【見える子ちゃん 1】 泉 朝樹 MFC

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異形な“ヤバいやつ”との遭遇を全てシカトで凌ぐ。新感覚ホラーコメディ!

ある日突然、普通の人には見えない異形な存在が見えるようになってしまった「みこ」。彼女は彼らから逃げるでもなく、立ち向かうでもなく…精一杯シカトしつづける事に。怖いようで怖くない、新感覚ホラーコメディ!

こちらから見えるということは、向こうからも見えるということ。
見えていると気づかれたら、果たしてどうなってしまうのか。
以前からウェブ連載の方は読んでいたのだけれど、アニメ化ということで改めて単行本を手にとってみました。
あらすじにある通り、ある時から他の人には見えていない異形、霊の姿が見えるようになってしまった「みこ」。その異形たちは、亡霊なのか何なのか。人に気づかれないまま、でも人にまとわりつくように彷徨っているのである。中にはなんか全然違うのもいるけれど。
でもその多くが、見えていると気づくと近寄ってくるんですね。見えてる?見えてる?とつぶやきながら。

本作のとびきり素晴らしいところは、やはりその亡霊たちのデザインでしょう。もう見るからにヤバい。グロテスクでおどろおどろしく、たとえ人の形をしていても人の理性を欠片も残していないのがひと目で見て取れるヤバさ。気色悪いし怖いし人を冒涜してるような有様だし。とにかく、とてもじゃないけど意思の疎通が図れるわけがない見てくれなんですね。コミュニケーションなんて以ての外。
そんな見ただけで絶対に悲鳴を上げるか白目剥きそうな化け物が目の前に突然現れても、声一つあげないのがこの子「みこ」なのである。
怖がっていないわけじゃない。そりゃもう、漏らしそうなほどビビり倒して内心半泣きになっているにも関わらず、そうした心のパニックを押し殺して見えてないふり、素知らぬふりを貫き通すのである。思わず反応してしまったときも、まるで別のことに反応したかのように独り言をつぶやいてみたり、目にゴミが入ったかのような仕草でごまかしたり、とたゆまぬ努力でスルーしつづける。
そんな少女の必死な、必死過ぎる……ある意味、一つ間違えれば死ぬよりヤバいことになりそうなシチュエーションなだけに、必死を通り越してもう決死の思いでのシカトっぷりを堪能するのが、本作なのである。なるほどホラーコメディだ。
いやもう絶対怖いって。まだ遠くから見えていて心構えが出来てるならマシだけれど、ロッカーあけたらいきなり中に居たり、振り返ったら鼻触れ合いそうなところにそびえ立ってたりとか、相手が亡霊とか怨霊じゃなくても声上げるわ! ビビるわ! それをこの子は、声一つあげずに耐えきるのだから、すげえメンタルである。
外で歩いている時だけならまだしも、学校の中や風呂入っている途中、挙げ句に自分の部屋の中にまで脈絡なく現れるのだから、頭おかしくなりそうなのに。
耐える、耐える、耐える。耐えてスルー、耐えてシカト。誤魔化し下手な演技も交えながらなんとかやり過ごす。ほんま、ようやっとる!

いや、あまりにも見事に耐えきるものだから、てっきり幼い頃からこういう異形が見えていて、耐性が出来ているのだと最初読みだしたときは思ってたんですよ。ところが、実際は見えるようになったのはごく最近。霊感があるわけじゃなく、こんな化け物なんて今まで見たことも気配を感じたこともなかったにも関わらず、よくまあ見ないふり、知らんぷりなんて、何気に難易度高い対処法を選んで貫き通しているものである。
考えても見てくださいよ。夜寝ている時に、なにか変な気配がしたら……見るじゃん。確認するでしょう。なにか居るのに、見ないふりなんて出来ない。絶対見る。見ても怖いけど、見ないほうがもっと怖いもの。
そう考えると、怖がりながらビビリながらもなお意思を貫き通せるこの子は繰り返しになりますが、メンタルすげえです。

アニメの方はまだ見ていないのですが、これはもうあの化け物たちのデザイン次第だろうなあ。ちょっとでもマイルドになってしまってたら、全然面白さも違ってきてしまうんじゃないだろうか。

猫の話や、お父さんの話などちょっとほんわかしたり、切なさを抱いたりという話もあって、普段の当たり前の生活の中にも死というのはいろんな形で寄り添っているんだなあ、というのがふわりと伝わるエピソードでありました。
でも、亡霊同士共食いしてたりとか、あれ死んだ霊にとってはこの世相当ヤバいところなんじゃないだろうか。早く成仏してあの世にいった方がいいんじゃないだろうか。あの世とかあるのか、成仏なんて概念あるのかすら定かではないけれど。