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nauribon

完全無欠の新人魔術生 伝説の最強魔術師、千年後の世界で魔術学校に入学する ★★★☆   



【完全無欠の新人魔術生 伝説の最強魔術師、千年後の世界で魔術学校に入学する】 五月 蒼/ nauribon 角川スニーカー文庫

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魔神を討伐した六英雄の1人である魔術師・ギルフォード。魔神との戦いで瀕死の重傷を負ったギルは永い眠りにつき――目覚めた時、何故か千年が経過した上に若返っていて!?
千年前とは違う平穏な日々や常識――本来は秘匿するべき『特異魔術』をひけらかす魔術師達に戸惑うギル。それでも、「俺たちが手に入れた平和なら、謳歌しても文句はないよな」第二の人生を楽しむべく、最高峰の魔術学校に難なく入学し、常識外れの言動と能力で数々の伝説を打ち立てていく! 
名門魔術学校での青春、そして謎の組織・アビスの暗躍――最強魔術師による新たなる王道魔術学園ファンタジー、開幕!!

いやいやいや、ギル君きみってば千年間ずっと眠ってて起きたら千年経ってたんだから、千年分ずっと生きてたみたいな時間感覚は持ってないよね!? 
なんか鼻の穴膨らませて千年ぶりにどーのこーの、と宣う場面が時々あって、こいつちょっとノリだけで生きてる瞬間があるぞ、と苦笑してしまった。
かといって調子に乗ってるわけでもないんですよね。実のところ、タイトルみたいな完全無欠とかの最強感はギルくんあんまりないんですよね。結構迂闊というか、気が付かないうちに間合いの内側に入られてて「いつの間に!?」とか驚いているシーンが結構あるし、敵の気配や攻撃に気づかないで隙をつかれるシーンなんかもあったりして、物心ついてからずっと戦場に居たみたいな人生歩んできていた割には「普通」なんですよね。あんまり化け物じみたところがない。
実際、学校に通いだしてからはクラスでも最強格ではあるのは間違いないのだけれど、桁違いとか次元違いという感じはなくて普通に優秀、叩き上げの地に足のついた強さ、という感じなんですよね。
他にこの千年で魔術が全体に衰えた、とは一概には言えずにある面では千年前よりも秀でてたり進化していたりする部分もあり、千年前の魔術師であるギルが一方的にマウント取れるわけではないようで、またこの現代にもギルが瞠目し太刀打ちできるかと考えてしまうような達人もいて、決してギルが図抜けて突出している、というわけではないのである。
でもそれが逆に良かったのかな。変に増長せず能力に関してはフラットで客観的な見方をしているし、隔絶した力の持ち主というわけでもないので周囲と意識や認識の壁や隔意が殆どないんですね。
なので、等身大の年頃の男の子として普通に同世代の男女と交流を育んで、普通に青春を謳歌しているのである。元々、仮死状態になった時も21歳とまあ大人というには中途半端な歳だったし、目が覚めた時に身体が幼児に戻っていたときもそれからずっと森暮らしで変にスレるコトもなかったせいか、精神年齢が見た目相応なんですよね。なので、同年代と過ごしてても上から目線にならずに、同じ目線で騒ぎはしゃぎ、暴れて遊んで、うんギルを千年守ってきたクローディアが千年前には出来なかった青春を堪能して、友達作って楽しめ、と送り出してくれたのを、ちゃんと叶えてるじゃないか。
ドロシーをはじめとして、学園で出会った同世代の魔術師たちは若者特有のギラギラした輝きを有し、思春期特有のざわめきを心のなかに内包し、闇と光を持て余している、まさに青春まっさかりの少年少女たちだ。難関のエリート校に自ら飛び込み、狭き門をくぐり抜けて、それぞれに目指すものにしがみついてでも辿り着こう、叶えようと滾らせている若者たち。同時に、繊細で傷つきやすい心に痛みを抱えながら歯を食いしばって耐えている十代の少年少女でもある。
みんな、自分のことで精一杯で必死で懸命で、だからクラスでも最優秀なギルの力はただただ「すごいすごい」と遠巻きに称賛するものではなく、現実の脅威であり目の前にそびえ立つ山であり、でも食らいついて追いついて乗り越えるものだという姿勢なんですよね。これ、このギラギラした意欲的な若者たちの姿にはついつい惹かれてしまう。
でも、張り合うだけじゃなくてちゃんと友達として心許しあい認め合い、だからこそ負けたくない、というライバル関係にちゃんとなっているの、好きだなあと思うんですよね。ギルの方もそんな初めて出来た同世代の友達たちを見下しも見縊ってもいなくて、その直向きで正々堂々と貪欲さに目をキラキラさせている。いい関係じゃないですか。だからこそ、ギルの最強を隔絶したものにしなかったのは、こういう学園モノの物語としては良かったと思うんですよね。
また一方で、アビスという謎の組織の暗躍が学園の内部に忍び寄り、実際に犠牲者も生まれ、と緊張感あるミステリー風味の要素もあるんですね。いったい、誰がアビスの関係者なのか。何気に誰がそうであってもおかしくない、身近な人物にも「?」がつく怪しい動きや引っかかる描写が撒き散らされてて、なかなかそっち方面でもグイッと興味を引っ張ってくるんですよね、面白い。
ぶっちゃけ、ギルと今回一緒に戦ったドロシー以外は全員怪しい要素があるんですよねえ。
こういう面でも次回に読みたくなる期待を持たせてくれていて、なかなか楽しみな新シリーズでありました。
でも、こういうタイトルだと他と似たような単語を組み替えただけで差別化できなくて、すぐにタイトル思い出せなくなって埋没してしまいそう。まあ、そんなの今どき本作に限らないんだけど、特に本作はタイトルと内容があんまり合ってないだけに、もったいなあと思ってしまう。


七日の喰い神 4 ★★★★  

七日の喰い神 4 (ガガガ文庫)

【七日の喰い神 4】 カミツキレイニー/nauribon ガガガ文庫


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「何度言ったらわかるの? わたしは六花じゃない--!」
大事にしていたウミネコのサキちゃんに逃げられ、傷心のラティメリア。七日とのやりとりもすれ違う一方で、"六花のマガツカミ"を巡るプロジェクトは最終局面を迎えようとしていた。
祈祷士協会解散を目論むGHQと、「最後の切り札」を楯に祈祷士たちを利用し、自らの悲願を遂げようとする紙燭龍之介。
すべての六花のマガツカミを集め、紙燭龍之介が成し遂げようとしていたことは、過去に囚われたおぞましい計画だった--。
運命と策謀に導かれ、ついにラティメリアたち「六花のマガツカミ」は集結する。
マガツカミにその身をすべて喰われ、それでも六花が望んだこととは。そして、六花が最後に生んだマガツカミ、ラティメリアの想いは。そして七日は--。
「決めた。私は、人間を喰うわ」
七日とラティメリア--人間と喰い神。彼らの戦いは終わり、雪はすべての者に等しく降り続く。
シリーズここに完結!


貴女の名前はなんですか? 

そう、ラティメリアはラティメリア。それを、誰もが認めてあげることができなかった。七日ですら、結局ラティメリアに六花の姿を透かし見ていた。その呪縛から結局逃れることができなかった。
自分は六花じゃない、と叫びながら同時に友達だと思っていたウミネコのサキちゃんを無意識に食べようとしてしまったトラウマから、喰い神としての自分を認められなくなるラティメリア。
前回は喰い神が太るのか! と驚いたものだけれど、今回は喰い神が拒食症である。人食い云々以前に肉が食えなくなってしまうラティメリア。
七日では、その繊細な部分に寄り添えないどころか、余計に傷つける羽目になってしまった。二人の決裂は、仕方なかったのかもしれない。なし崩しではあったものの、ラティメリアが六花のくびきから逃れるには。自分の存在が自由に解き放たれていることを知るには、一度七日から離れることは必要なことだったのかもしれない。
六花はもうどこにもいない。存在していない。六花の残したマガツカミたちは、どれほど似ていようと、六花の要素を残していようと、彼女の願いを内包していようと、彼女とはもう別の全く異なる存在なのだと、それを受け入れることが出来るか、認められることが出来るか、求めることが出来るか、それが分水嶺だったように思う。当の、六花のマガツカミたちにとってすら、だ。
終わってみれば、六花の想いに引きずられたものたちは、軒並み潰えてしまったことを思えば、そして六花から自由になって、六花から解き放たれ六花を解き放った者たちが、生き残って先へと歩き出したのを思えば。
何もかもが、六花という一人の女性に纏わる物語だったのだなあ、と感慨深くなる。

彼女への想いにしがみつき、彼女の願いを知るための物語。

そう思えば、ラティメリアこそ常に六花という存在に抗って、彼女の願いを叶え続けた存在だったのだろう。それを周りの人たちが理解するために、いささか遠回りが過ぎたのかもしれない。
でも、その遠回りがラティメリア本人の願いを見出すための道程だったと思えば、そう悪いものでもなかったのだろう。だからこそ、そのラティメリアをずっと認めず、認めたら認めたらで満足して放ったらかしにしてしまった七日という男は、正しく人でなしである。まあ、実際に人でなしになってしまったのだけれど。
それでも、何もかもを失ってまっさらになったからこそ、彼もまた六花のくびきから逃れられたと考えることは出来るだろうか。
六花のすべては、死んだ彼女のマガツカミと紙燭龍之介が連れて行った。紙燭龍之介を、六花が連れて行ってくれた、というべきか。もう、彼女の思いは何も残っていない。残すべきものは、違うものに生まれ変わって受け取ってくれた人たちに託された。
ならば、ここからはラティメリアの物語だ。七日が名付けた世界にただ一人のラティメリアの物語だ。
ラストシーン、雪生と一緒に走り出した行く先に、ラティメリアの幸いがあらんことを。

シリーズ感想

七日の喰い神 3 ★★★★  

七日の喰い神 3 (ガガガ文庫)

【七日の喰い神 3】 カミツキレイニー/nauribon ガガガ文庫

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人喰う神を乗せて、列車は走り続ける。
超高級蒸気機関車『カムパネルラ』に乗り込んだ七日とラティメリア。煌びやかな車内装飾に、豪華な食堂車、そして上流階級の乗客たち。そんな浮き世離れした世界とは異にする車両があった。祈祷士たちが強固に警備にあたる物々しい雰囲気……。この高級列車は、祈祷士協会によって捕らえられた“六花のマガツカミ”の一人である“掴み神”を秘密裏に移送するためにカモフラージュされたものだった。列車に潜入した七日の目的はただひとつ“掴み神”ヘリアンサスを斬ること。タイムリミットは目的地到着予定の深夜まで。そんななか、七日はかつて戦場でともに戦った元六花隊の一人と再会する。“妖刀使い”獅童巳月――彼は“掴み神”ヘリアンサスの移送を監督する看守長となっていた。一方、初めての列車旅行に浮かれるラティメリアもまた、ある人物と出会っていた――
「やあ、“喰い神”ラティメリア。君は本当に六花に似ているね」
マガツカミを殺す者と護る者、かつての戦友同士が繰り広げる熾烈な攻防戦! それぞれの思惑を乗せて列車は走り続ける。
デブメリア! って、喰い神なのに太るの!? 喰い神なのにダイエットするの!? 
第一話「肥やし神」での、美味しいラーメンに太らされてぽっちゃり体型になってしまったラティメリアの、このマスコット感たるや(笑
マガツカミとは人の強い想いから生まれいでるもの。その想いとは悪心や邪な念からだけではなく、純粋でひたむきな想いからも生まれるもので、その根源に善悪など関係ない。どれほど真摯な想いから生まれたもので、一度生まれてしまえば人を喰う。鬼怒川刑事がやりきれぬ思いで歯噛みするように、マガツカミという存在はそれほどに理不尽な、行き会うことが不運という災厄なのである。
でもだからこそ、そうなるとラティメリアのマガツカミとしての不可解な在り方が浮かび上がってくるんですよね。
喰い神なのに、人を食わないマガツカミ。

前回、友達になった雪生をついに食べられなかった、食欲という本能を拒絶したラティメリア。
六花の生み出したマガツカミの中でも、容姿も性格も最も六花に似ているというラティメリア。
暴走列車編、というアクションの王道ともいうべきシチュエーションの中で、かつて同じ六花隊だった面々である獅童巳月と紙燭龍之介の二人と再会する七日。過去の六花を知るかつての仲間、特に紙燭龍之介の方はあの過去の回想シーンからすると、六花と恋人関係にあったみたいなんですよね。元来のサイコパス的な気質を拗らせ、六花に似たラティメリアに執着を見せる龍之介。
でも、紙燭龍之介と七日が見る六花に瓜二つなラティメリアは、まったく違う姿なんですよね。六花のマガツカミ・喰い神としての在り方を肯定しようとする龍之介に対して、喰い神としての自分に逆らい続けるラティメリアに、かつてマガツカミの本能に抗い続けた六花の姿を映し見る七日。同じ六花を愛し、彼女の生き様を肯定しながら、決定的に道を違えている二人。
彼らの二人の決定的な違いは、喪われた人の形にこだわり続けるか、それとも違う姿違う存在になっても今生きているラティメリアを、そのままに見つめているかの違いなのか。
七日は、最近どこかラティメリアを六花の身代わりではなく、ラティメリア個人として見つつあるようなきがするんですよね。当初より随分と優しくなったラティメリアへの態度。ラティメリアの喰い神としての在り方を必死に拒絶する姿に向ける慈しみの眼差し。それはラティメリアに六花の映し身を透かし見ている一方で、彼女そのものをちゃんと直視できるようになった感じがあるんですよね。
まだ、その終着点として七日がどこを見ているのかはわからないのですが。

しかし、六花隊の祈祷師たちって伝説になるだけあって、ガチでバケモノ揃い。マガツカミとどっちがバケモノなんだ、と言わんばかりのキワモノばかりじゃないですか。精神異常者である紙燭龍之介はともかくとして、獅童巳月の方も完全に人間やめてますし。なるほど、雪生が六花隊の中で自分が弱いんじゃなくて、他が強すぎるんだ、と主張するのもわかるというもの。雪生自身、並の祈祷師とは比べ物にならないくらい超絶レベルの術師ですもんねえ。ヘリアンサス相手でも、他の祈祷師なら相対しただけで絶望感しかないのに、彼女が立つとなんとかしてくれるという安心感がありましたし。ってか、2巻から連続で彼女、出番あるとは思ってなかった。ラティメリアに七日のことを託した風に見せて、呼ばれたらひょいひょい着飾って来てしまうあたり、ちょろいなあ。そして、折角の一張羅をボロボロにされてしまうという不憫さ(笑
でも、馴れ合わずに状況によっては敵対しながらも、何だかんだと息があってるというか仲良さそうなんですよねえ、六花隊。相容れぬとしても、立場上剣を向け合わなければならないとしても、裏切られ騙されたとしても、相手を否定しなければならないとしても、どこか仲間の気安さだけは消えないこの人達の関係、なんだか好きですわー。

シリーズ感想

七日の喰い神 2 ★★★★  

七日の喰い神 2 (ガガガ文庫)

【七日の喰い神 2】 カミツキレイニー/nauribon ガガガ文庫

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明かされてゆく七日の凄絶なる過去

“六花のマガツカミ”の存在を報せる手紙を受け取った古川七日は、ラティメリアを連れて夏祭りで賑わうとある町を訪れる。手紙の差出人は、戦時中、ともに最前線で戦った女祈祷士の大坂雪生。七日との再会を喜ぶ雪生だったが、初めて見るラティメリアの容姿に驚愕する――「六花さんにそっくり……」。戦場において七日と雪生は、七日の姉・六花を中心に編成された祈祷士部隊に属していたのだった。。六花から生まれたマガツカミの脅威は七日もよく知っているはずなのに、なぜそれを側に置いておくのか? 雪生はラティメリアを斬るよう忠告するが、七日は取り合おうとしない。そんな折、祭りの最中に、古くから生き長らえる強大なマガツガミ・轢き神が現れる。轢き神の暴走を止めるため、その行く手に立ちふさがる七日だったが……。明らかになってゆく七日の過去と、その姉・六花の存在。そして、ラティメリアの誕生秘話。人間とマガツカミの異種コンビが魅せるダークファンタジー第2弾!
あかん、地獄や。ほんまモンの地獄や。六花をリーダーとする祈祷士部隊の最後の戦いは、人間性を全否定されるような地獄のような戦場でのものだった。史実の沖縄戦に相当する末期戦である。敵の戦力はあまりにも圧倒的。攻め寄せるそれは雲霞のごとく。味方の軍からは、軍からはすでに正気は消え失せ、倫理は崩壊し、形骸にしがみつき声高に叫ぶことで絶望から目を背けるしかない有様と成り果てている。敵を殺し、味方に狙われ、操るマガツカミは隙あらば人を喰おうと暴れまわる。周囲には狂気しかなく、それでも仲間と市民たちの命を守るために狂気の淵にしがみつき、素朴な善性を貫こうとした六花に襲いかかる、おぞましい人間の悪意。
六花の末路は、劇的なものでも美しいものでもなく、ただただ惨たらしく救いがなく、尊厳も何もかもを踏みにじられ、心を壊され廃人と化し、戦争犯罪人として遇された挙句に、まともな死体も残らず食い散らかされるというものでした。
その、一部始終を間近で見続けた七日。壊れていく姉を、守れなかった弟。なにも出来ず、姉の心がぼろぼろに崩れていくさまを指を咥えてみているしかなかった彼。彼には、六花しか居なかったのに。彼女だけが、七日にとっての全てだったのに。
六花の遺言が、七日を想って書いた言葉が、もう彼女自身の中からいっぱいになって溢れてしまったみたいな綴りが、切なくてねえ。
本当なら、此処で、姉が自分のマガツカミたちによって千切られ、食いつくされ、惨死した時点で七日という人間は、終わっていたのかもしれません。姉と同じように心を壊し、廃人となるか。それとも、姉の命を奪ったマガツカミたちを追って狩り殺すだけのバケモノと成り果てるか。
そうならなかったのは、彼が姉の死体なき血だまりの中で生まれた、唯一残された歯から生まれた喰い神を見つけてしまったから。生まれたての、何の穢れも帯びていない、姉ソックリの存在に触れてしまったから。
それを知ってしまえば、七日にとってのラティメリアがいったいどれほどの存在なのか、今更ながら染み入るように理解できるのです。あれほど邪険にしながら、憎んでいるようにすら見えるのに、決して離さず傍に置き続けるその複雑な想いの果てを。
七日にとって、ラティメリアは呪いのようなものなのでしょう。同時に、彼を人間のままで居させている唯一の錨なのか。それが救いなのかは、まだ定かではありません。でも、マガツカミとしての本能に逆らい、人の血肉を、友達となった人の命を、食べたくないと泣いた時、人喰いの運命に逆らって七日に助けを求めた時、可能性の光を見たのです。
純粋無垢な、罪なき幼子。無垢であるが故に正邪を解さず、きっとどこまでも残酷になれるであろうカミサマだったラティメリアは、でも他のどのマガツカミよりも六花の想いを受け継いでいた「娘」でもあったのではないでしょうか。彼女が信じた、人の善き部分を……悪意でも絶望でも怒りでも憎しみでもなく、彼女が笑顔で思い描いていたモノを、壊れ砕かれすり潰されで踏み躙られて最期に遺せなかったモノを、ラティメリアだけが引き継いでいた。七日が好きだった、姉の姿をもっとも純粋に顕現させたもの。遺してくれたもの。形見であり、娘であり、彼女自身であるもの。六花が成れなかった、六花の祈り、六花の願いそのものの映し身。
重たいなあ。でも、その重さがなければ、もう七日は生きていけないのだ。
いつか全部終わったあとも、彼がその重さを背負わなくても、生きていけますようにと願うばかり。もしそれが叶うなら、きっとその重さを取り払ってくれるのも、ラティメリアなのでしょう。
雪生は、誰よりもこの悲しい姉弟を間近で見続け、その悪夢を理解し、そして今、ラティメリアというカミサマの心に寄り添った彼女は、ラティメリアに託したみたいですし。七日の、未来を。

1巻感想

七日の喰い神4   

七日の喰い神 (ガガガ文庫)

【七日の喰い神】 カミツキレイニー/ nauribon ガガガ文庫

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夏の猛暑のさなか、行方不明となっていた少年が凍った死体となって発見された。警察は事件の異常性から“マガツガミ”によるものと判断した……。古来よりこの国には人間に害を為す禍々しい神々“マガツガミ”が存在する。そして、それらマガツガミを討伐する特殊な力を持った者たちを“祈祷士”と呼んだ。連携し独自に組織を作り上げた祈祷士たちは、マガツガミたちと長きにわたり戦いを続けてきた――。そして現代、天才的な資質を持ちながら祈祷士としての道を捨てた男・古川七日と、可愛らしくも残酷な“喰い神”の少女ラティメリア。人間とマガツガミという許されざる異種間のコンビは、法や常識に縛られることなく、彼らなりの理由と方法でもって禍々しい神々を葬っていく。

カミツキレイニー待望の新作は、「冷徹な最強の男」×「人を喰う神の少女」の異種バディもの! 共闘もするが、たまに殺し合いもする……そんなコンビが見せるダークファンタジー!
七日のラティメリアへの扱いは酷いものがあるんだけれど、その根っこには確かな愛情が……あるようには見えんなあ。でも、無関心でも道具扱いしているわけでもないんですよね。目線を合わせないように、焦点を合わせないようにしながらも、確固とした熱のこもった感情が、炙るようにしてラティメリアに向けられている。この複雑な思いの正体が何なのか、その理由は最終話でラティメリアの正体とともに明かされることになるわけだけれど、単純な情愛とは異なる当人にも把握しきれないほどに複雑に絡み合ってしまった愛憎を持て余し、というシチュエーションは大好物なのでこういうゴリゴリと精神を削るタイプの作品はやっぱり好きです。一方で、陰惨で鬱々とした主人公のそれとは対照的に、ラティメリアは天真爛漫で裏表が全然ない明るい性格で、酷い扱いをされながらも、全然引きずらないので作品の雰囲気を暗いながらも、息が詰まらないような空気にしてくれている。その意味では救いではあるんだけれど、彼女もマガツカミではあるので純粋ではあっても善良ではないんですよね。明るくても、倫理的だったり善人であったりするわけではない。当たり前のようにかまされる人間らしさの欠片もないバケモノとしての無邪気な言動に、ハッとさせられるのである。そんな時はどれほど冷酷でも、酷薄でも七日の方にこそ人間としての熱を感じるのだ。互い違いで定まらない異種間コンビ。でも、時折ふとした瞬間、価値観や存在の階梯、意識の相違を乗り越えて、まったく立ち位置が重なる時がある。ほんの偶然なのだろうけれど、優しさや情というものが同じ方向を向く時がある。だからこそ、七日はラティメリアという存在に憎しみだけじゃなく、在りし日の大切な人の面影を見てしまい、またそれとは関係ないラティメリアの不思議な柔らかさに目を細めることになってしまうのだろう。憎みきれず、しかし愛しめず、蔑ろにしながら大切にしてしまう。
答えの分からない、しかし確かにそこにあるものを抱え込みながら放浪する。彼と彼女に、たどり着くべきカナンの地が果たしてあるのだろうか。既に、どこにも辿りつけない今こそが着地点な気がしないでもないけれど、それは救いがないような気がするし、同時にこれが望むべき形のような気もするし。
この二人の場合、歩み寄ってしまえばこそ、救われない事になりそうで、なんとも言えない複雑さ。でも、ラティメリアは既にそのシンプルさを以って探すまでもなく在りようを定めている気もするけれど……でも、マガツカミとしては定まってはいても、その定まった地点から自覚なくウロウロと彷徨っている風なきらいもあるんですよねえ。
こればっかりは、一つ一つ話を積み重ねていかないと見えてこない霧中であるか。だからこそ、シリーズ続いてほしいな、これは。

カミツキレイニー作品感想

再び始まる反救世譚(エスカトラ) 2 4   

再び始まる反救世譚(エスカトラ)2 (MF文庫J)

【再び始まる反救世譚(エスカトラ) 2】 上智一麻/nauribon MF文庫J

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特異点として世界の犠牲となっていた少女、イリアを救出してしまったことで全世界から追われる身となった黒斗たち。身を隠しながらも旅を続け東都アガスティアへと辿りつくと、そこでは五百年前の英雄である救世主トラヴィスの召喚を祝う召礼祭が行われている最中だった。賑わう街の喧騒のなか一人の気品漂う美少女と出会う黒斗。その少女は、どこか異質な空気を漂わせていて…。そして旅の資金を調達するため、武道会へと参加することになった黒斗の前に六連覇を誇る天霊兵装の保持者、カイムが立ちはだかる!規格外の救世主による、全世界を敵にまわす反救世譚、第二巻!

存在するだけで世界を脅かす、人を殺し街を破壊し国を滅ぼす、そんな災厄である特異点。しかし、それは特異点となる人間が邪悪であったり悪意や野心があるわけではなく、言わば体質のようなもの。災厄となるものを意図せず呼び寄せてしまう特質こそが問題で、その為人はまったく関係ないわけですね。しかし、その特異点を放置しておけば、未曾有のおぞましい災厄が訪れて周囲を地獄へと変えてしまう。だからこそ、特異点となってしまった人は、捉えられて封印されてしまう。それは世の秩序を守るための、平和を守るための、人々のささやかな日常を守るための正義である。が、しかし、罪もなく一方的にすべての責を負わされ、人間扱いされず封印という憂き目に遭う特異点にとって、その処遇は受け入れられるものなのか。
特異点となってしまった一人の少女を守るために、救世主として神霊フェルに呼ばれながら、救世主たることに背を向けた少年の反救世譚。
特異点となる娘の性質が良い子であればあるほど、自分の存在が災厄を振りまいてしまうことに苦しみ悩み、自己を犠牲にすることが一番世界の為になると理解しながらも、しかし自分は何もしていないにも関わらず、誰からも疎まれ、愛されず、拒絶され、憎まれすらすることの理不尽に納得できず、哀しくて、嫌で、受け入れがたい。
このヒロインの煩悶を受け止めるのはなかなかにヘヴィーであるはずなんだけれど、それをしっかりこなしながら世界を敵に回す覚悟を据えている黒斗という主人公は、そりゃもう土台のしっかりしたドンと揺るがん良い主人公なんだけれど、それでもイリア一人だけで一杯一杯であることは確かなんですよね。精神的に、というよりも自分たちがしでかしていることの重さをよく理解している聡明さ故、というべきか。
だからこそ、ここで敢えて彼一人にどんどんおっ被すのではなく、彼と同じくらい強くて彼と同じくらい覚悟を据えることの出来る、黒斗とあらゆる意味で同格で対等なライバルにして友人たることの出来る相手が出てきたのは、噛み合わせが隙間なくピッタリとしているような骨格の強度を感じさせて、物語としても揺るぎなさが出ていてよかったんですよね。二人目のヒロイン登場というパターンは王道なんですけれど、この作品はそのヒロインの重たさが尋常ではないのですからね。
だからこそ、クライマックスのダブルライダー的な盛り上がりは実に燃える展開で、ドライブ感も増し増しで、うん良かったよー。燃えた燃えた。
うんこの作者さんってヘヴィーな主題を鬱々と沈めることなく、これだけ熱く手に汗握る熱量へと燃焼できる手腕の持ち主だというのを、いかんなく証明してくれたと思う。正直、もっと売れても全然おかしくないと思うんですがねえ。前シリーズともども、2巻・3巻で打ち切られるような作品ではないと思うんだが。どうも、あとがき見る限りではここで打ち切りを食らってしまったような感もあり、残念無念で仕方がない。
次回作こそ、何とかならんもんかしら。

仮想領域のエリュシオン 003 セルリアン・レクイエム 3   

仮想領域のエリュシオン 003 _セルリアン・レクイエム (MF文庫J)

【仮想領域のエリュシオン 003 セルリアン・レクイエム】 上智一麻/nauribon MF文庫J

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《天使》の一件も収まり、七年の時を経て和解した冬姫と紫緒。一方の大河は、巴夜所有のアークライトに傷を付けた罰として、一週間、彼女の命令に従わなければならないという契約をすることに。原因不明のネットワーク障害を対処するため、切燈グループの本社ビルを訪れた大河と巴夜の前に、再びあのプログラム《天使》が現れる。
「―――久しぶりだね、巴夜。ボクのことを覚えていてくれたようで、何よりだよ」
《天使》の正体。それは巴夜の過去に関わる血塗られた切燈家の歴史そのものだった。破天荒なチート兄妹が繰り広げるハイブリッドバトルファンタジー、雌雄を決すための第3巻―――。
「……そろそろお別れだ、イオラ」
<……はい、さよならです>
これ、よく見るとジャケットデザインでものすごいメンチのキリ合いしてて笑ってしまったんだけれど、この感情の張り裂けそうな鍔迫り合いは気合入ってて凄い好きですわー。長らくMF文庫ってインテリジェンスを感じられないつまらん表紙が多かったのだけれど、最近ちょっとずつだけれど変わってきた気がする。女の子一人のピン立ちにしても。
さて、デビュー作としてスタートした本作だけれど、残念ながらこの3巻で幕引きと相成りました。黒幕として暗躍していた《天使》を表に引っ張り出してきての決着編。いずれ決着をつけなくてはいけない相手ではあったものの、ぶっちゃけ本当に倒すべき相手は他にいる、みたいなモヤモヤは残ってしまったんですよね。本来ならこれ、《天使》の正体と彼女が引き起こす一件はきっかけに過ぎず、本丸は大河と冬姫、そして巴夜にまとわり付くしがらみと過去の因縁との対決だったんじゃないだろうか。大河と冬姫の兄妹にしても、家と過去との精算は終わってないままでしたし、切燈グループと巴夜のオヤジのやり口なんか一片の理解の必要もない悪逆だったわけですし、この少年少女たちが本当の意味で自由をつかみとるために戦うべき相手というのは、また別に居た、という感触でした。《天使》は、暴走していたとはいえ言わば「こちら」寄りの存在だったわけですし。
涙という、家のしがらみに囚われていない、天陵兄妹の安息となり影に日向にサポートしてくれるヒロインの存在や、紫緒という天陵兄妹に近しい因果の持ち主の登場、そして巴夜という後援者にして共犯者となるべき人材の今回のエピソードといい、多分最後に至るまでのラインは概ね算段ついていたんだろうことは、端々から伝わってくるだけに、ここで終わってしまうのは実に勿体無い。うん、まさに種まきが済んできたという感触が得られるこの全3巻だっただけに、ここで終わられると欲求不満ですよ。
ヒロイン衆と、大河の関係もいい具合に煮立ってきただけに尚更に。まさか、大河の理性がこんなに弱いとは思わなかったけれど。いくら誘惑してくるとはいえ、妹相手に理性崩壊が早過ぎるぞ、お兄ちゃん! そりゃ、長らく離れて暮らしていた分、ちょっと普通の妹とは感覚違うかもしれないけどさ。
硬派に見えて、わりと気を許した女性には防御力低い事が知れてしまったぞ、この主人公。涙に対しても、えらい甘えてたし、巴夜には何だかんだと頭上がらないし。……ヒエラルキー低いぞ、こいつw
まだビジネスライクな関係だった巴夜とも、今回の一件でお互いわりとマジになってしまったり、涙については隙だらけの姿を晒して安眠できるほどの無防備な関係になってしまったり、妹とはガチでチュッチュする関係になってしまったり、と女性陣同士もお互いに意識しだして、ちょうど人間関係も面白くなってきたところだけに……勿体無い。
最初の頃はまだふわふわしていてキャラも設定も地に足がついていなかった感があったのが、巻を重ねてだいぶしっくりくるようになってきていたし、美味しく堪能できるようにメキメキ充実してきた感はあったので、次回作は大いに期待したいです。

1巻感想

仮想領域のエリュシオン 001 シンクロ・インフィニティ3   

仮想領域のエリュシオン 001 シンクロ・インフィニティ (MF文庫J)

【仮想領域のエリュシオン 001 シンクロ・インフィニティ】 上智一麻/nauribon MF文庫J

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類稀な運動神経が取り得の兄、天陵大河。天才的なプログラミング能力が取り得の美少女妹、天陵冬姫。八年ぶりに一つ屋根の下で暮らすことになった兄妹は、二人だけで生きていくための生活費という問題に直面していた。冬姫が提案した工面方法、それは人々の生活に深く係わっている基幹システム、電脳世界の悪質なバグを倒して賞金を稼ぐことができるゲーム、構造体≪アリエス≫だった。不慣れな感覚に戸惑いながらも持ち前のセンスでゲーム内を無双する大河だったが、ある日、冬姫の親友の西園寺涙が正体不明のバグに襲われてしまい―――。
「待ってるからね、王子様」破天荒なチート兄妹が繰り広げるハイブリッドバトルファンタジー、ここに始まる!
これ、賞金額の安さをどう考えたらいいんだろう。うむむ、バグの除去という本来の目的からすると、わりと現実的な額なのかな、と思わないでもない。裕福な暮らしは出来なくても、まあ一日にこれだけ稼げるのなら悪くはない気がする。ああ、でもチームメンバーで賞金を割らないといけないとなると、ちょっと苦しいのか。これで飯喰ってくのは苦しいかもしれないけれど、バイトと割り切るなら割のいい方なのかもしれない。

そんなゲームの賞金額に対して、妹の金遣いの荒さはちょっと考慮した方がいいんじゃないだろうか。浪費癖があるというわけじゃないんだろうけれど、事前準備でお金を使い果たしてしまうって、金銭感覚がヤバイって。計画性も案外なさそうだし、この娘に財布を持たせておくのは非常に危険だと思うんだけれど。兄の方も、その辺りしっかりしているとは言えなさそうだしなあ。涙の家とはいえ、毎朝喫茶店で朝食、というのはなかなか経済的に贅沢な話じゃないですか。

なんだろう。ちょっと地に足がついてない感じがする。ヒロインたちのキャラクターは良く仕上がっているし、主人公の大河も、卒なくまとまっていて適度に熱い性格をしていてストレスを感じない好漢なのですが、彼らが動くべき舞台とストーリーが書割りめいていてしっかりと地面に根づいてない気がするんですよね。見てくれだけはそれなりに仕上がっているのだけれど、ポンと地面の上に乗せているだけみたいな感じで、微妙にグラグラしている。そんなもんだから、キャラもそれぞれ足に力を入れて踏み込みに踏み込めず、せっかくのキャラの良さを活かせずにフワフワと与えられた流れに乗って動くのが精一杯で、まだ自分から動くことが出来ていない感じ。まだ自分がどれだけポテンシャルを持っているかわからず、それを探るだけの余裕もない、という感じか。冬姫にしても涙にしても、巴夜にしてももう既に現状である程度勝手に動き出しても良さげなくらい出来上がってる感じなんだけれどなあ。なんかこう、一本ガツンと真ん中に通った芯が作品に見当たらないんですよね。逆に、そこさえ通れば、上滑りしている部分が全部かみ合ってきそうなんだけれど。
ぶっちゃけ、必要な物は全部揃っていると思う。ストーリーも舞台設定も、大河や妹、巴夜の行動原理や信念にしても悪くはないんですよね。あとはほんと、慣れだけかもしれない。その慣れが安易な方に流れていけば、十把一絡げの安い建売になっていくでしょうし、その慣れを「掴んで締めて掘って練って鍛えて」の方に仕上げていくなら、元々の精度の高さからして実に良い方へと邁進していく、そんな感じがするんですよね。
粗が少なそうに見えて見えにくい所に隙間がたくさん、というのはある意味新人さんらしい作品ではないかと。個人的には、この隙だらけなところが逆に伸びしろがたくさんありそうで、舌なめずりなんですが。
何気に涙みたいな娘をメインっぽいところに据えたのは面白いと思うんですよね。というよりも、明確にメインヒロインらしい役どころが機能していないところが、中途半端に見えてヤバいところであり逆に面白味を感じたところでもあり。如何様にも転びそうで、結構楽しみなんですよ、私としては。

やましいゲームの作り方 23   

やましいゲームの作り方2 (ガガガ文庫)

【やましいゲームの作り方 2】 荒川工/nauribon ガガガ文庫

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大人気敏腕ライター『中田ろみ子』登場!!

ペチペチペチペチ。
いつもなら気にも留めないキータッチの音が、今は耳にうっとうしいほどまとわりついてくる。自分が神経質なのは知ってるけど理由はそうじゃない。
二人の年上の女性に挟まれて、その真ん中でずっと沈黙に耐え続けているせいだ。
株式会社ソフトマシーン。その事務所の片隅にある本来なら一人で作業するその中に、三人の人間が肩を並べてる。右に、平栗さん。左に、中田先生。いったいどういう罰ゲームだろう。
しまった、と思っておそるおそる中田先生の方に振り向く。――ほんのちょっと半目になるだけで、人の表情ってこんなにも冷たくなるんだ。そんなふうに、じとーっと中田先生は僕を見ていた。
「チッ……ろみ子からの質問。それは『あっ、また美しい中田先生がうるせーこと言いそう』の『あっ』? 『あったまくんなあ、いちいちこの美しい中田先生ったら小姑みたいによう』の『あっ』?」
ところで選択肢が二つあってどっちにも地雷が埋まってるのが見え見えなとき、人はどうしたらいいんだろう。

僕が、中田先生、そして平栗さんまでも巻き込み、シナリオリテイクをしている理由とは!?お仕事モード全開の第二巻!!
た、田中ろみ子先生って……支倉凍砂先生が実はケモノ娘だったという事実以来の衝撃っ! しかも、別名義がやーまだって、そのへんもう暗黙でもなんでもないのか。
家族計画は名作でしたよ?

それはそれとして、本作が続いたのはかなり驚きだったんですよね。前回で亡くなったお父さんの仕事をやり残して死んでしまった、という未練は綺麗に解消されてしまったわけで、それなのに現世に残ってしまってどうするんだ、と。これ以上は蛇足なんじゃないか、と思ったりもしたのですが……。
蛇足じゃなかった、蛇足なんかじゃなかったよ。ってか、第一巻も変な作品でしたけれど、この第二巻はそれにも増して、輪をかけて変な構成で。物語として見るならば真っ当といえるのかもしれませんけれど……実際やるとなるとこれ大胆なことやったもんです。ライトノベルのシリーズものの第二巻として、この内容はちょっと凄いんじゃないかと。
端的にまとめると、前回がお父さんの生前の未練の解消だとすれば、今回はこの世を去るにあたっての身辺整理、なんですよね。一応次の企画がトラブル混じりで舞い込んでいるのですが、ゲーム制作については今回は二の次で、お父さんが成仏するにあたって気になっていたことを片付けていくのが今回の話の肝でした。いや、かなりギリギリになるまでお父さんが成仏する流れになっている気が付かなかったので、察した後は心が波打ちっぱなしでしたけれど。
うん、考えてみるとやり残した仕事だけ片付けて成仏してしまうって、遺していく人たちに対して、義理は果たしたとしても薄情と言えば薄情なんですよね。そう思うと、前回に成仏しそこねたというのは蛇足でも何でもなかったんだなあ。結局、お父さんが懸念として残していたのは、大事な息子が自分が居なくなったあともちゃんとやっていけるか。自分が息子を庇って死んでしまったことをずっと引きずって生きて行かないか。親として当たり前の子供に対する心配が、お父さんを現世に引き止めていたと考えれば、何の不思議もない。自分の死に対してあれだけサッパリしているお父さんでも、自分が死んだせいで息子が必要以上に傷ついて、その後の人生を誤っていきかねないとなれば、やっぱりやり切れないですもんね。でも、前回のゲーム制作を通じて父子は今までになく本音での交流が出来て、その上で息子が独り立ちしてやっていける見通しもついた。彼を支えてくれる周りの人達もちゃんと居る。何より、息子の中で父親の死を乗り越えて前を向いて生きていけるだけの意識が芽生えていることを、中にいることで肌で感じ取れた。母親と違って父親は、男親は、息子に対していつまでもベタベタ出来るもんじゃありません。ニ心同体なんかになってしまったのなら尚更に。父親が息子を心配しすぎるなんて、野暮なもんですよ。だから、未練なんておこがましい。必要以上にしがみつく必要もない。男親と息子の関係なんて、背中を向け合うくらいでちょうどいい。信頼さえアレば、一緒に居る必要なんてどこにもない。だから、心配も憂いももう何処にもない。
いい、お別れでした。
個人的に胸を打ったのは、むしろ社長の仁江いなほさんとの事でしょう。なんだよー、恋愛感情なんて無いって言ってたじゃんよ〜。奥さんを亡くして独りで息子を育てながら、同じ職場で一緒に戦う同僚の姿を、いなほさんはずっとどんな想いで見続けたんだろう。その男が、突然の事故でこの世を去ってしまったことが、この人にとってどれほど衝撃だったんだろう。前回の修羅場では滅多に弱ったところを見せなかったこの女性の、流した涙がもう切なくて切なくて。
その気持を知りながら、ずっと気づかないふりをしてきたお父さん。それでも、彼にとっても息子のことに匹敵するくらい、この年下の上司にして戦友のことは気掛かりだったんだなあ。大切だったのでしょう。恋人じゃなくても、その気持ちをどうしても受け入れられなかったのだとしても、本当に大切だったのでしょう。恋の向こう側にある優しい愛情が、いなほさんに向けられたお父さんの言動の端々に感じられて、何とも言葉になりませんでした。後悔はもうやめないと、そう決意するいなほさんですけれど……こればっかりは生涯消えない想いなんだろうなあ。

幽霊は在るべき場所、待つべき人のいるところへ旅立って行き、残されたモノたちの前には新たな修羅場。って、ええ!? 主人公たるお父さんが今度こそ成仏してしまったのに、もしかしてまだ続くんですか!? 今度こそ本当に息子のほうが主人公に!? いけるのか、これ?
平栗さんの天然ぽややんな強ヒロインっぷりに、新キャラのろみ子さんインパクトも去ることながら、いなほさんルートはないのかよ! とまでは言いませんけれど、いなほさんはなんとか幸せになって欲しいよなあ、と思いつつも他の誰にも靡かないで欲しいよなあ、なんてことも思いつつ、だからやっぱりいなほさんルートだよ!

1巻感想

やましいゲームの作り方3   

やましいゲームの作り方 (ガガガ文庫)

【やましいゲームの作り方】 荒川工/nauribon ガガガ文庫

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PCゲーム業界のエピソードがここに!?

『人生はゲームだ』
そんなセリフをどこかで聞いたことがある。
ゲーム制作を生業としている俺には、ある種味わい深い。
膨大なシナリオ、盛りだくさんの選択肢、星の数ほどのグラフィックは超高解像度、BGMも効果音も絶えることがないし、もちろん幾多のキャラクターはフルボイス。さらに、プレイヤーのスペックによっては、難易度が変動する、業界でも類のないダイナミックシステム搭載ときた。採算度外視のその作りに、羨ましくてよだれが出そうだ。
俺の人生は、といえば、結構いいかげんだったわりには、そこまで大きな山も谷も無し……言うなれば、イージー寄りのノーマル、そのあたりだった。
『だった』と過去形なのは、このたび、ついにエンディングを迎えたからだ。
ちなみに今は俺の葬儀の真っ最中。
俺はどこに出しても恥ずかしいアラウンドフォーティ、略してアフォのおっさんだったんだが、息子の身体に乗り移ってしまったんだ――――あ、息子が『身体を返せ』と叫んでいる……。

息子(の身体)に協力してもらいPCゲーム作りに励む、ちょっと不思議テイストの業界ラノベここに誕生!!
変な作品だなあ!!(褒め言葉
いや、まったくおかしなお話である。ラブコメでもないし学園モノでもない、青春モノというには主人公がアラフォ〜のオッサン、しかも子持ちである。その上死んでいる。別段青春を謳歌し直す話でもない。
ぶっちゃけてしまうと、突然死んでしまってやり残してしまった仕事を、同僚や会社に迷惑がかかるし気になって仕方ないし、なんとか手伝って仕上げてしまう、という……お仕事モノなのか!?
業界の内輪話みたいなエピソードが度々介在するあたり、疑問符をつけるまでもなく業界モノのそういう話なんだろうなあ。しかし、お父さん当人は職場で恋愛が発生する余地がないみたいな事発言してますけど、社員がみんな二十代の若い女の子で、お父さんがまだ四十前。しかも、奥さんを亡くして独り身、なんて環境、たとえ高校生の息子が居るからって、全然脈なしなはずないじゃないですか。環境設定だけである程度フラグが最初から立っているようなものですよ? しかも、女社長ときたら、プライベートでも度々息子の朝ごはんとか用意してくれてるような親密さですし。
ところが、これがどうやら本当にそういう色恋沙汰の卦は皆無だったようなんですよね。えー。いやあ、お父さんがそういう話を、ないない絶対ない、みたいに言ってるのが妙にこう、実感が篭ってて、作者当人がお父さんに感情移入しているというか、自分を照らし写しているというか、シンクロ率高めて書いてらっしゃるのね、という生暖かい眼差しになってしまいました……ものすげえ失礼だなw
お父さんは気にしてないけれど、息子からすると自分の父親と体を共有して自分の生活を覗き見られるとか、精神的に死ぬよね、死ぬよね? 繊細でなくても死にます。死なせてあげてください。どんな恥辱プレイだよ。しかも、学校での自分の情けないありさまを余すこと無く見られるとか……死ぬ死ぬ死ぬ。
と、息子サイドで感情移入してしまうと正直たまらん気持ちになるのですが、これはもう心底お父さん視点で没入しているので、そういう息子の感情はなだめてポイである。ぞんざいというなかれ、そんなもんだ。

しかし、こうお父さん視点だと、息子と仲良くしてくれる女の子というのは不思議な感覚で見てしまうものなんですなあ。平栗さんその人が、妙なところでポワンポワンとしてて反応も可愛らしい、鑑賞していてキュンキュンしてしまう楽しい娘、という理由も大いにあるのだろうけれど、あくまで見守る対象なんですよね。普通のヒロインという感覚で見ていないんですよね。微妙に一線を引いて見守っていて、その視界の中にやきもきしている自分の息子の様子も写っているみたいな。
こうした感覚は、普通のライトノベルではとんと味わえない感覚なので、妙に新鮮で不思議なものであります。って、徹底して仕様がおっさん向けな気がしてきたぞ(笑
とはいえ、お父さんがいささかちゃらんぽらんなダメオヤジ過ぎて、父と息子の男同士の家族愛とか父親の威厳とかかっこ良さとか、そういうのが全然皆無なのも摩訶不思議さに拍車をかけている気もしないでもないけど。実は仕事場ではカッコ良かったんだー、ということも殆ど無く、仕事は結果的に見ればちゃんとやるけれど、結構アレすぎる手法やアコギな事もやってました、という働くお父さんの背中あんまり格好良くもないよ、というような姿でしたし。仕事内容に関しては家族モノという側面は一切無く、あくまで仕事モノ。世知辛い現実をうまく世渡してなんぼ。幻想は燻し殺す、みたいなお話でしたし。まあ暗い内容では全然なく、人脈は大事だよ、良い人と仲良くしてたら、たくさん助けてもらえるよ、という相互扶助的な話題が多く、また人それぞれに仕事に対しては真剣に打ち込み、自分なりに真面目に、深く考えて頑張ってるものなんですよ。意外と自分以外の人のそんな様子には気が付かないもので、だからこそもっと腹を割って話し合うものまた善いものですよ、というなんかイイ話にもなってましたし。
まあ、大概無理ですけどね! だいたいそこそこ交換できれば御の字でしょう。そういうのが成り立ってる職場って、殆ど理想的って言っていいんじゃないだろうか。その意味では、お父さんの勤めてたやましいゲームを作る会社は、お父さん自身大変満足していらっしゃったように、良い職場なんでしょうねえ。
だからといって、息子もそこに勤めるというのはどうよ、と思うけどw

って、続くのか!? 

秘密結社とルールと恋3   

秘密結社とルールと恋 (電撃文庫)

【秘密結社とルールと恋】 寺田海月/nauribon 電撃文庫

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「ラヴ」「ラヴ!」「ラヴ!!」「ラヴ!!」
放課後、怪しい宣誓が木霊する……。

 黒い三角の頭巾をかぶり、二つの穴から目だけを出した連中が集う。俺たちは秘密結社だ。今日も胸の前で指を組み、誓いの言葉を叫ぶ。
「ラヴ!!」と。
 不純異性交遊禁止の校則に逆らい、恋をするため。俺たちは今日も集うのだ。ああ、けれど俺の恋はきっと、秘密結社の力でも叶わない。なぜなら俺が恋する人は、校則を定めた張本人──生徒会長円城あかり、その人なのだから。
円城あかりは理想家でした。理想を実現するために、生徒会長となり意欲的に学校の在り方を変えていくなど、口先だけではない行動力に満ち溢れている。その抱いた理想の根源が、単なるヒーローへの幼い憧れでしかなかったのだとしても、彼女はずっと信念を持って正しい道を歩いてきた。
しかし、正しさをゆく道は決して安穏な道ではあり得ない。正しさは他の正しさと軋轢を生じ、現実に衝突して、多くの傷つく人を生んでしまう。それがどんなに綺麗な理想だったとしても、そうであればあるほど人間が誰しも持っている負の側面を浮かび上がらせ、摩擦を生じさせてしまう。
彼女が戦おうとしたのは、悪でも敵でもなく、人の善性を信じない社会システムそのものだったと言っていい。だが、それ故に彼女は彼女が信じようとした善性に裏切られ、自らを含めて多くの傷つく人を生むことになってしまう。
それでもだ、彼女を現実を知らないおめでたい夢見がちなロマンチストで、浮ついた理想家などと言う人はいないだろう。彼女は、幼い頃から幾度も傷つき、傷つけ、挫折してきたのだから。きっと、何度も何度も失敗して、上手く行かずに痛みを生んで、それでも一つ一つうまくいくように努力を重ね、ようやく高校で生徒会長の座を勝ち取り、その地位で理想を一つの形にしたのだ。彼女は、傷だらけの理想家である。
そんな彼女を、ずっと傍で見守ってきたのが主人公だったと言っていい。彼――いじめられっ子の小学3年生だった会津優介と、小学四年生の円城あかりの出会いと相対、そしてそれぞれが得た解答のエピソードは感動すら覚えるものだった。
人と人は、理解し合えるものなのだ。
きっと、あかりが高校にあがり此処に至るまで理想を捨てずに居られたのは、この時の体験があったからなのだろう。人と人が話し合うことで理解し合えるという体験が、そしてその相手である優介がその時からずっと今に至るまであかりの理解者であり協力者で在り続けた事が、彼女を支え続けたのだろう。それが、彼女が自分は正しいのだ、という確信につながっていたのだろうと思う。
その時点で、彼女は多分少し間違っていたのだ。あかりと優介は、思わず感動を覚えるほどの、心の理解を交えた。でも、彼女は優介を本当に理解しきっていたわけじゃなかった。それが、微妙な齟齬を生んだまま彼女の理想の崩壊にまで届いてしまう。
彼女はまだ、優しさよりもエゴこそが力強い肯定を生む事を知らない。

この物語に登場する人たちは、皆が皆眩しいくらいに誇り高い生き様を貫いている。歯を食いしばって、痛みを堪え、自分の至らなさ、弱さ、未熟さに悶え苦しみながらも、一度として恥ずべき振る舞いに陥らず、信じた想いに殉じている。あかりも、優介も、ことねも、稲沢も、皆自分の弱さを誰よりも自分自身が認めている子たちだ。時に挫折し、時に道を歪め、時に泣き崩れて膝を折ることもある。
それでも、這って這って前に進み、最後には立ち上がる、その姿が直視できないほど眩しくて仕方がない。理想を追い求めるとは、こんなにも輝かしいものなのか。誰か大切な人を想い、その人のために身命を擲って駆けまわる事が、こんなにも尊いものだったのか。
パワー・オブ・ラブ、なんて言葉もあるけれど、最初から最後まであかりの為に影に日向に駆け回り、泣いてる女の子に胸を貸し、彼女の心を支え、そして理想を守りきった少年の愛の力は、本当に素晴らしかった。

ド直球の青春恋愛譚のようで、1つ年上の幼馴染との近くも煩悶が混じった交流の描写に、細く白い指先のような繊細な移ろいを感じさせてくれた、勢いと柔らかさが同伴した素敵な作品でした。

デキる神になりますん 23   

デキる神になりますん2 (ファミ通文庫)

【デキる神になりますん 2】 森田季節/nauribon ファミ通文庫

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檜沢にネズ耳神様が降臨!?

わたし、くらがりさまと申します。鎮守の神、まこう様との永きに渡る冷戦も雪解けを迎え、復活したわたしたちの友情パワーはまさにストップ高なのです! この勢いで檜沢をさらに盛り立てるべく不退転の決意で――あ、親力の人じゃないですか、何か用ですか? え、お化け騒動? それも神様を騙る不届き者ですって!? わかりましたっ。再びくらがり流神コンサル術をお見せしましょう! 神愛でる地で始まる神サマ更正コメディ第二幕!!
ちょっとした行き違いから生じてしまった人間関係ならぬ神様関係に入ってしまったヒビ。それが個人個人の間だけで済む話ならばまだマシなのだけれど、それぞれに相応の立場というものがあったならばその不仲、人間関係の亀裂は即座に関係各所へと波及していってしまう。責任多き立場ならば尚更の事だ。
況してや、それが土地を管理する鎮守の神様ならば、その土地の栄枯盛衰にまで影響が及んでしまう。
神様だって、現実に存在してしまえば浮世の存在。その身は世俗にまみれ、幾多のしがらみに縛られてしまうものなのです。しがらみや責任を前にすれば、尋常ならざる神力などは意味を成さず、必要とされるのは雁字搦めに絡まってしまったしがらみの糸を丁寧に解きほぐしていく粘り強さと根気強さ、そして諦めの悪さなのでしょう。
得てして、人も神も、そんな根気は持ちあわせておらず、しかし責任を放棄して逃げ出すような不誠実な真似も出来ず、ドツボにハマっていくのです。
これ、神様の話なんですけれど、話の内容があまりにも世知辛いというか、身につまされる話でねえ。「おおはつね」様が酔った拍子に何のしがらみもない一成に、ついついこれまでずっと溜め込んできた弱音を吐露してしまい、緊張の糸を切らして泣きだしてしまったシーンには、言葉を失ってしまいました。
だって、本当に辛そうなんだもの。逃げたくても逃れられない責任の重さに、頑張って足掻いて耐え続けて、それでもどうにもならずに全部打ち壊れてしまいそうな現実を前にして、疲れ果て怯えきり繕い続けてきた威厳も何もかも取りこぼして、咽ぶように泣き崩れるおおはつね様の姿が本当に切なくて、悲嘆にあふれていて、もう見てて胸がいっぱいになってしまったんですよ。
剥き出しのソウルが、そこにはあった。それは痛みに震える弱くも儚いものだとしても、間違いなく剥き出しにさらけ出されたソウルだった。最近、森田さんの著作でもこんなシリアスというか切実な場面を見ることはなかっただけに、余計に沁みたというかなんというか。久々にこの人が【ビター・マイ・スウィート】シリーズの作者を思い出した場面でした。森田さんの本、単行本で出された方には予算やスペースの関係で手を出してないんだけれど、こう久々にガッツリと根深く書かれたこの人の本を読んでみたい気持ちになりましたねえ。

全体に、ポップでリズム感のよい筆致で描かれるのは、ここ最近の傾向にも現れていますけれど、中でも本作は丁寧に田舎の温泉街の長閑なほんわかした空気感を描き出していて、お気に入りだったんですよね。妙に世知辛いというか俗っぽい神様たちの馴染みっぷりも合わせて。どうもこの巻で終わりみたいですが、もうちっと続きを読んでいたい一作でした。
それと、表紙もなんか好きだったんですよね。なんか「ようこそ」と歓迎されているみたいな、これから門前をくぐって物語の中へと訪れる気分にさせてくれるというか。こういう、ちゃんと表紙は掴み、というのを心得て色々と考えてデザインされた表紙が増えてくれるといいんだけどなあ。

ところで、深緑と明日羽はキャラ被ってたんじゃね? 唯一二人だけの人間のヒロインなのにw

森田季節作品感想

鳩子さんとラブコメ 23   

鳩子さんとラブコメ 2 (富士見ファンタジア文庫)

【鳩子さんとラブコメ 2】 鈴木大輔/nauribon 富士見ファンタジア文庫


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僕こと平和島隼人は、平和島財閥の跡継ぎ候補。いずれ財閥のトップに立つべく、メイドの鳩子さんから帝王学を学ぶ日々なんだけど―「今日もいい天気でいい朝ですね。誰かさんの顔を見ないで済むならもっとよかったのですが」「あんたがこの世に存在さえしなければ、戦争をなくすよりはるかに手っ取り早く世界は平和になるでしょうに」…犬猿の仲である鳩子さんと、元お嬢さまの杏奈の二人は、今日も僕を間に挟んでバトルを繰り返している。おまけに「実は杏奈は僕の将来の婚約者」なんて、鳩子さんが言うもんだから、鳩子さんに一世一代のプロポーズをした身としては立つ瀬がないわけで―。
……これ、思ってたよりもはるかに鳩子さん、ヘタレなんじゃないだろうかw
本作は鳩子さんが本当は何を考えているのか、については傍から見た言動を除いては隼人の憶測をフィルターにした記述しか判断材料がないのだけれど、それを加味してもいささかボロが出てきた感がある。一巻の段階では盤面を完全に掌握し、鬼手に迂回戦術、正面突破と自在に攻勢をしかけてくる隼人と互角に指し手を交わす辣腕の棋士、という心象だったのですが……果たして二巻を読む限り、鳩子さんは盤面を支配しているのか?
そもそも鳩子さんは誰と戦っているのだろう。彼女の最終目標がわからないだけに、彼女が何を思い、誰を敵視し、誰に対して戦闘を仕掛け、何を打倒しようとしているのかもすべて推測に頼らざるをえない。隼人と最終的に結ばれること、が目標であり前提であり、それを達成するためには幾つかの障害があり、それを取り除くために立ち回っている、というのなら色々と読み解けてくるものもあるのだけれど……。
どうも、鳩子さんの杏奈への態度というのはものすごくシンプルに「八つ当たり」っぽいんだよなあ。一巻見た時点だと、天然だけれどそれ故に強力なプレイヤーである杏奈に対して、対等な立場から決闘に挑み正面から叩き潰そうとしている、という感覚だったのだけれど、この巻を見ているとどうも既に負けな立場を諦めて受け入れた上で、その憤懣を当人である杏奈にぶつけているように見える。
鳩子さん、結構個人的には杏奈のこと好きだと思うんですよね。性格がドSだからって、本当に嫌いな相手にSっ気はぶつけないと思うんですよ。嫌いじゃないからこそ、八つ当たりにいじめてる、という対応で収まってるんじゃないかと思えてしまう。八つ当たりの対象は確実に隼人に対しても向けられているようなのだけれど、隼人はあれですもんね、暖簾に腕押し糠に釘。立ち回りが絶妙すぎて、どれだけイビろうとしても手応えが得られない。そりゃもう、面白いように反応してくれる杏奈に構いっきりになるのも当然てなもんです。
やたらとプライド高いくせに、負け犬根性がにじみまくってしまっている。今の平和島鳩子さんという人をそういう人だと捉えると……これはこれで面白いw
恋愛感情を冷徹にゲームの担保にした主導権の握り合い、という当初の受け取り方からはズレてきたけれど、個人的には僻み根性剥き出し……にはしてないけれど、奥に秘めてすまし顔で立ちまわるキャラクターというのは嫌いじゃない。その負の感情の吐出口になる隼人と杏奈が、それに全く精神的に応えない柔性の強いキャラなので、空気はそんなに悪くならないし。
まあ、そういう憶測も、鳩子さんが隼人をやっぱり好きで、でも結ばれることは諦めている、という前提ありきの話で、実際はどうかわからないんですけどね。ただ、こういう作品の場合は読者側で妄想をたくましくしていた方が、その場その場で楽しめるのです。読み方なんて自由です。国語の試験みたいな模範解答を要求されているわけじゃござんせん。どうせ読むなら、楽しく読むほうが良いですから。
まっ、これで杏奈が隼人が鳩子さんを好きで他には目を向けるつもりがない、と承知した上でなおも政略結婚するんだと言ってのけているのなら、もっと面白いのですけれど。隼人の回想では、そこまでは言ってないんだよなあ。

1巻感想

鳩子さんとラブコメ 4   

鳩子さんとラブコメ (富士見ファンタジア文庫)

【鳩子さんとラブコメ】 鈴木大輔/nauribon 富士見ファンタジア文庫

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僕こと平和島隼人は、平和島財閥の跡継ぎ候補。いずれ財閥のトップに立つべく、メイドの鳩子さんから帝王学を学ぶ日々なんだけど―「坊ちゃま。ぶつぶつ独り言を呟かないでください。気持ち悪いです」「坊ちゃま。わたくしに押し倒されたくらいで動揺するようでは、跡継ぎ候補として失格です」「坊ちゃま。いくらわたくしが絶世の美女だからといって、いやらしい目で見ないでください。警察を呼びますよ」…うん、今日も鳩子さんは平常運転で容赦ないね。そろそろ新たな性癖に目覚めそうだよ僕は。―ド直球ラブコメ。
なにがド直球ラブコメだよ。全然直球じゃないよ! いや、直球だ変化球だというんじゃなくて、既存のテンプレ的なラブコメと則ってるルールが違うというべきか。
実に面白い!!!
なにが面白くって、どうルールが異なっているのかと言えば、この物語って恋愛が目的じゃなくてあくまで手段なんですよ。いや、そう言うと語弊があるか。
この物語の中で起こっている事というのは、紛れも無く一つの「ゲーム」なのです。それも、キッチリと勝ちと負けが存在する、好きという自らの感情すらもチップにして駆け引きする恋愛ゲーム。そしてその対戦者こそ主人公である隼人であり、メインヒロインであるところの鳩子さんなのであります。彼らは明確な自覚と意志のもとにゲームの盤上にあがり、プレイヤーとして対戦者を完膚なきまでに屈服させんと奸智の限りを尽くすのである。
尤も、どうも鳩子さんは隼人のことを舐めてた節がありますね。散々自分で隼人に自分たちの関係はまず平和島財閥の後継を争うライバルであると言い聞かせていたにも関わらず、隼人を対等な対戦相手とは認識していなかったんじゃないだろうか。鳩子さんの最終目的が何処にあるのか、最後の彼女の暴露によってちょっと判断しづらいところになってしまったので、果たして鳩子さんの隼人への態度が本気の教育だったのか、自分に精神的に屈服させるための調教だったのか、はたまた八ツ当たりめいた嫌がらせだったのか、自分を選ばせるための馴致だったのかはわかりませんが、何れにせよ鳩子さんには隼人が本当の意味で自分の主人であり兄であり財閥後継を争うライバルだという認識はなかったように思える。むしろ、彼女にとって殲滅スべき「敵」は別にあった。その点においては鳩子さんは実に順当にラブコメのヒロインをしていたと言ってもいいのかもしれない。

その隼人への認識不足に基づく油断が為に、鳩子さん程の才女がとてつもない逆襲を食らってしまうハメになるわけです。
ただのおとなしく人畜無害な草食獣であり、振り回し飼い慣らし振り向かせ自分を愛し慈しむように躾けるべくする相手に過ぎないと思われていた主人公が、実は自分の恋愛感情ですら武器として憚らない奸智に長けた獰猛にして冷静沈着な狐狸の類であったのだと知った時には既に手遅れ。哀れ鳩子さんは見事に手足を封じられ、良いようにねぶられても抗えないまでに首根っこを押さえられかけてしまったのでした。
そこから、攻守逆転して食べられ放題、とならず見事に再逆襲に転じるあたりは、流石は鳩子さん、と言ったところなのかもしれませんが、あれは何気に鳩子さんにとってもリスク高め、自爆覚悟のカードだったんじゃないかな。
本来ならゲームの盤上に上げずに秘密裏に葬り去ろうとしていた相手を、自分が生き残るためとは言え、結果として舞台上にひきあげてしまうことになりかねない状況に自らしてしまったわけですから。

そのもう一人の潜在的なプレイヤーであるところの、鳳杏奈もまた面白いヒロインなんですよね。この娘、典型的な素直になれないツンデレキャラにも関わらず、なかなか巧妙な立ち回りをしていて、あんたなんか別に好きじゃないんだから、と言いながら彼とは政略結婚する予定なの、と自分で広言して回ることで生半可なことではまず隼人に他の女性が手を出せないように絶対強固な防衛線を張り巡らせる、なんて真似をしていたのです。
いや、そこまで言うなら普通に告白して付き合っちゃえよ、と思わないでもないんですけどね。でもまあ下手に付き合って仲を拗らせるような事になってしまう危険性を回避して、現状のままなし崩しに結婚まで持って行ってやろう、という心づもりだったのかもしれませんし、その戦術は実際上手く行きかけてたのかもしれません。隼人が財閥後継争いに加わることになり、鳩子が現れるまでは。
ぶっちゃけ、隼人への攻略戦しか頭になかった杏奈にとって仮想敵としてすら想像もめぐらさなかった鳩子の強襲は不意打ちでしかなく、完全武装で最初から殲滅戦の勢いだった鳩子に比べて、彼女の準備不足は否めず哀れなほど一方的に蹴散らされてしまうんですね。隼人の横槍がなかったら、まずここで彼女は完膚なきまでに壊滅させられていたでしょう。その意味では、鳩子さんは最大のチャンスを逸してしまったと言えるのかもしれません。
まだはっきりとはわかりませんけれど、これ以降杏奈もまた正式にして対等なゲームのプレイヤーとして盤上に上がってきた場合繰り広げられるのは、ラブコメという甘味とは程遠い三つ巴の闘争です。お互いを好きなんてのは既に前提。それどころか、相思相愛の事実ですら武器と成し、キャッキャウフフと相手の首を獲りに行く、巧緻を極めた恋愛ゲーム。これは、面白すぎですよ!?

本当なら、最初はこの作品手を出すつもりもなかったのですけれど、ついついフラフラと興味を引きつけられてしまったのは表紙の良さによるものでした。この鳩子さんの表紙絵はなかなか強力な吸引力でしたよ。
 
12月1日

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11月6日

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