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Nardack

アルティメット・アンチヒーロー 4.究極の個 ★★★☆  

アルティメット・アンチヒーロー4 究極の個 (講談社ラノベ文庫)

【アルティメット・アンチヒーロー 4.究極の個】 海空りく/Nardack 講談社ラノベ文庫

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Kindle B☆W
東京生存圏を飲み込んだ漆黒の霧。ミカエルに敗れた焔が最期の力を振り絞って行った魔術により、人類はその霧の迷宮最深部に転移していた。だが、天使たちの行軍は止まらない。その数実に十四万の軍勢は、着々と人類のもとに足を進める。“邪神使い”神代焔という最高戦力無しに、いかにして天使の軍勢と相対するのか―絶望に沈みかける人類。だがそれでも、純華は守るべき人々のために立ち上がる。そして、妖精族たちの協力も受け、人類は再び戦うことを決意した。生きるために。守るために。最期まで絶望に立ち向かい、未来を手に入れるために―。いずれ救世主と全ての人間に讃えられる少年が紡ぐ常勝無敵ファンタジー、最終決戦の第四弾!

焔、実は生きてましたパターンかと思ったらガチで死んでたんか!!
圧倒的な力を持った神代焔の存在は、どれほど制約に縛られていようと最終的には全部やっつけて助けてくれる、という安心感。悪く言えば緩みや甘えがあったわけだけれど、その彼が消え、残されたのは僅かな戦力。そして、相手は強大な力を持った天使の軍団14万。
人類滅亡待ったなし、の状況下でそれでも挫けず絶望せず、最期の最期まで抗ってやる、という不屈の闘志を純華たち僅かな戦士たちだけではなく、一人ひとりの兵士までが滾らせて戦いぬく展開にはやはり燃えるものがある。結局焔が助けてくれるんだろう? という読んでるこっちの姿勢を裏切るように、魔王に匹敵する上位階梯の存在である大天使たちを次々と劣る戦力、低い存在階梯、僅かな力を束ねて撃破していく、この弱き者たちが死に物狂いで強大な敵を打ち破っていくジャイアント・キリングは、この作品の魅力であった圧倒的な力で敵を蹂躙していく、というそれを見事にひっくり返して突き破ってみせたのだから、面白いなあ。
だいたい、クトゥルー神話の邪神たちを主人公サイドが使役する、というのはまあ珍しくはないんだけれど、あくまで道具として使役するとか、わりと人類に好意的な良い邪神さんたちと協力して、という流れであって、東京の市民全員を邪神の信者に見立てて、何万人もの信者で行った儀式で大召喚、邪神降臨! ってそれ、どう見ても敵の邪悪な組織がクライマックスにやらかす惨劇ラストバトルのはじまり、みたいなノリだから! 間違っても、味方がやるもんじゃないから!
うんまあ、東京が邪教の巣窟で人類の敵と言われても、これは反論しづらいぞ(笑

主である神代焔を失って戦いから背を向けた法の書(リベル・レギス)を、純華が新たな主として認めさせる展開といい、妖精女王と人類の共同戦線を橋渡しし、絶望して一度は膝を折った仲間たちを奮い立たせ、諦めた大人たちの心に火をともし、と振り返ってみると星河純華の今回の活躍たるは八面六臂の大活躍で、焔不在のなか完全に主人公を担ったんですよね。
だからこそここまで盛り上げておいて、最後にやっぱり神代焔が……となると、結局彼頼みか、となるところを、焔が本当に死んでいた、という事実を交えてこの設定に持ってきたのは、なかなかに上手い使い方だったんじゃないだろうか。
あまりにもスケールが大きすぎる一方で、神代焔があまりにも強すぎるために制約もまた強すぎて、なかなかフットワークが軽く、と行かず痛快さにもどかしさがつきまとうシリーズでしたけれど、純華が頑張ったんでそこは目一杯ほめてあげたい。

シリーズ感想

アルティメット・アンチヒーロー 2.妖精女王と百万の敵3   

アルティメット・アンチヒーロー2 妖精女王と百万の敵 (講談社ラノベ文庫)

【アルティメット・アンチヒーロー 2.妖精女王と百万の敵】 海空りく/Nardack 講談社ラノベ文庫

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神代焔は神すら従える大魔術師でありながら、とある事情により一学生として新東京魔術学園の実習小隊に配属されていた。ある日、任務中に現れた悪魔を倒したところ、クラスメイトのちこりが一人の少女を拾ってきた。彼女は自らを『妖精族』の女王エルフィーナと名乗り、人間界への移住を求めて交渉に来たらしい。――この世界に悪魔が現れるようになってから一世紀。人類が初めて魔界の住人と敵意のない交流をもった最初の瞬間である。しかし、当然ながら人類とエルフィーナとの交渉はうまくいかない。そこで焔がとった手とは……!? いずれ救世主と全ての人間に讃えられる少年が紡ぐ、敵も味方も誰一人ついて行けない常勝無敵ファンタジー第二弾!
人類側の指導者たちが、政治家とかいう以前にただのチンピラヤクザなんですがw
いや、前巻で連中がろくでなしのゲス野郎だというのは嫌というほどわかってたんですけれど、いくらなんでも品性下劣すぎるでしょう。考え方がヤクザやマフィアだの以前の問題で、頭の悪い不良レベルなんですよね。
とにかく言葉をしゃべるだけでも不快、息をしてるだけで怒りを感じてしまうようなクズ野郎たちなので、彼らにある程度でも好きにさせてしまう焔のやり方というのは、どれだけ彼が無敵に近い力を持っていても、いやだからこそか、痛快さよりもストレスが溜まっちゃうんですよね。彼のスケールというのは、本当に常識レベルをはるかにぶっちぎっていて、その振り切り様は実に面白い。オーストラリアさんに謝れ、というレベルのリアル地球が大ピンチ(物理)な暴れっぷりは、もう思わず笑っちゃうほどで、いったいどこまでやってしまうのか、という果てしなさには素直にワクワクさせられるのだけれど、だからこそ、だからこそストレスたまっちゃうんですよ。
ぶっちゃけ、彼にぶっ倒してもらいたいのは、泣かせて悲鳴をあげさせて生きてることを後悔させてぶちのめして欲しい、勧善懲悪の悪として倒されて欲しいのは、むしろ魔王なんかよりもあの人間たちの方なわけですよ。なのに、なんで焔は連中に好きにさせるのか。彼が人間という種に慮っているのは理解できるんですけれど、その人間種に配慮する基準をあの指導者連中に据え置くというのは、腹に据えかねるものがあるんですよね。そいつらに慮ることが、人間社会に慮ることとは違うだろう、と。焔が邪悪なる神々を使役する存在として恐怖されるのは、それはそれで仕方ないのでしょう。でも、怖がられ嫌われ憎まれるのなら、それに相応しい振る舞いをちょっとはしてもいいんじゃないでしょうか。どうも、彼は対等に接するべき相手を間違えている気がしますし、それが故に侮られて舐められてしまっている気がします。それが彼一人にだけ負債となってかかるなら、それは彼自身の選択として仕方ないのでしょうけれど、どうも彼に心を寄せる人たちに余計な負担が掛かっている感じで、それがなんか納得いかないんだろうなあ。
あと、純華は焔と対等になると吠えたからには、今回の相手くらいは一人でなんとかして欲しかった。今のままだと、やはり口だけになってしまいそうで、果てしないなあ。

1巻感想

フルブレイド・イグニッション 1.星を継ぐ狗たち3   

フルブレイド・イグニッション 1.星を継ぐ狗たち (オーバーラップ文庫)

【フルブレイド・イグニッション 1.星を継ぐ狗たち】 GIRA/Nardack オーバーラップ文庫

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星の暦八九四年、オルデア共和国。万能資源《星屑(ステラ)粒子》を巡り、世界は再び戦争の火蓋を切った。
敵に襲われた少女ノルンは、最強の兵士《戦甲種(せんこうしゅ)》に救出される。
彼は自らを、英雄の名「ソルード」と名乗った。それは星に導かれし運命の出逢い――。
戦場で育ったが故に常識が欠如しているソルードに振り回されっぱなしノルンであったが、交流を通して徐々に打ち解けていく。
だが、再び襲い来る敵に窮地に追い込まれた時、ノルンはひた隠しにしていた世界を揺るがす禁断の力を解放する――!?
英雄の名を継ぐ兵士と、星に愛されし少女が紡ぐバトルアクション、ここに開戦!
第1回オーバーラップ文庫大賞《銀賞》受賞作
なるほど、これはフルメタル・パニックっぽい、というのもわかる。頼りになる老兵の先達、色々と気遣ってくれる姉御とお調子者の同輩とキャラの配置なんか、それっぽいですしね。一番顕著なシーンは、施設での子供たち相手のソルードの一般常識の欠如を面白可笑しくコメディにしたドタバタで、あれはフルメタのコメディシーンを連想させられた。笑いの切れ味も同等レベルで、これを随所に挟んでいけるのなら、それだけで作品全体が面白くなるんじゃないか、という出来栄えでしたけれど。今回については、全体に重苦しい雰囲気が続く中でこのシーンはややも唐突感があって、物語の流れとしてはぶつ切りに感じられる部分があったので、ちと残念だったのですが。ソルードとノルンの距離感がこれで縮まればよかったんでしょうけれど、殆ど初対面も同然の時期でしたし、多少このやりとりでノルン側が警戒を解く効果はあったものの、仲良くなったというほど深いやりとりにはならなかったですしね。
しかし、ソルードが幼いころから一般常識を学ばないほど常に戦場にあった、という事実を示すには大事なエピソードですし、彼がそれだけ脇目もふらず自分が置かれた境遇の上をひた走ってきた、というのが後々明らかになる上で欠かせないものであったのは間違いないでしょう。一途で無骨なほど不器用に生きる彼の在りようを示す上でも。
雰囲気が上手いなと思ったのは、戦争と平和の狭間にある生活感でしょうか。戦争とは長らく縁の無かった平和な街に、突如舞い降りてくる戦火。ゲリラ的な攻撃に寄って学校などが焼き払われるのですが、あくまでそれは街の一部が被害を受けただけで、他の地域の人からするとなかなか危機が迫っているという実感が湧かない中でどうするかというと、これまでと同じ日常を大半の人が続けるんですよね。勿論、実際には物資の備蓄や避難の準備なんかをしているのかもしれないけれど、傍から見ると今までと変わらない平和な街の光景が続いている。
実際に戦火をくぐり抜け、敵国の兵に襲われ、妹が怪我をしたノルン。周りには護衛だというソルードが侍り、平和な光景の中に戻りながらも、どこか足元のおぼつかない感覚を抱くノルンの様子は、自身過去に平和な日常を、家族ごと奪われたという経験があるにしろ、平和と戦争の狭間で戸惑う様子がじんわりと伝わってきて悪くない雰囲気でした。でも、このノルンだとソルードを平穏サイドに引っ張るには地に足がついてないんですよね。うん、だからなるほど、ソルードをこっちに引っ張るのではなく、彼女の側から向こうに行くのは必然だったのか。
平穏を取り戻すには、ソルードもノルンも、自分の中の問題に決着をつけてからでも遅くはないのですから、どっちつかずでフラフラするよりもいいのかもしれない。だから、一緒に頑張れ。

この恋と、その未来。 一年目 春 4   

この恋と、その未来。 -一年目 春- (ファミ通文庫)

【この恋と、その未来。 一年目 春】 森橋ビンゴ/Nardack ファミ通文庫

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『東雲侑子』のコンビで贈る、ためらいと切なさの青春ストーリー登場。

超理不尽な三人の姉の下、不遇な家庭生活を過ごしてきた松永四郎。その地獄から逃れるため、新設された全寮制の高校へと入学を決めた彼は、期待を胸に単身広島へ。知らない土地、耳慣れない言葉、そして何よりもあの姉達との不条理な日々から離れた高揚感に浸る四郎だったが、ルームメイトとなった織田未来は、複雑な心を持つ……女性!?
四郎と未来、二人の奇妙な共同生活が始まる――。
『東雲侑子』のコンビで贈る、ためらいと切なさの青春ストーリー。
これはまた、難しいテーマで挑んできましたね。性同一性障害で女性でありながら自分は男であるという意識を持つ少女織田未来と、彼女ないし彼と寮で同室にされ、一緒に生活する事になった少年松永四郎の恋物語。
帯のキャッチコピーも、
「恋は、ココロでするのだろうか? それとも、体でするのだろうか?」
と、なかなかに考えさせられるものとなっている。
基本的に、性同一性障害とは肉体の性別と意識上における性別の違いからくるもので、その人の性的指向は関係ないとのこと。だったら、ココロは男であっても、男を好きになる、という同性愛は成立してもおかしくはないんですよね。でも、未来の側からはそれで帰結するとしても、逆に四郎の側からこの恋愛を見ると難しさが見えてくるんですよね。未来を女として好きなのか、男として好きなのか。この問題は決して小さくないはず。性的指向がノーマルであろう四郎は、勿論未来のことを女として好んでしまうのだろうけれど、でもそれは男であろうとしている未来にとっては、受け入れがたい……って、話はまだそういう段階まで進んでないので心配するのはもっと話が進展してからでいいのか。
今回は、衝撃の出会いから新たな学校での生活を未来と過ごすうちに、四郎が自分の恋を自覚してしまうまで。その明かしてはいけない、伝えてはいけない恋情を。
不思議なことに、ノーマルなはずの四郎の恋は、その秘めて明かさずと飲み込もうとする姿といい、どこか同性愛的な禁忌の蜜を感じさせる雰囲気になってるんですよね。それは、それだけ四郎が誠実に未来を男として尊重しようとしている証でもあり、こいつホントに良い奴だなあ、と溜息をつきたくなる。彼を選んだ未来の見る目は確かだったんだろうけれど、それがどれだけ残酷な顛末を導き出してしまったのか、さて未来はどれだけ気がついているのか。
その未来なんだけれど、果たして彼女は彼女で完全に「彼」と成り得ているんだろうか。この子の心が男を指向しているのは嘘でも偽りでもなく、真実そのものなんだろうけれど、同時にまだかすかに「女」の部分がかいま見える瞬間があるんですよね。性別の違和がまだ確定しているわけじゃなく、精神的に未分化の状態という可能性もありそうな……。まだカウンセリングでも性同一性障害ではない、という僅かな可能性について言及されているようですし。そうではなく、未来もまた四郎に「特別な感情」を抱いていることがゆらぎとして「女」のようだと誤認させているのかもしれない。
いずれにしても、四郎も未来も苦しい恋だなあ、これ。想いのままに突き進んでは絶対に破綻してしまう恋なんて。この恋は、徹底的に解体して論理的に結論を導き出さないとどうしても受け入れられない恋である。しかし、そこまで詳らかにロジカル化されて消化されてしまったものが、果たして恋として成り立つのだろうか。
どこまで深く深く溺れるように沈んでいくのか、最後まで見守りたいラブストーリーである。

森橋ビンゴ作品感想

アルティメット・アンチヒーロー 常勝無双の反逆者4   

アルティメット・アンチヒーロー 常勝無双の反逆者 (講談社ラノベ文庫)

【アルティメット・アンチヒーロー 常勝無双の反逆者】 海空りく/Nardack 講談社ラノベ文庫

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神代焔はかつて世界中の軍隊を滅ぼした魔界からの侵略者《魔王》をたった一人で討伐した英雄だ。しかし彼はあまりの強さに権力者達から疎まれ『反逆者』の濡れ衣を着せられ社会から追放される。それから数年後、焔は訳あって魔術師学校に入学し『お荷物小隊』と揶揄される少女達の面倒を見ることに。少女達を導き瞬く間に学園最強の小隊に成長させる焔。彼の強さと優しさに心惹かれていく少女達。だが世界に再び《魔王》が襲来するとき少女達は知る。『本物の最強』にとって仲間とは戦友ではなく、守るべき弱者でしかないのだと! いずれ救世主と全ての人間に讃えられる少年が紡ぐ、敵も味方も誰一人ついて行けない常勝無敵ファンタジー開幕!
リアル・マスターテリオンじゃないか、こやつ! ガチでシャイニング・トラペゾヘドロンとか使えそうなんですけどっ!
ぶっちゃけ、その実力たるやラスボス級で主人公として備え持つ力としては完全に反則である。いや、ほんとに【斬魔大聖デモンベイン】の大敵たるマスターテリオンがそのまま主人公サイドで出てきた、と考えてもらって間違いはないくらい。つまるところ、存在からしてデウスエクスマキナなわけです。
そんなんを主人公にして話が成り立つのか、どんな展開にしようとも緊張感が保てないんじゃないか、と思われても仕方ない所なのですけれど、よくよく読んでいるとこの物語の主人公って神代焔であるように見えるんだけれど、実のところ焦点があてられているのはヒロインの星河純華の方なんですよね。それが明確になるのが、焔の真の実力が明らかになり、彼が人間の想像を絶した隔絶した存在だと目の当たりにした上で、彼女が決意を固めた瞬間である。
あの瞬間から、この物語の真核は焔が権力者たちの悪意や魔界の侵攻を問答無用でぶっ飛ばしていくという痛快無双というところではなく、人類が本来望んでも絶対に届かない領域、地上から手を伸ばして月に触ろうとするような行為を本当に成し遂げようとする一人の少女の、血反吐と涙に塗れ何度も心折れ挫折しそれでもがむしゃらに辿り着こうする、その泥臭いまでに無様で美しい姿へと定まったのである。
本作は、厳密には焔は教師や教官という役職についたわけじゃないけれど、その無限に近い知識と実力を活用して、預けられたチームの少女たちを教え導く役割を与えられているので、広義には最近とみに増えている教官モノにあたるのだと思うのだけれど、面白いことにアプローチは逆なんですよね。
いわゆる主人公が教官役としてヒロインたちを教え導く教導者としての立場に立つジャンルである教官モノは、概ね生徒たちは影響を与えられる側でしかなく、師弟としての上下関係が固定されてしまってるんですね。ここに異性間の感情が交じることはあっても、少なくとも実力については追随者に過ぎず、教官役に認められることに喜び、その指導によってメキメキあがっていく力に充実感を得て、その影響下に収まり続けることに満足して、すでに完成されている教官役の主人公の価値観を覆すような事もまずないわけです。
逆に、生徒の側から教官役を担う、既に完成してしまっている主人公に対して決定的な影響を及ぼす、それこそ価値観や考え方、在りようを根底からひっくり返すような、強烈な……攻撃的と言っていいくらいのアプローチがあるケースは本当に滅多と見ない。覚えている限りでは、すえばしさんの【祓魔科教官の補習授業】くらいか。あれも、まだヒロインが決意を固めるというスタート地点に立ったところなのだけれど。
そして、この作品もその数少ない一作になりそうなんですよね。既に完成品である人物を、根本から作り変えるだけの、必死で懸命でがむしゃらで一途な……思いの篭った挑戦の意思を、挑む決意を、純華はこの1巻を以ってスタンバイしたのでした。
しかし、寄りにも寄って、同じ教官モノの中でも特に隔絶した能力を持つであろう焔に対して、あれだけの啖呵を切ってみせた純華は、文句なしにカッコ良い惚れ惚れするようなイイ女ですよ。いやなるほど、中途半端はいけないよなあ。高みへと昇るというのなら、人類最強程度じゃ小さい小さい。頑張れば届いてしまう程度の高みなら価値はない。やるなら、これでもかこれでもか残虐なほどに積み上げた絶対無理筋の領域を用意して、じゃあここまで辿り着いてみろ、と指し示してこそ、其処へ至ろうとする意思と過程に価値が生まれるというものだ。
マスターテリオンと称されるほどのハードルあげまくった焔の実力は、無双する為に用意されたものじゃない。ただただ、星河純華の為に用意された、と見るべきだろう。だからこそ、この作品の本当の主人公は誰であるか、は常に問い続けながら見守るべきであろう。さて、彼女に感化される娘があとどれだけ増えるだろうか。そうなれば、焔は正しくマスターテリオンとしてラスボスの座に腰を降ろせるのだろう。その日が、まことに楽しみである。

海空りく作品感想

失恋探偵ももせ 23   

失恋探偵ももせ (2) (電撃文庫)

【失恋探偵ももせ 2】 岬鷺宮/Nardack 電撃文庫

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ミステリ研究会の部室を根城に行われる、学校非公認の探偵活動―失恋探偵。千代田百瀬と野々村九十九は、解散の危機を乗り越え、再び「失恋探偵」として恋に破れた人のために失恋の真実を調べる日々を送ることになった。しかし依頼人たちの失恋に触れるうち、一度は通じ合ったはずの気持ちに思わぬかたちで影が差しはじめて…。「恋は常に、痛みを伴います」「だとしても、俺たちは上手くやれるよ」両思いになった日に交わしたその言葉は、果たされるのか―。第19回電撃小説大賞“電撃文庫MAGAZINE賞”受賞の、叶わぬ恋の謎を紐解く学園青春“失恋”ミステリ、待望の第2弾!
第一話がまた昨今のSNNが当たり前に使われるようになった現実にありそうな話で。顔も合わせずネット上のやりとりだけで交友を深めて恋にまで発展する。直接対面しないまま、というのは相手の顔も立場も何も知らないのだから上っ面だけの浅い付き合いじゃないか、という見方もあるけれど、逆の見方として外見容貌だとかその人の置かれた環境など一切余分なものを介在させず、純粋に内面同士で繋がりあえる、という捉え方も出来るのではないでしょうか。SNNなんかない古来より、文通などによって心を通わせていったケースは枚挙に遑がないでしょうし。交流の仕方というのは、結局何が悪いというものではなく、その人同士の相性によるものなのではないでしょうか。
まあ、実際顔を合わせると想像と、或いは理想と全然違った、と途端に冷めてしまうケースもまた枚挙に遑がないでしょうけれど。
この第一話の場合だと、何というかもっと悪いというか身も蓋もない展開だったわけで、ある意味生々しいというかこんなもんだよなあ、と幻想に杭を打たれるというか。

初めての相思相愛に浮かれ上がっていた九十九にも、冷や汗を浴びせかける顛末だったのかもしれません。
そして、話は付き合いだしたばかりで一番幸せな時期である九十九と百瀬へと焦点があたっていきます。理想と現実の齟齬が、思い描いていた相手の姿と現実に見えてくる相手の姿とのブレが、ジリジリと浮かれた心を焼き焦がしていく時期へと、彼らは早速突入し出したのでありました。
ハッキリ言って、今回の一件はどう見ても九十九が悪いです。悪いんだけれど、あんまり責めたくはないですなあ。まだ高校生のガキであり、女の子と付き合うのは初めてで、同時に浮かれた挙句に常時テンパっているような精神状態。普段から、どこかテンション落ち着いてないところがあったのでしょう。平静だったなら、もう少し対応にも違いが出ていたはず。ただ、好きで好きでたまらない女の子のことばかり考えている状態で、平静であれというのは少々無理押しです。不運なことに、彼のアゲアゲでピーキーになった精神状態が負の方向に反転してしまった、というのが今回の理由の一端でしょう。そしてなにより、経験値のなさがさらに視点の偏向を煽り、年齢的に基づくと言ってもいいだろう未熟さが止めを刺す形になり、二人の仲にとんでもない亀裂が入ってしまうことになるのですが……。
人間、なかなか誠実になり、内心を吐き出すことは難しいです。好きな相手になら、尚更に自分を押し殺してしまうこともあるでしょう。二人の問題は、若いカップルには、いや若くなくても女性と男性の付き合いの中では普通によくあるケースなんじゃないでしょうか。思いのすれ違い、それはどれだけ好きあっていても起こってしまうものであり、それがすれ違いだと気づいても修復する事が出来るのは案外困難なのかもしれません。些細に見えるかもしれませんが、人間関係とは斯くのごとく繊細にして微妙なものなのでしょう。度々生まれるであろうこうした山を、超えられないカップルが脱落していくのが、男女交際の常なのかもしれません。
九十九の目から百瀬が嫌な娘に見えたように、読者視点からは九十九が狭量で神経質に見えたように、人の姿、在り方というのは定まらないものです。深く付き合えば付き合うほど、相手のことを見つめれば見つめるほど、沢山の情報が入力され、それに対する解釈を要求され、結果として様々な実像を目の当たりにすることになります。そんないろんな像を、それでも許容し飲み込み受け入れられたら、人間関係ってうまくいくのかな。
一度山を超えた二人ですけれど、さてこのままどんな姿を目の当たりにしても気にしないでいられるくらい自然になるまで仲が深まり馴染むのか、はたまたまたぞろ大きな山が、失恋という一つの境を跨ぎ超えないと行けないような出来事が二人を見舞うのか。
等身大の少年少女の恋物語だけに、余計に興味がつのります。

1巻感想

睦笠神社と神さまじゃない人たち3   

睦笠神社と神さまじゃない人たち (このライトノベルがすごい! 文庫)

【睦笠神社と神さまじゃない人たち】 深沢 仁/Nardack  このライトノベルがすごい! 文庫

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高校一年生の冬基は、睦笠(むつかさ)神社の神主である祖父と二人、神事をこなしつつ平穏な日々を送っていた。そんなある日、冬基は弱ったイタチを助けたのだが……。「我は、天と混沌の者である! 我のことはライと呼ぶがいい! 」――イタチは謎の美少女ライへと変化、神社に居座ってしまう。美少女の登場と共に息を潜めていた物の怪たちが暗躍を始め、奇妙な事件が起こり始める……。神社蘊蓄満載のちょっと不思議な新シリーズ、開幕です!
あれ? 神社薀蓄とかあったっけ? イタチというと、最近だと峰守さんの【ほうかご百物語】でイタチの怪異がヒロインでしたけれど、イタチの妖怪というのはやっぱりマイナーというかほとんど聞いたことがない。況してや、このライの正体である妖怪の名前を聞くと、あれ?それってイタチだったの? と思ってびっくりしてウィキって見たら、イタチの類と書き残している資料もあるようで、なるほどなあ、と。
とまあ、外郭だけ見るとよくあるかわいい女の子の妖怪が住み着いて、幼馴染の女の子と張り合いながらのドタバタラブコメ、という流れではあるんだけれど、肝心の主人公がラブコメできる状況じゃないんですな、これ。そもそも恋愛にうつつを抜かして居られるような、まともな人間としての感性を取り落してしまっているのが、今の彼、冬基の現状である。生きながら死んでいる、少なくとも魂の半分を幽玄の向こうに持っていかれてしまっている、というべきか。体は此岸にありながら、心は彼岸に惹かれてしまっている。常に曳かれてしまっている。ふと目を離してしまえば、目の前から居なくなってしまいそうな危うさが、在ろうとする意識の希薄さが、彼の存在感をゆらりゆらりと揺らめかせている。
朧の気、ライは彼の纏う雰囲気をそう表現していたが、なるほど朧のように冬基という少年の存在は不確かだ。
余程に、危うかったのだろう。こればかりは、常に幼いころから傍にいた祖父や幼馴染の綾乃よりも、知り合ったばかりのライの方が、知識もあってか危機感に駆られていたように思う。綾乃たちも、冬基の危うさを承知しているからこそ、目を離さないようにはしていたのだろうけれど、こればかりは「慣れ」てしまうものだから、ズルズルと行ってたんだろう。
面白いことである。本来なら、妖したる者は曳く側の者である。心が現世から浮いてしまっているものを見つけて捕まえ引っ張って行ってしまうのが幽世の存在である。神隠しに遭わせ、向こう側へと連れ去ってしまう、導いていくのが彼らの在りようだろうに。だというのに、ライは必死に自ら沈んでいこうとする冬基の足元にしがみついて、行くな行くなと声を張り上げるのだ。出会ったばかりの人間に、そんなに必死になって、ずいぶんと、お人好しなことだ。
魂にしがらみのない人間は、だからこそ平等で公平だ。だからこそ、冬基は普通の人ならば避けて通ってしまう物事も、ためらうこともなくスルリと手を差し伸べてしまう。決して、他者や物事の在りように無関心ではないのだろう。彼が事件へと自ら首を突っ込んでいく心理は、はたしてどんなものだったのか。いや、それよりも物怖じせずにズイズイと深みに嵌っていく彼を見守っていた綾乃とライの心境を思うと、なかなかに胸つまされる。一番つらいのはいつだって、どれだけ引き留めようとも手応えなく、無力に置いて行かれる側なのだから。
そして、忌避される存在でありながら、微塵も拒絶されずに受け入れられてしまったものの思い巡らしてしまった想いとはなんだったのか。「アレ」の抱いた複雑な心境を想像すると、なんとも微苦笑を浮かべてしまう。
手を握っていないと、背中から抱きしめていないと、縁を以て縛っていないと容易にフラフラと消えていってしまいそうなそれを、いつまでも離すまいと健気にしがみついている少女たち。自分が引き留められていることを感謝して、優しく笑える主人公。その儚さにはどこか落ち着かなさを感じるけれど、ふんわりとした優しさに満ちた良い作品でした。厳格で不器用な祖父の姿を見ていると、感情が薄い冬基の在り方はただ壊れただけじゃなくて元からの部分も少なからずありそうだなあ。子供の頃は元気良くても、成長するにつれて落ち着いてきた、その形の一端がにじみ出てると思えばなおさらに。

深沢仁作品感想

失恋探偵ももせ 3   

失恋探偵ももせ (電撃文庫)

【失恋探偵ももせ】 岬鷺宮/Nardack 電撃文庫

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「恋はいつか終わります―」そんなことを言う後輩の千代田百瀬に巻き込まれ、野々村九十九は「失恋探偵」である彼女に手を貸す日々を送っていた。―失恋探偵。それはミステリ研究会の部室を根城にして行われる、学校非公認の探偵活動。その活動内容は「恋に破れた人のために失恋の真実を解き明かす」こと。学校内で囁かれる失恋探偵の噂に導かれ、それぞれに失恋の悩みを抱える依頼人たちが二人のもとを訪れて―。第19回電撃小説大賞“電撃文庫MAGAZINE賞”受賞の、叶わぬ恋の謎を紐解く学園青春“失恋”ミステリ。
失恋探偵って、また随分とインパクトのある名前ですよね。わざわざ失恋にまつわる依頼を受け付ける奇特な探偵活動。そのタイトルから、失恋の痛手に苦しみ前にも後ろにも進めずにいる若者たちに、真実という名の僅かな癒しと勇気を与え、再び歩く力を与える話、なんてことを勝手に想像していました。そんな話だと、必然的に心に決着を付ける話になって、何だかんだと痛烈に切なくてやるせない話ばかりなんだろうなあ、バッドエンドじゃないにしても恋の終わりを目の当たりにするのはなんだか辛いじゃないですか。だから、惹かれて手にとっては見たもののついつい後回しにしてしまっていたのでした。ところが、読んでみるとこれって大方拗れて破綻しかかっていたり、めばえはじめていた恋がすれ違ってしまっていたりしたのを、真実を解き放つことで縒りを戻させたり縁を繋いだり、という失恋探偵というよりも恋愛探偵、みたいな感じだったんですよね。切なさ全開を想像していた身としては拍子抜けではあったんですが、初々しくも上手く行かずに終わりかけていた恋を、再び蘇らせる百瀬たちの活動は真摯かつ健やかで、何とも清涼感を感じさせる青春ラブストーリーでした。
面白かったのが、思いの外百瀬たちの活動が本物の探偵っぽかったこと。基本的に、依頼者が持ち込んでくる依頼ってのは、謎解きではなくて調査活動なんですよね。これは実際の探偵が行なっているようなことで、実はミステリー小説とか謎解きに一切関心がなかった百瀬らしい、質実剛健とした活動内容なのである。ところが、そのミステリーに関心のない百瀬なのだけれど、生来の観察力と分析力によって習得した調査情報を吟味することにとって、表向きの事象からは図り取れなかった糸の絡みあった真実を解き明かしていくのである。図らずも、彼女は全く関心の無かった小説の探偵みたいな事をやってしまっているのである。それらを全部、カノジョいわく少女漫画を参考にして推論しているというのだから、少女漫画すげえw

もひとつ面白いなあ、と思ったのが、百瀬も九十九も何ら特別な背景があるわけじゃない、本当に普通の高校生だ、というところでしょうか。ちょっと感情表現が乏しい所のある百瀬も、少女漫画を好み普通に友達もいる特段ずば抜けた個性がある娘ではありません。実家が特殊だったり、趣味が変だったり、性格に破天荒なところがあったりするわけでもない。失恋探偵、なんて変なことを始めてしまうカノジョですけれど、その動機を聞けば微笑ましい限りで、決して特別な理由や願望があったわけじゃないんですよね。思いの外、当人に探偵という才能があっただけで。ただ、その才能も優れたものではありますが、異常性や天才性を感じさせるほどのものでもありません。ごく一般的な才能の延長線上にあるわけです。いわんや九十九氏に至っては、特に語るべきもないほどです。また、彼らが請け負った依頼の真実は、時に高校生の身では背負いきれない重い物もあり、そんな時の彼らの苦悩は、本当に等身大の若者の戸惑いであり混乱であり、その衝突も自分たちの未熟さを痛感する姿も、普通の高校生ならさもありなん、というものでありました。
そう、これは百瀬と九十九という普通の高校生の男女が普通に恋をするお話でもあるんですよね。そんな二人の等身大の恋模様が、初々しくも新鮮でもあり、可愛らしさに思わず微笑してしまうほど、健やかな気持ちにサせてもらいました。
彼らが傷つき衝突することになってしまった、当の依頼の対象がまた難しくも酷いものだったので、余計に二人の誠実で真っ直ぐな恋が爽々と感じたんだろうなあ。
と、ここで終われば憂いのないハッピーエンドだったのでしょうけれど、何気に続刊が出てるんですよね。失恋探偵なんて銘打ったからには、その失恋を真っ向から向きあわなければならなくもあるわけで、次こそ切ない展開食らうかな?
ところで、イラストにNardackさんを採用したのは、やっぱりあの名作青春恋愛小説である東雲侑子シリーズを意識したんかな。あの作品の絵師さんですもんね、確か。

紅炎のアシュカ 3   

紅炎のアシュカ (このライトノベルがすごい!文庫)

【紅炎のアシュカ】 紫藤ケイ/Nardack このライトノベルがすごい!文庫

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「私はアシュカ。魔王アシュバルドの右手の小指の爪の先の化身だ!」――かつてこの地上を荒らし回った《根絶者》アシュバルド。その化身を自称する少女アシュカは、《駆神人》の少年ラティス、《小妖精の》リルと共に、街から街へと旅を続けていた。他の化身たちと出会うために――。人と精霊が共存する世界で、アシュカの奔放な物語が幕を開ける! 第3回『このライトノベルがすごい!』大賞受賞作家、受賞後第2作スタート!
この世における、数少ない善人枠をあっさり消し去るあたりに作者の意識的か無意識的かわからないけれど、善は禍を以ってこそ引き立つもの、という思想を感じるなあ。
というわけで、前二作に比べるとややも明るい雰囲気で描かれるファンタジー、と見せかけて何だかんだとやっぱり黒い要素が多いあたり、ブレないというか何というか。
ただ、これまでの二作が一冊で完結という体裁をそれなりに整えていて読み終えた跡に一区切りついたという感を保っていたのに比べると、本作はストーリーにしてもキャラ立てにしても導入編という色が非常に濃いと思う。
シリーズの第一作目として捉えるなら、キャラクターそれぞれの性格や考え方を一通り浚いだし、この物語がどういう方向へと進んでいくかの向きを整えるという意味において、丁寧なデザインがなされていてここから物語や世界観が広がっていくスタート地点として十分な期待感を与えてくれる出来栄えである。
が、逆に言うとここで終わってしまうと完全に尻切れトンボなんですよね。これだけだと、現状何が起こっているか、その渦中にどんな人達が揃えられ、どういう流れが生じるのか、という最低限一通りの基礎部分をぱっと見で把握しただけで終わってしまう。
極端に言うと概要だけ見せられて、まだお話にしても登場人物にしても実感として感じられない形骸の段階なのである。ここから中身を詰め込み、或いは掘り下げて行ってこそ、歯応えあるいは色彩というものが生まれてくるのだろうけれど、これまでの傾向からすると本作もこの一冊で終わりかねないんだが、その辺りどうなんだろう。これはシリーズ化してこそ映える作品だと思うんだがなあ、これだけだと枠だけ作ってそれで満足して放り出してしまったようなものになってしまいかねない。
特に、アシュカがたどり着き掴みとった結論であるあの弱者ゆえに、という決意は難事であるからこそ彼女がどうやってそれを叶えていくか先々までみっちり追いかけていきたいテーマであるだけになおさらに。
それに、アシュカとラティスの関係からして、まだまだ何の掘り下げもされてないし、一緒に居る割にまだ繋がりとしてかなり弱いんですよね。全然足りない、書けてないまっさらな段階なのです。これはあまりにも勿体無い。まだ、キャラが与えた役割以外で動いてないんだろうなあ。
自分、あの親父さんのあの決定的な破綻を迎えたあとの、モノのわかったような物言いは感動どころか不気味で気持ち悪ったんですよね。この人、何言ってるんだ、と。
あのシーンでやりたいことはとても良くわかるんだが、生の言葉ではなく用意された脚本の台詞と見えちゃうようではもうちょっと、なあという感じでしたね。じっくり練り込み練り込み。

紫藤ケイ作品感想

東雲侑子は全ての小説をあいしつづける5   

東雲侑子は全ての小説をあいしつづける (ファミ通文庫)

【東雲侑子は全ての小説をあいしつづける】 森橋ビンゴ/Nardack ファミ通文庫

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私の一番大切な人に、この本を捧げます。
3年生になり、卒業後の進路を考えなくてはならない英太。東雲はやはり進学するという。特別優れているわけでも劣っているわけでもない自分も、ひとまずそう考えるべきなのだろうと思いながら、自分のやりたい事が分からずに迷う。小説家という夢を既に実現してしまっている東雲と自分を比べて、漠然とした焦燥に駆られる英太だが、東雲と過ごしてきた時間が、彼の望む未来をほのかに照らし始める……。
もどかしく苦いラブストーリー、決心の先へ。

甘酸っぱさには、みかん色がよく似合う。

この物語について、書きたいことはそれこそ山ほどあるのですが、どうにも書き出しに迷ってしまって。そんな折にふと気分転換に眺めてみた表紙から目に飛び込んできた色彩に、私は、ほぅ、と息をついたのでした。表紙と題字を彩る、淡い暖色――オレンジ色よりもなお甘い、みかんの色をした色に包まれた東雲侑子の姿。
振り返ってみれば、一巻の表紙は透明感のある青。二巻の表紙は仄かな熱の篭った桃色。その色と、それぞれで描かれたお話の顛末に思いを馳せれば、自然と微笑みが浮かんでいました。
ああ、そうなんだ。そうだよね。
この恋人たちは、青から始まり、桃色を経て、今や落ち着きながらも甘酸っぱいみかんの色をした時期へとこうして至っていたわけだ。
青春時代、それも受験を間近に控え、将来の選択を迫られ、まだ何も知らない未来に思いを馳せる事を強いられるこの時期に、自分のあり方、進むべき道に悩むことは何らおかしいことではありません。だけれど、英太は深く真剣に一人で悩みながらも、先年の彼のように独り善がりな内側への埋没に陥ることはありませんでした。そこには常に、心の余裕がありました。
思えば……この巻において、英太は一度もあの言葉を発するどころは思い浮かべることすらしていないですよね。
自分は他人の心が分からない人間だ、というあの呪縛の言葉を。
結局、彼は自分の将来を自分一人で決めるのですが、そこに問題らしい問題は何一つ生じませんでした。
二巻において、英太と侑子はお互いに言葉を尽くさ無かったことで致命的なまでに関係を拗らせてしまうところでした。しかし、この三巻でも二人は高校を卒業した後の進路について、お互いに求めていた希望をギリギリまで告げず、全てを決断した後になるまで伝えなかったにも関わらず、二巻の時のような問題は何も発生しなかったのです。何故だろう。どうして今度は拗れなかったんだろう。そんな疑問を抱いた時に、思い起こされたのが言葉で気持ちを伝え合う事に価値を見出さない英太の兄の存在でした。
気持ちを伝え合う事に、本当に言葉は必要なのか。勿論、必要なのでしょう。二巻のトラブルについて、英太と侑子には言葉によって伝えある本音のコミュニケーションが絶対に必要でした。それが行わなければ、二人の関係はそこで破綻し崩壊していたでしょう。しかし、その言葉によるコミュニケーションが常に必要なのか、というと、そこに価値を見出そうとしない英太の兄の考え方も決して間違ってはいないのです。心は、言葉を介在させなくても繋げられる。実際、有美さんと兄貴はそうして繋がっていました。さすがに、あの兄と有美さんほど極端で特殊な在り方は、英太と侑子は真似出来ないでしょう。英太たちの両親の様子を見ていると、どうやら三並家ではむしろ両親や兄貴たちの関係の方がスタンダードのようですが、英太たちには相応の言葉と気遣いは必要でしょう。それが普通であり、そして英太と侑子は今や「特別」から脱し、「普通」の恋人同士となったのですから。
それでも、「普通」だからと言って何から何まで言葉で伝え合う必要はありません。「普通」の恋人同士としてではありますが、英太と侑子もまた、兄貴たちと同じ心の繋がったステージへと至ったのではないでしょうか。
穏やかに、そして大事に同じ時間を重ねあい、育み合う二人の姿に、そんな思いを抱いたのでした。
たとえ、お互いの意思が食い違っても、望みがすれ違っても、心さえ繋がっていれば何も壊れはしないのでしょう。それは、きっと寄りかかり合う依存した関係ではなく、独り独りが自立して、その上で共に在る関係。
あれほど拙く危なっかしかった……少し触れただけでバラバラに砕け落ちてしまいそうなほどの繊細さを感じさせた二人の恋愛が、こんな所まで来たのかと思うと、その変化に驚くばかりであり、じわりと滲み出すような嬉しさに見舞われます。

そうして、二人はその視線をお互いから外し、周りを見渡す余裕を得ました。そこに広がっていたのは、自分たちと同じように、しかし全く様相を異にする様々な恋愛を紡いでいる身近な人達。東雲侑子は、そんな彼らを題材にして小説を書き始めます。タイトルは恋愛学舎。その内容は彼女「西園幽子」のそれまでの作風からまたスルリと服を脱ぎ捨て、普通のわかりやすい平易な言葉でゆっくりと綴られた恋愛短編連作集。彼女は、この本を自分の一番大切な人に捧げるのです。
思えば、一巻で書かれていた彼女の短編は、現実世界から遠い、空想の果て、或いは人の介在しない世界の物語でした。そして、二巻ではひたすらに自分たち、東雲侑子と三並英太の二人の世界が描かれていました。そして、この三巻で紡がれた物語は、ついに長編ではなかったものの、自分たちだけではない広がった世界の、様々な人の物語。それが、いくつも繋がって綴られている連作として書かれたものでした。そして、その連作のなかには、ちゃんと侑子と英太の姿も存在しています。そんな本を、侑子は旅立ち、しかし離れることのなかった最愛の人へと贈るのです。
自分の姿を、貴方と関わり繋がって変化した今の自分の在り方を、そっと届けるようにして。
そして、最後にあの言葉を寄り添わせたのです。

恋愛学舎の最後のページに、いったいどんな文章が記されていたのか。それは、実際に本を手にとって目を通してみてください。それ以上は、もう何も此処には書きません。
その時の感動は、胸に灯った温もりは、ただただ私だけのものです。


1巻 2巻

東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる5   

東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる (ファミ通文庫)

【東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる】  森橋ビンゴ/Nardack ファミ通文庫

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わたしは本当に、あの人のことが、憎くて憎くて、ならないのです。
2年に進級した英太と東雲。東雲との関係が公になったことで心なしか賑やかな学校生活になってきた英太とは対照的に、東雲は初めてのスランプに陥っていた。そんな折、演劇部の女子喜多川が、「学園祭の舞台の脚本を東雲さんにお願いしたい」と英太に頼み込んでくる。その頼みを気分転換も兼ねて引き受けることにする東雲だが、思うように筆の進まない東雲と、奔放な喜多川に振り回される英太は少しずつすれ違っていき……。もどかしく苦い、第2章。
はい、傑作きました。その2。
すみません、私これ、めちゃくちゃ好きです。この主人公の男の子の繊細で不器用で、何より純情極まる心持ちが、大好きなのです。読んでいると、この子の思い込みというか、誤解や勘違いには随分ともどかしい気持ちにさせられるのですが、決して不快になったりイライラさせられたり、というのはありません。それは彼が決して東雲侑子との関係に妥協や無関心を介在させないからなのでしょう。彼は彼なりに、侑子の事を考え、彼女の為になるように、彼女の助けになるように、気を遣い、心配りをし、彼女が喜んでくれるようにと考えて行動を選んでいるのです。そこに押し付けがましさは欠片もなく、控えめに、そっと陰から支えるような趣で。
もっとも、それらの心配りは概ね裏目に出てしまうのですが。
幾ら良かれと思っての事とはいえ、所詮は自他ともに認める、他人の心が分からない人間です。そんな子が、相手の気持も確かめずに勝手に判斷して動いてしまっては、そりゃあ齟齬が出るというものです。
面白いのは、まったく同じ事を相手の東雲侑子もやってしまっていた、というところでしょう。彼女の心情は幕間に描かれる彼女の手がけた短編「いとしくにくい」に色鮮やかに浮き出ています。この娘もまた、瑛太の心の内側を自分の不安を投影して勝手に形作ってしまい、それを彼の本音なのだと知らず知らずに思い込んでいってしまうのでした。
二人して、自分の中で創り上げた虚像を本物だと思い込み、それに合わせて行動するためにどんどん本物のそれとズレていってしまうすれ違い。ほんの少し、相手の側に踏み込んで、相手が何を考えているかを知ろうとすれば埋まってしまうズレだったのに。
でも、他人の本音を知ろうとするって、本来は勇気のいることなのです。怖いことなのです。人と関わることをついつい避けてしまう人は、そんな些細な一歩を踏み出す事に躊躇いを覚えてしまう臆病さを積もらせていってしまう。英太も侑子も、元々他人と関わることを自然と避けてきた子たちだからこそ、なけなしの勇気を振り絞って一緒にいる関係に、恋人として付き合う関係を成就させた段階で、満足してしまったのではないでしょうか。
恋とは、そこで終わるものではなく、変化していくものだと、或いは変化しないように努力していくものなのだということを知らないまま。
まったく、なんて似た者同士のカップルなんでしょう。
その点、英太の兄貴の景介は結構楽している気がするなあ。受身同士で、よっぽど事態が深刻化するまで両方共動こうとしない英太と侑子のカップルと比べて、こちらは有美さんが随分と普段から溝を埋める努力をしてくれているように見える。だからこそ、有美さんが努力を放棄してしまったら、一気にえらいことになってしまった上に長期化してしまう始末。
まあ、兄貴も英太が思ってるほど泰然自若としてたわけじゃないんでしょうね、あれ。もし、景介の心情描写が描かれたら、英太も斯くやというマイナス思考と焦燥のスパイラルが覗けた気がします。英太が思っている以上に、この兄弟は似た者同士ですよ。

侑子はぶっちゃけ、生半可な事では相手ができないくらいに「重たい女」なようですが、幸いなことに英太もまた、同じくらいに「重たい男」なので、釣り合いはとれているのでしょう。両者とも、重たさに関する感性が鈍いので、何も気にならないようですし。何より、あれだけ相手に夢中で他のことなんか目に入らないくらいなら、重たさなんか感じる余地もないでしょうし。
喜多川ちゃんは、もう残念でした、としか言いようがない。こればっかりは、恋人の居る男を好きになってしまったが故の避けられない痛み、なんだろうけれど、ある意味二人がもたもたしていたがゆえに喜多川本人も予想外の形で本気にさせられてしまった、隙間にハマり込んでしまった、とも言えるので、可哀想っちゃあ可哀想なんですよねえ。それなのに、サッパリと跡を濁さず、後を引かず、全部飲み込んで割りきってくれた喜多川は、イイ娘ですよ、ホント。惨めさにいじけることなく、強がりだろうと笑ってみせた彼女は、かっこ良かったです。モテるのも当然だわ。

三巻目があるかはわかりませんけれど、この様子ならぜひ読んでみたいです。

1巻感想

東雲侑子は短編小説をあいしている5   

東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)

【東雲侑子は短編小説をあいしている】 森橋ビンゴ/Nardack ファミ通文庫

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何事にも無気力、無関心な毎日を過ごす高校生、三並英太【みなみえいた】。楽そうだからという理由だけで図書委員になった彼は、ともに委員を務める東雲侑子【しののめゆうこ】の熱のない静けさに、自分の空虚さに似たものを感じていた。しかし偶然彼女の秘密を知ってしまったことから、自分との違いを思い知らされる英太。だが、その秘密のために、彼女と距離を縮めることとなり、失ったはずの感情に胸を締めつけられていく……。早熟な少年少女に贈る、もどかしく苦いラブストーリー。
はい、傑作来ました!!
Marvelous!!
ああもう、素晴らしいなこれ。読んでて思わず指先に力が篭ってしまう繊細な心理描写の連なりに寄って描き出される恋愛模様に、読後思わず陶酔状態で浸ってしまいました。
【刀京始末網】とか【ナナオチートイツ】とか、どこか退廃の匂いのする仄暗く道から外れた独特の作風で存在感を誇示し続ける森橋ビンゴさんですが、その一方でその静謐で乾いた筆致に思春期の不安定ながらも想い一途な青春の薫風を乗せると、これが素晴らしい青春恋愛小説が出来上がることは、切なく淡い禁断の恋を描いた【三月、七日】に、ライトでポップな四者四様の恋模様を描いた【ぼくこい】にて既に証明されている。
そして、ついにこの決定版【東雲侑子は短編小説をあいしている】の登場である。
参ったわー、生中じゃないよこれ。ライトノベルのお約束に頼らない、小細工抜きの、正真正銘正道にして王道たる正統派恋愛小説だ。登場人物に特別な背景や特殊な環境、派手で目まぐるしい展開や変化がなくても素晴らしい恋愛小説は描けるのだという好例になる。
東雲侑子の秘密や英太の家庭環境はやや変わっていると言っていいかもしれないけれど、実際には物語のアクセントにはなっていても、その行く先を左右するような大きなファクターではない。この物語は終始、侑子と英太の間で往還する感情の揺らぎを以て構成されていく。
英太は自分で語るように無気力で感情の起伏が少ない冷めた少年であり、侑子もまた表情もなく言葉数も少ない熱量の少ない物静かな少女だ。自然と、二人の間に交わされる会話も少なく、二人で一緒にいる時間は多いにも関わらず、その大半が沈黙によって流れていく事も多い。結果として二人の間には動的なイベントや、見るからにわかりやすい感情のぶつかり合いというものが極めて少ない。侑子が内心で何を考えているかは、その僅かな挙措や発言からは伺いにくく、主体である主人公自身も自分の本心や気持ちを捉えられないまま、もどかしいくらいの手探りの状態のまま二人の関係はじりじりと進んでいくのだ。
それは、まるでピンセットで一つ一つの欠片を積み重ねていくような繊細な作業。微細で僅かな心情の揺らめきを、しかしだからこそ適切に精密に、正しい場所に当てはめていくような、途方も無い集中力と根気の必要だろう文章の綴り方。それは甘酸っぱいというにはとても節制の聞いた落ち着いた味わいだ。しかしだからこそ、満ち足りた気持ちにさせてくれる。
森橋さんのこの恋愛小説の作風は、とてもライトノベルらしくはないのだけれど、だからこそライトノベルで読んで居続けたいと思わせてくれる。やっぱりこういうの書ける人は絶対必要ですよ。

それにしても、侑子はどの段階で英太に気持ちを向けてたのだろう。順当に考えれば、既に取材協力を申し込んだ時点で下心があったとも見れるけれど、彼女が果たしてそういう計算が出来るタイプだとも思えないし。とは言え、恋心もない相手にあんな大胆な提案が出来るような子にも見えない。或いは全く恋愛感情がなかったからこそ出来た頼みだったとも考えられるけれど。もっと読みこめば、彼女がどの段階で本気になったか、単なる取材でも思い出作りでもない、夢中になってしまったかが読み取れるんだろうか。ふむ、これはまた何度も読み返したくなるなあ。
一応これは、侑子と英太の二人の物語なんだけれど、彼らのアシスト(?)をする形になる英太の兄とその彼女のカップルはなかなか印象深かった。まだ二人共二十歳を超えたばかりの学生で結婚していないのだけれど、殆ど半同棲状態で、アルミさんは兄嫁そのものなんですよね。一緒に暮らしている英太からすれば、こんな素敵な女性が身近に居て、親身に接してきたらそりゃたまらんわなあ。しかし、この書痴の兄貴がどうやってこんな女性と恋人になれたのかがまた最大の謎だよなあ。愛想も悪く、食卓なんかでアルミさんに話しかけられても生返事ばっかりなのだけれど、アルミさんは全然気にしていないどころかそれが当たり前みたいにニコニコしているものだから、若いラブラブカップルというよりもむしろ長年連れ添った夫婦という感じがしっとりと出ていて、何とも羨ましい限り。でも、侑子が家に遊びに来た時の四人で食卓を囲んだ雰囲気がとても絵になってたのは素敵だったんですよね。あの時点ではまだ侑子と英太の関係が定まっていなかった事を考えると、将来的にはもっと良い雰囲気になることが瞼の裏に浮かぶようで、思わず微笑が浮かんできてしまった。あんまり十代二十代の若者の兄弟カップルには見えない落ち着いた雰囲気が面白いといえば面白いのだけれど。

イラストも素晴らしかったです。特に東雲侑子のデザイン、物静かながら目に力の篭った存在感のある佇まいで、強い印象を焼き付けてくれました。
なんにせよ、素晴らしいの一言な恋愛小説でした。最高。
 
1月18日

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