【迷探偵の条件 1】  日向夏/magako MF文庫J

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あなたは「運命の人」(はんにん)を捕まえられるのかしら?

真丘家の男子は十八歳までに運命の女性に出会わなくてはならない。
でないと、十八歳で必ず死ぬ。
つまり本日、十七回目の誕生日を迎えた俺・真丘陸にはあと一年の猶予しかないということである。
しかし、その残念な運命を回避するには厄介な体質が俺にはあった。
しかも二つ。
一つは女難体質で、この中に運命の相手がいても困るレベルでヤンデレばかり引き寄せてしまうこと。
そしてもう一つは、超がつく探偵体質であること。
それはもう、ちょっと出かけると事件に巻き込まれるような。
というわけで、今日もまた死体に出くわしたのだが……。
もしかして、犯人が運命の人ってことはないよな?
あらすじでは、陸の厄介な体質が真丘家の運命を回避するために邪魔になる、という風に語られていますけれど、中身をよくよく読むとむしろこの2つの女難体質と超探偵体質が真丘家の18歳で死ぬ、という運命に直結してるんじゃないですかね?
話を聞く限りだと、歴々代々真丘家の男はみんな同じ体質だったみたいだし、叔父がなくなったのもヤンデレに刺されたからでしょ、これ?
……よく、家系続いているよなあ真丘家。
そもそも、読んでいるのを見ると陸の周りにヤンデレが集まってくる引き寄せてくる、というよりも……これ、普通なら眠ったままのヤンデレ因子を陸が励起させてしまっているようにも見えるんですよね。元々病んでいたというよりも、陸が関わったことで異様な執着を生んでしまったり正気を逸してしまったり、なんかヤバいフェロモンでも出してんじゃないだろうか。
特に最後の事件のラストシーンなんか、本来なら陸が攻撃受ける理由なんか全然ないのに、既に相手が冷静じゃなくなっていた事を鑑みても、なんか誘因されたみたいに陸の挑発に乗っちゃってましたもんね。陸自身も自分の体質を鑑みた上で挑発していたみたいですし。いやそれもうフェロモンかなんかで頭おかしくなる前提の挑発ですよね!?
普段から、自分が接すると女の人の頭がおかしくなる、みたいな感じで女性のことなるべく避けている風でもありますし。それもうヤンデレを引き寄せるんじゃなくて、生み出してるといった方がいいんじゃないだろうか。
そんな彼が唯一ずっと側に置いている女性がユキなわけだけれど……いや、なんでいつも一緒にいるんだろう。もう既に彼女が完全に病んでしまっていることはラストで発覚するのだけれど、それってつまり陸はもう完全にそんなユキを受け入れてるってことですよね。自分の近くにいると女性がおかしくなるのをわかっていて、彼女を側に置いているのはもう既にユキが取り返しのつかないことになって離れることが不可能になっているから諦めているのか、諦めじゃなく一緒にいることをこそ望んでしまっているのか。
いずれにしても将来、18歳になったときに自分が死ぬ際にはユキも一緒に破滅することが決まっているにも関わらず、どこかでそれを良しとしている時点で陸も相当病んじゃっている気がするんですけどねえ。
だいたい、なんでこれでユキが運命の相手扱いじゃないんだ? 陸もユキもユキがその相手ではない、という前提で考えているみたいだけれど、陸が語る運命の相手と出会った時の基準が感覚的すぎて、それ合ってるの!? とどうしても疑問に思ってしまう。そもそもそれって、初対面でわかるものなの? 既に知り合っている相手に後からビビッとくることはないんだろうか。もしくは、その運命の相手に出会ったのが幼い頃過ぎて忘れちゃってるとか。
いずれにしても、ユキがそうだ、という以外考えられないんですよね。だいたい、ユキ以外を選んだとしてそれはそれで結局刺されるエンド以外ないじゃないですか、これー?

さて、話の内容はというと学校を舞台にしたミステリー。女難体質と探偵体質故に周りで事件が起こりまくる陸とユキにとって、それはいつもの事なのかもしれないけれど、日常ミステリーなにそれおいしいの?と言わんばかりに、高校の中で起こりまくる重大犯罪。
いやいや、それもう金田一少年の通う学校並みの犯罪率になりそうじゃないですかね? 普通、校内で殺人事件とか起こったら日本中が大騒ぎになりますからね? 何十年と語り継がれる大事件なのですが、さらっと蓋をされてしまうあたり、何気に怖い世界観である。
謎解きの手順のわかりやすさ、トリックや犯人の意外さなど流石はと思わせてくれる読みやすさなのですけれど、犯人がわかった時点で主人公の陸がだいたい事件から離れてしまうので、その後主に関わった人物がどうなったかわからず、なんか曖昧なまま流されてしまう事が多いのであんまりスッキリしないんですよね。モヤモヤが残ってしまう。
特に二番目の事件とか、え?そのあとどうなったの? とかなりぶった切られた終わり方で気になって仕方ないのですが。陸くん視点の物語なので陸が関われない部分についてはそうならざるを得ないのかもしれませんが、この主人公あんまり深入りしたがらずに関わらずに済む部分は本気でスルーしてわからないままでも平気だったりするので、仕方ないんだよなあ。
いちいち深入りしていたら、体質上身が持たないのかもしれないですが。

あと、立ち位置がかなり意味不明だったのが、表紙にもなっている柊木まりあ。いやマジで意味不明だったのですが。非常に思い込みが強く、勝手に決め込んで身勝手なヘイトを主人公にぶつけてくる後輩、というだけで嫌な感じなのですが、最初から最後まで独りでヘイトを集めてるだけで、ここまで嫌な顔を見せられてしまうと後で態度を翻しても嫌な感じしか残らないと思うんですけどねえ。ヒロイン枠に思えないというよりもして欲しくない、とすら思ってしまったキャラクターが、なんでか表紙飾ってるんですよね。なんでユキじゃないんだろう。ユキに関しては作中でも登場人物紹介でも最初から公然と男装女子と謳っているので、別にミスリード誘っているわけでもないから表紙飾ってもおかしくないと思うのですが。

日向夏・作品感想