロボロのスバルが現れたら、速攻で自分の精神状態とか後回しにしてスバルにかかりきりになっちゃうから、スバルの方も勘違いしちゃうんですよね。それはエミリアの強さであり優しさであるのだけれど、同時に不安定さでもあり無理やりつま先立ちで走り回っているようなものなのだろう。そんな心身を支えるために、どこかで誰かに頼っている。それがパックであり、彼がいなくなった今となってはどうしたってスバルになってしまっていた、と。
彼女が好きと言ってくれたはじめての瞬間が、あの有様というのはスバルにとっては無残としか言いようがないよなあ。そしてそのエミリアの姿は自ずと嫉妬の魔女と重なってしまうと。確かに、ああなったエミリアは、嫉妬の魔女に重なって見えるもの。

そして何より衝撃的だったのが、スバルが巻き込まれた第二の試練。そこで示されてしまった、彼の死に戻りがすべてリセットされた上での巻き戻し、ではない可能性。すなわち、スバルが死んでしまった世界はなかったことになるのではなく、そのまま続いている可能性が示されてしまったんですな。
「ありうべからざる今を見ろ」
これがスバルにとってどれだけ衝撃だったか。足元を崩されるような、まさに崩壊だったんじゃないだろうか。ある程度自分の死を前提として、捨て回という概念すら得て、苦しみと痛みに満ちた狂うような死を許容して、次に至る。その覚悟を、示された可能性は踏みにじるものだったのですから。
ただ、捨て回とか自分の死を軽んじる捉え方は弊害も生み出しはじめてたんですよね。ガーフが度々、自身の死を踏まえて動くスバルに凄まじい嫌悪感を見せていたように、それはまともな在り方ではなく狂気に足を踏み入れた在り方なのだ。どうせ死んでも生き返るから、という前提をガーフや他の人間は知らないから、狂気に見えるのだという見方も出来るかも知れないけれど、やっぱり異常ですしそうした人間を周りの人間はどうやったって忌避していってしまう。
またスバルの側も、どうせやり直すから、という風に今いる世界、時間軸を捉えていたら、そこで黒広げられる惨劇にも、身近な人間な死にもどんどんと鈍感になっていってしまう。実際、ロズワールに鋭く指摘されてるんですよね。目の前で起こったガーフとラムの死に、反応が鈍かったことを。それは、スバル自身が気づいていなかった精神の摩耗であり、死に対する鈍感でもあったわけだ。
でも、試練が見せた可能性は、そのスバルの鈍磨した世界の捉え方を根こそぎ吹き飛ばしたとも言える。
もうとてもじゃないけれど、スバルは安易に容易に自ら死を選ぶことは出来ないだろう。自分の死を前提とした選択を取れないだろう。そうして自分が死んだ後に残った者たちの、慟哭を絶望を見てしまった以上は、自らの手でそれらを作り出すことなんて選べるはずもなく……。
でもそれは、同時に今生きている時を絶対に諦めずに頑張り通す、という覚悟を定めるきっかけにもなれるはず。土台ごとふっ飛ばされたけれど、やはりこれはとてつもない大きな分岐点だったんだよなあ。

そんな価値観というか在り方から根こそぎふっ飛ばされ、絶望し、恐怖し、混乱し、支えすらも失って、途方に暮れるスバルに手を差し伸べる強欲の魔女エキドナ。
うん、まったくもって後ろ暗さを欠片も感じさせない、好意的で親身で自分の欲望をさらけ出しつつも相手に寄り添うとても優しい、支えとなる手。
唯一、死に戻りという地獄を告白できる相手であり、相談できる相手であり、心の苦しみを打ち明けられる相手である。スバルにとって、この異世界に転移してきて以来、無二の相手だったはず。
縋るよねえ、そりゃ差し伸べられた手を握ろうと思うよねえ。
実際、その態度は常に胡散臭くも好意的で、いっそ胡散臭さも親しみに繋がるような要素になってて、ちょっとこれを疑えというのは難しい。疑っていても、信用していなくても、それでもちょっと手を借りるくらいなら、と思ってしまえるエキドナの言動だったわけで、これはスバルを責められない。
だが魔女である。
一皮剥いても魔女である。ってか、質悪い。この異質さを、さらっと覆い隠して見せない事のできる狡猾さがまたたちが悪いこと極まりない。自分とスバルたちとでは何が異なっているのか、どれだけ理解と価値観が異なっているのか、本当の所まるでわかっていないくせに。それはベア子の扱い方についても、スバルが何に怒っていたかについてもさっぱりわかっていない事からも明らかなのに、その差異を、異質さを気づかせない振る舞いが出来るというのは、ほんとうにたちが悪いったらありゃしない。
此度は他の魔女たちが味方してくれたから、スバルはやべえ契約書にサインするのを回避できたわけですけれど、しかしその他の魔女たちもやっぱり魔女たちなわけで。
しかも状況は今の所なにも改善されていないどころか、死に至る過程。死の要因である大兎やエルザの出現理由がまだ全然わかってないんですよね。なんか今回すげえ色々と伏線とか真実とか秘密とかが明らかになってわかった気にさせられたものの、まだまだ解決クリア編へと移行するにはあまりにも何もかもが足りてなく集まっていない。そこにどんどんスバルを追い立て追い詰める展開ばかりが積み重なっていく。さあさあ、毎度ながらどこまでスバルを追い詰めきるのか。あいも変わらず半端ねえ。

シリーズ感想

異世界、襲来 02.王の帰還 ★★★☆   



【異世界、襲来 02.王の帰還】 丈月城/しらび  MF文庫J

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激化する対異世界革命的戦記。舞台は関西へ――

水上租界《那由多》に辿り着くもその矢先、分断された一行。ユウとアインは大魔術師クアルダルドの《ポータル》に囚われ、伊集院たちは《那由多》を統治している亡命エルフの理事会と接触していた。理事会と国防軍との間に生じる不穏な空気を感じながらも、久々の文化的な生活を満喫する伊集院たち。一方のユウとアインはクアルダルドの歓迎に戸惑いつつ脱出方法の模索を開始する。そんななか、ユウは三号を継承することに対して抵抗を感じていた。皆の希望となって戦うこと、ヒーローとしての資質に対して悩み始めた彼が出した答えは……。丈月城×しらびによるヒーローVS異世界の革命的戦記、怒濤の第2巻! 今、王は帰還する――。


正義のヒーローになんかなれない。国が崩壊してからこっち、人間の、大人の醜い行いに何度も痛い目を見て、嫌な目にあわされ、傷つき続けて。きっと彼は失望していたのだろう。
そんな嫌な人たちまで、なんで身を挺して守らなければならないのか。それは至極当然な気持ちだ。
ユウは今、アスラフレームという誰にも有無を言わせない圧倒的な力を持ってしまった。それを如何ようにも振るえるのが今の彼だ。そして、着装者3号という偶像に人々は期待を重ねヒーローが助けてくれると願い信じている。
その期待に応えることが嫌だからこそ、ユウはずっと不調だったんですよね。そこからどうやって折り合いをつけるのか。
丈月さんの描く物語の主人公は、みんな精神的にタフ、を通り越してどこかしらに突き抜けたメンタルを持つある種の超越者でもあり、自分の行動の芯の部分に不動の揺るぎないものを持っている完成した人間でも有りました。
だから、ユウが普通にこうして悩むというのはいっそ新鮮ですらあるんですよね。分不相応の力を手にしてしまったものの、当たり前の苦悩。
尤も、そこで等身大の少年らしい答えを出してしまうのではなく、ある種の突き抜けた着地点へと到達してしまうところが、さすがというべきなのでしょう。
仮面の英雄、という正体不明で個人の特定がかなわない存在であるからこそ、誰もが望む偶像になり得る。ユウ個人が受け入れられない理不尽も、着装者3号という英雄ならば呑み込んで守ることが出来る。
あれほどの力を得ながら、その力と自分とを分けて考えることにした、という事なのだろうか。その在り方は戦士というよりも、まさに王。個として威を発する存在ではなく、集の意を束ねる王様という座こそが、ユウが継承したものだ。
同じ王……門主たるダルヴァの大魔術師たちとはまったく正反対の在り方なのだろう。
それに着装者3号はユウが身に纏うとは言っても、ドローンなどの運用含めてアインや伊集院などの仲間たちのサポートがあってようやく万全の力を振るえる存在でもある。ユウ個人ではなく、仲間たちとともに着装者3号というヒーローを創り上げ、形成する。そこにはエルフの賢人たちの支援も必要で、国防軍の軍人たちや市民の協力だって必要だ。そうして、バラバラだった衆を束ねて一つの意志に基づく集団となっていく。
今までユウたちが遭遇してきた人々は、国や組織の統制を失い無秩序にバラバラに動き回り、末端の人たちに負担を押し付けながら、バラバラの方向を向いたまま小さく固まって結局千々に砕けて滅びようとしていた。
だからこそのとにかく皆を守るのだというヒーローであり、希望を集めることで皆を束ねる王という偶像だったのだろう。
かつてユースのサッカープレイヤーだったユウが、途中で野良サッカーの試合に参加するシーンがありましたけれど、そのサッカーのシーンこそが示唆でもあったのでしょうね。チームの指令塔として、その意図を理解する者も理解しない者も含めてまとめあげ、誘導していく姿。パス出しに徹するようで、最後に自分でゴールを決める戦術。チームで唯一ユウの意図を理解して支援してくれていた最大の味方であった人物が、現実ではユウたちの今を一番理解しておらずぶち壊そうと動いてる国防軍の佐久間だったというあたりなど。
何事も表裏一体。それをどう呑み込んでいくか。元々の資質ももちろんあったのでしょう。アインが見込んだのもそのあたりでしょうし。しかし、苦悩する少年に道筋をつけてくれたのは、なつきさんなんですよねえ。この傾奇者な女子高生、年齢的にも姉御になるのか。その明るい性格とは裏腹に、あっけらかんと喋ってくれますけれど国家崩壊からこっち彼女がくぐり抜けてきた修羅場は、ただの生き死にの場どころではなく、津波のように押し寄せてくる人間の悪意そのものを切払いながらのすさまじい経験だったはず。ゾンビ映画にたとえてますけれど、相手は生身の人間だったはずですしね。
それでこれだけ明るさと豪快さを保って、ユウたちに対してもどんと構えてくれているのですから、頼もしいなんてものじゃないんだよなあ。女子高生というキャラの枠組みから完全に中身が溢れかえってますよ。
彼女自身、もうヒーローそのままで偶像になりそうなものなんですけれど、敢えてこの娘は戦士の方向に突き進むのか。まさかこんなに早々に強化イベントが来るとは思いませんでしたけど。これ、実質ユウと同格なんですよね。ちょっと特化しすぎではあるんでしょうけど。
アスラフレームって、全部スーツタイプだと思ってたので、これは予想外だった。
アリアも何気に重要なポディションであることが発覚しましたし、アスラフレーム12体が全部揃うのそれほど遠くはないのだろうか。何体かは情報出てますし、最後は別の着装者も出てきましたし。
まあ、全部が味方ってわけじゃないのでしょうけど。一致団結して最強の敵にあたろうか、というシチュエーションで速攻嬉々として同属で潰し合いの内戦はじめたカンピオーネは忘れんぞw




終焉ノ花嫁 ★★★☆   



【終焉ノ花嫁】 綾里 けいし/村 カルキ  MF文庫J

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拘束を、隷属を、信頼を、貴方に――約束しよう、貴方のために全てを殺すと

突如出現した脅威【キヘイ】が世界を蹂躙して幾百年。人類は対抗手段として魔導学園・黄昏院を設立し、日夜戦闘が繰り返されていた。
運命の日、魔導研究科所属のカグロ・コウは【キヘイ】の死骸回収のため、とある遺跡に出向き、不運にもその命を散らした……はずだった。【キヘイ】の少女に救われるまでは――。
「初めまして、愛しき人よ――我が名は【白姫】。これより先、私は永遠に貴方と共にあります」
物語の中の騎士のように、御伽噺の中の姫のように、目覚めた少女は告げる。それが終わらない地獄の始まりになろうとも知らず――。
『異世界拷問姫』の綾里けいしが贈る、希望と絶望が織りなす、感動のダークファンタジー!

「キヘイ」なる存在と結ばれた特別な唯一無二の一組、というわけじゃないんだ、主人公と白姫のカップル。秘されているとは言え、丸々一クラス分の人数、キヘイと「結婚」した人間がいるわけね。それも、白姫のような喋れる人と変わらぬ姿のキヘイのみならず、魔獣型としか言いようのない甲型・乙型・特殊型のキヘイとも「結婚」している生徒たちが、二十数人。
なので、コウと白姫がただ二人きりの特別な存在として孤独な戦いを繰り広げるのではなく、ちゃんと同じ境遇の仲間たちと一緒に戦い、一緒に学校生活を送る学園モノとしての体も整っている。
同時に過酷な絶滅戦争の只中、その最前線を担う最強のクラスのメンバーとして、全員戦う覚悟と死ぬ覚悟が決まっている子たちでもあるのだ。だから、彼らは穏やかで朗らかに日常を謳歌し、その上で戦うことを厭わない。その末に死ぬことすらも受け入れている。
そんな仲間たちなので、白姫と出会いこのクラスに配されるまで、周囲から白面と侮蔑されるほど感情の動きが鈍い主人公でも全然浮かずに馴染んでいる。彼をありのまま受け入れる彼らキヘイとの婚姻者だけで編成された特殊部隊「百鬼夜行」の面々の精神性は、やはり普通の生徒たちからは逸脱しているのだろう。主人公カグロ・コウのように。だからこそ、仲間意識もまた強く結びついているのだろうけど。
コウとパーティーを組む面々もまた個性的なんですよね。ミレイさんだけは、個性的の方向性が一人だけ明後日の方向にいっちゃってる気もしますけれど、彼らとは日々の訓練と日常生活を共に過ごすうちに掛け替えのない友人となっていくのである。みんなの兄ちゃんという感じのヒカミと、ミレイのなんか幼馴染み感のある距離感は、本人たちは全くその気ないようなのだけれど傍から見てると間に入れない雰囲気があって、ちょっとこれどうにかなるんじゃないかしらと期待してしまうくらいでして。
ただ、全体的に話の展開に余裕がなくてイベントがとにかくギュウギュウに詰め込まれてしまっていた感がある。コウと百鬼夜行のクラスメイトたち、特にヒカミたちと交流を深めて得難い友人たちとなっていく描写こそ丁寧に描かれていたものの、その中の個人個人と人間関係を深めていくだけの猶予はなかったので、ほとんど掘り下げるまでいかなかったんですよね。ヤグルマくんが変な道に目覚めそうになってたり、と気になる要素はタップリあったのに。
それどころか、肝心の白姫との描写もコウと二人の関係の深さを実感として感じられるだけの積み重ねが、ちと物足りなかった気がする。ほぼはじめから、お互いが絶対という密度の濃い所からスタートしていて、それは全然構わないのだけれどその関係の深さを色付けする様々なエピソードを体験する間もなく、クライマックスに突入してしまったような。
なので、二人の関係を核として物語の根幹に横たわる真実や、様々な謎が怒涛のように明らかになり、それまでの前提などがひっくり返った時も、ひっくり返す台の上に乗った事実に重みを感じるだけの積み重ねが少なかったので、衝撃が軽く済んでしまった所がある。永遠のような地獄、もその地獄の辛さを痛切に感じるまでの削れていく失う痛みが、軽かったんですよね。
その意味では、この内容を一巻に詰め込んだのはちょっとバタバタしてしまった感があります。もしこれ、3巻とか5巻とかの重ねを経て、それだけ人間関係に想いを重ねてしまっていたら、衝撃にのた打ち回るはめになっていたかも。
ササエと紅姫とか一番割食って、ほとんど最強という以外どういうキャラかも見せて貰えなかったし。紅姫チャンなんぞ、ほとんど喋らんかったもんなあ。ちなみに、超寡黙なはずのササエはわりと喋ってたぞw
とはいえ、ここまでを全部プロローグにして、本格的にスタートするのは次から、というのであればとんでもないところまで突っ走って行きそうなだけに、まだまだ期待はしていきたい。
すでに2巻も9月に準備されているようですし。


今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。2.先輩、ふたりで楽しい思い出つくりましょう! ★★★☆   



【今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。2.先輩、ふたりで楽しい思い出つくりましょう! 】 涼暮 皐/あやみ MF文庫J

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天ヶ瀬まなつ。同じ学校の一年生で、幼馴染の妹・双原灯火のクラスメイトでもある。同級生曰く、天真爛漫な完璧美少女。上級生曰く、守ってあげたくなる正統派。そして「うちの高校で彼女にしたい後輩No.1」でもある。そんな学校の人気者である彼女と、学校の不人気者である僕は恋人同士というわけだ。つくづく幸せ者だな。
「いおりん先輩! 遊びに行きましょう! 楽しみにしてたんですからっ!」
つまりは僕は、僕だけが知っている。いつも明るく振る舞う彼女がふとした瞬間に見せる儚げな表情や、少し油断してぼーっとしている瞬間を。望まれる「美少女」を演じるのが上手い、素の彼女の魅力は僕にしか見せないことも。けれど――今の僕は、何か大事なことを忘れてないだろうか。

前回のお話の感想で、自分はこんな風に〆たんですよ。
それは辛いけれど、酷い話かも知れないけれど、きっと悪くないことだったのだ。
悪くないということは多分、良かったね、で良いんだよ、と。これはだから、そんなお話。
そしたらさ、この2巻は
「これっぽっちも良いわけあるか、このボケがーー!!」
とばかりに新ヒロイン・天ヶ瀬まなつが飛び蹴り食らわしに来たお話だった。いや本当に。
まあそれがわかるのは終盤も終盤、最後も最後なわけですけれど。
前回の灯火もそうでしたけれど、そもそもこれって彼女達との交流から、ヒロインの抱えている思惑や意図を読み取り、その真意を解き明かしていくという構図になっているんですよね。
そうやって彼女達の秘めたる目的を暴いてようやく、彼女達と対峙する事が叶うようになっている。
灯火にしてもまなつにしても、本来なら伊織にはそれを知られぬまま事態が完結してしまえば目的達成だったのに、この男ときたら目ざとく違和感に気づいてえげつないくらいにグイグイとこっちの懐に踏み込んでくる。彼女達としては目的の内容からしてどうしても伊織とは絡み続けないといけないわけで、伊織の関与しない所で勝手にすすめるというわけにはいかないから、攻めているようで実際は無闇矢鱈に距離詰められて仰け反って顔赤くしてアップアップになりながら、それでもワタワタと手を振り回してリミットまで押し切ろう、と必死こいて頑張ってるという状況で。
なんだか可哀想になってくるな。
でもまあ、余計と言えば余計な茶々を伊織に入れようとしてしまったのは彼女達の方なのだからこれは自業自得の部類になるのか。
飛び蹴り食らわしにきたまなつも、その蹴り足を掴まれて逆にぶん回されて放り投げられるような末路を辿ってしまったわけですし。
うん、それ自爆特攻でしたね。目にぐるぐる渦巻き浮かべながらの。だから、灯火といいどうしてこの作品のヒロインはそんな自爆特攻してくるんだよ。
献身と言えば献身なんだろうけれど。自分自身を引き換えにして代償にして、というと美しいのかもしれないけれど、なぜか彼女達の場合そういう綺麗で儚い絵図じゃなくて、腹にダイナマイト巻きつけて、死んだらーとドタバタ突っ込んでくるように見えてしまう不思議。
そしてそれを容赦なく叩き潰してゲシゲシと踏みつける伊織くんの図、という感じ。いや、良いこと言って彼女達の献身を受け止めつつ、自分を犠牲にするのは否定して、という定番の形だとは思うのだけれど。
うん、これも灯火がこの巻に至って、どうしようもないレベルのクソ雑魚ヒロインになってしまったのが悪いのだ、うん。お陰で、この作品のヒロインはゲシゲシと踏みつけると嬉しそうにゲヘゲヘ笑いそう、というイメージが湧いてしまった。ぞんざいに扱えば扱うほどクソ雑魚キャラ的に輝く、みたいな。まなつさん、完全に巻き込まれである。
やー、でも伊織ってSっ気の塊風味なところあるので、ヒロインの思惑を挫く際の説得のやり方が散々弄り倒してもう勘弁してくださいと屈した所に、盛大に飴くれまくって甘い言葉囁いて陥落させる、みたいな……こいつ完全にジゴロだよな、的なやり方するので、彼女らMっ気引っ張り出されたあとで調教されましたー、みたいなイメージががが。元々、灯火にしてもまなつにしても尽くす系を重くして拗らせて、自爆特攻!というアレな感じで、ある意味受けの文化圏の人たちでしたし。
そして、ついには釣った魚には餌は絶対やらんとばかりに放置プレイでのたうち回る前回ヒロインの灯火ちゃん。
この娘、確か前回では献身的で健気の局地みたいなヒロインムーヴしてたはずで、凄くちゃんとメインヒロインしてた覚えがあるのですけれど、記憶の彼方に消えてしまいましたね。凄いぞ、灯火ちゃん。素のキャラだけで、かつてヒロインであった歴史を星の涙なしで消し飛ばしに掛かってるぞ。
まなつはまだイイ性格している方なので、次回灯火とおなじ末路を辿るハメにはならないと思うのだけれど。灯火はこのままクソザコ系を前面に押し出していくんだろうか。ちょっと見事なくらいクソザコキャラがハマってしまって、ここまでハマると本気でヒロインとして大丈夫かと心配になるのですけれど。

この二人に比べると、3人目は強度高そうだがさて、肝心の星の涙に纏わる謎はまなつの話を介在してさらに複雑化してきた感がある。時系列もちょっと錯綜している部分があるし、まだ記憶から消されている所が大きい部分を占めてるんでしょうね、これ。次回はそこに大きく踏み込んでいく話になりそう。
しかし、てっきり自分、まなつもタイトルの「幼馴染の妹」の範疇に入ってるのかと穿ってみていたのですが、さすがに違ったのか。病室にいる認識できない親友、のお見舞いにまなつ連れて行ったの、最初は実は関係者だった、という顛末を予想していたので。実際は全く違う形で彼女をお見舞いに連れて行った事が別の因果に絡むことになるのですが。
いやそうなると、次回の娘がやっぱり「幼馴染の妹」という可能性も無きにしもあらずかしら。


 
6月17日

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(GCノベルズ)
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(GCノベルズ)
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(GCノベルズ)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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5月28日

(ヤングアニマルコミックス)
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(ライドコミックス)
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(サイコミ×裏少年サンデーコミックス)
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(ファミ通文庫)
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(ファミ通文庫)
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(エンターブレイン)
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5月27日

(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスEX)
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(電撃コミックスEX)
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(Gファンタジーコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(モンスター文庫)
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(Mノベルス)
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(Mノベルス)
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(Mノベルス)
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(Mノベルス)
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5月26日

(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(エンターブレイン)
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5月25日

(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルスf)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(KADOKAWA)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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5月24日

(あすかコミックスDX)
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(あすかコミックスDX) Amazon

5月21日

(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(アフタヌーンKC)
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(アフタヌーンKC)
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(アフタヌーンKC)
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(イブニングKC)
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(イブニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(ワイドKC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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5月20日

(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(チャンピオンREDコミックス)
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(チャンピオンREDコミックス)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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