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聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>22 ★★★★☆  

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 22 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>22】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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今や全世界の敵となった駿河安東を追い、天空に浮かぶ赤き月へと向かった諸葉たち。
サツキ、静乃、エドワード、シャルル、そして全ての仲間との絆が安東打倒の一手に繋がっていく。だが――
「ここからは俺も本気というだけよ」
現世で新たなる力さえ手にした安東はまさに死角なき絶対最強の王者として不遜に笑う。
そして、至高の武を結ぶ天上の戦いは、どんな前世でも到達しなかった究極の先へ――我が剣に宿れ、天地終焉の劫火!
≪剣聖×禁呪使い≫二つの前世を超え、灰村諸葉が未来を斬りひらく!!
超王道学園ソード&ソーサリィ、堂々たる決戦――これで終。
おぅおぅ、面白かったよう。昨今二十巻越え出来るシリーズなんて数えるほどしかないけれど、それに相応しい面白さを最後まで高止まりで維持し続けた傑作でありました。あとがきでも触れていますけれど、これほど長く続かなければ周りを固めるキャラクターをこれだけ掘り下げることは難しかったでしょうね。特に、本シリーズ影の主役である石動先輩ですよ。
とうとう、とうとうその頂きにまで至りましたか。もうめちゃくちゃかっこよくてめちゃめちゃ強えぇ。べらぼうじゃあないですか!!
当初はSクラスを目指しつつもついに手が届かないという儚い運命を背負ったキャラだったそうですけれど、彼の負けてもやられても倒れても諦めずに努力して努力して、ときに邪道に走りながらも闇落ちすることだけは決して無く、高潔な戦士のまま邁進し続けた結果、ストーリーとして自然な形でSクラスという頂きへと至る道をまさに自らの手で切り開いたという、思えば凄まじいキャラなんですよね。
絶対、途中で闇落ちすると思ってたもんなあ。実際、悪魔と契約するに等しい危うい真似はしているのですけれど、護る正義のために力を求めるという原則だけは絶対に見失わず、力を求めて自身の正義を見失うみたいな本末転倒な真似だけは決してしなかったわけで、そのあたりもこの人圧倒的に尊敬に値する人物だったんですよね。諸葉も最初から最後まで石動先輩への信頼は揺らがなかったですからね。
それだけに、最後の最後のあの圧倒的なまでのパフォーマンスはまさに二十巻を超えて待ちわびていただけに、まさに待ってましたの一言でした。
ラストは、クライマックスを飾るに相応しい総力戦。
一番印象的だったのはこの文章でした。
一人の人間としての孤独は、灰村諸葉として生を享けて以降、とっくに癒やされていたけれど。
一人の戦士としての孤高は、今この時に、本当の意味で癒やされたのだった。
自身でも述懐しているところですけれど、これまでずっと諸葉はその圧倒的な力を持って矢面に立ち続け、戦うときは常に最大戦力として身体を張り続けていたのですが、この最終決戦においてシャルルとエドワードという仲間とトリオを組むことで、むしろ自分がフォローに回って彼らの力を引き出す側に回って、自分の新たな可能性、そして自分もまた突出した一人として戦うよりも仲間とともに戦うことでもっともっと強くなれる、ということを、有無を言わさずまさに体感するのである。経験するのである。
ここでめちゃくちゃテンション上がってしまう諸葉が可愛くてねえ。
この主人公の諸葉は、ほんと最初からブレずに最強一途だったわけですけれど、その力に溺れない上から目線で歪まない、すごく可愛げと愛嬌のある好感持てる主人公で在り続けたのですけれど、それ故にシャルルとエドワードという一緒に戦えば相乗効果で力が増していく、本当の意味で対等の仲間を得てはしゃいでしまうところがもう可愛くて可愛くて、良かったねえと場を弁えずに微笑んでしまいました。そうお祝いしたくなってしまう主人公だったわけですよ。
最終決戦ということでほぼみんなに見せ場があったわけですけれど、こうしてみるとやはりフランス支部の魔術師団って世界各国の支部の中でも突出してたんだなあ、と実感させられてしまいます。よくストライカーズ、ある程度でも伍せたものです。イギリス支部があれだけ脆いとは思いませんでしたけれど。わりとAJさんのワンマンじゃね?これ。
アメリカ支部も、国土が広いのに比べてタレントの数が揃ってないですし、思えば壊滅する前のロシア支部、あれ本当に戦力揃ってたんだなあ。戦争スル気満々だったのもむべなるかな。
日本支部けっこう雑魚いね、と思ってたんだけれど各国の実情を見てみるとそこまで劣悪ではなかったのか、と少し思い直しました。
ルー・ヂーシンの顛末はまじで驚きましたけれど。石動先輩、マジぱねえっすわ。この腐れ外道をよくぞまあ……。
一方でレナードの旦那は敵だった頃から今にいたるまで一貫してイカシすぎてるよ、まじで。こうしてみると、シリーズ最強の敵だったのって間違いなく六翼会議だったのを実感させられます。その一角を討ち取った丈弦先輩もまじすげえっすわ。

エピローグ、いわばこの二十二巻の集大成な代物と言えるわけで果たしてどうするのかと思ったら、かなり大胆に分量を割いて、しかも1年後から5年後まで時系列を分けつつ描くという形でそれこそ「みんな」のその後を描いてくれたのは嬉しいものでした。これだけお付き合いしたわけですから、余すことなくみんなのその後、みたいですもんね。
石動先輩があの静乃のところの理事長の魔手に絡め取られてたのには驚きましたけれど。なんか政略結婚の鬼と化してるじゃないですか、理事長w でも、ただの野心家では収まらない、さすが静乃の係累と言わんばかりの計り知れない所も垣間見せてくれて、いやいや侮れんよこの人。なんだかんだと、あの灰村諸葉も静乃と結ばれたことで身内に引き込んだわけですしね。

……いやあ、まさかの春鹿さん最速とは、これはワラタ。現代においてそりゃ重婚ってのはどうやっても無理なのですけれど、敢えて結婚しないよー、という形で事実婚状態でみんなと結ばれる形にしたのは、時代の流れだなあと実感するところです。そうだよねー、結婚しなきゃ関係ないもんねー。まさか静乃とサツキではなく、最初に春鹿、次にレーシャに子供が生まれるというのは驚きましたけれど。マーヤが合法ロリの道をひた走ってるのも笑いましたし。
一方で、シャルルも年貢の納め時を迎えて、あれだけ結婚しないと宣言していたエドワードも、購入特典のSSで見事にAJさんにエドワード人生初の敗北を喫することになってるんですよね。ちゃんとバランスは取れてるわけだ。AJさん、ほんと良かったねえ良かったねえ。プロポーズされて、乙女らしい喜び方とは程遠いけど心底喜びまくってるのが否応なく実感できる喜び方しているアンジェラさん、可愛すぎでしょうこの人。
諸葉も、異性に対する愛情とか友人に対する友情とか除いて、純粋に人間として一番好き、めっちゃ好き、大好き!! てなってるのってアンジェラさんなんですよね。あの物凄いアンジェラ好きはなんなんだろう、と思うところだけれど、なんとなくわからないでもないw
熾場さんはというと、石動さんとは全く別のアプローチでダークヒーロー路線一直線。もうその背負ってる過去から凄惨な姿までアメコミのヒーローでもやれるんじゃないか、と。
ただ、孤高ではなくちゃんと支えてくれる仲間がいるのがこの人らしですよね。ってか、ネリーはもちろんとして、万理先生……これは行き遅れずに済んだ、と思って良いんですかね?w

なんにせよ、終わりましたねー。終わっちゃったなあ。感慨深いし、満足感もあるし、ちょっとした虚脱感もある。もろもろ、読んでる間ずっと楽しい思いに浸らせてくれる実にエンターテイメントしている作品でした。燃える滾る痛快な物語でした。まったくもってお疲れ様でした。
あー、面白かった♪

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>21 ★★★★   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 21 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>21】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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「諸葉、あなたはもう独りじゃないのね」

駿河安東の軍勢に、熾場亮一党の思惑も絡み、終わりの来ない波状攻撃は、諸葉たちを確実に疲弊させていった。
亜鐘学園は崩壊し、仲間たちは次々と戦闘離脱を強いられた。
なお立ちはだかるは"ランクS"ヂーシンを素体とする、最強空前の魔神級。ついに秘密のヴェールを脱いだ、"不可視"田中太郎。
そして、駿河安東までもが自ら出陣を開始!
廃墟となった亜鐘学園を渦中に、総力戦の様相を呈す。諸葉が、エドワードが、シャルルが、剥き出しの全力を振り絞り、少女たちが負けじと続く。さらには、遥か遠き約束を守るため、"彼女"が現れて――。
そは、第三の伝説のプロローグ。
学園ソード&ソーサリィ、第21弾!!

表紙の女性、誰だろう誰だろうと読むまで首を傾げてたんですよね。アメリカ支部長はあんなに大人な容姿じゃないですし、AJともちょっと違う。雰囲気ちょっと違うけれど四門万里元校長?と考えていたら、まさかまさかの人物である。
それはわからんわーー!!
いや、いわゆる「賢者」についてはチラッと触れられてたことあったんだったけか。サー・エドワードに助言して白騎士機関立ち上げるのにも強力した人物だとかなんとか。いや殆ど覚えて無かったんだけれどもしあったとしてもそれほどちょびっとだけしか描写されてなかったはず。
しかしまあ、諸葉の叔母さんがなんか外国の人だというのを知った時は???が浮かびましたし、物語関係ないところで色々と逸話あるのかなあ、というぐらいに思ってたんですけれど、まさかここまでガッツリ絡んでくるとは。
ってかそもそも、駿河安東があれだけ昔から画策して動いていたのにも関わらず、白騎士機関が駿河に乗っ取られることもなく、彼の支配下に収まったのが日本支部だけ、というのは駿河の初動の速さからすると若干不思議ではあったんですよね。それだけ、サー・エドワードや他の支部長たちが出来物だったから、とも思ったのですけれど、初期目標としてセイヴァーの収拾とそれにまつわる組織の掌握を目論む相手に対して、しかもメタフィジカルを自由に生み出すことの出来る相手に対して、どれほど優秀であっても何も知らないエドワードたちが、最初期の戦略の差から言っても対抗し得るのか、という疑問は後からでも生じるわけで。
そうか、最初から白騎士機関そのものが、相手が駿河とはわからなくても、駿河の目的に対抗・阻止するために結成された組織だった、というのなら大いに納得である。
そもそもからして、最初から駿河と諸葉の戦いだったわけだ。それも、前前世からの因縁を前世の諸葉の介入によって今世の諸葉が生まれる前から対抗措置が準備されていたという。
それはそれとして、シャルルさんがはしゃぎすぎていて、誰が主役で誰がヒロインなんだかわからないんですけど!
この人がはしゃぎだすと、本人主役のつもりなのかもしれないけれど、むしろ全力でヒロイン枠になってしまう不思議。ツンデレも極めると男女の境を飛び越えるんですねえ。いやそれにしても、大暴れして活躍したり、盛大にやられたり、盛大に復活したり、とやかましいことこの上ない。
それでも、次々と集う仲間たちにはやっぱり胸熱くなるわけで。モモ先輩、エドワードやシャルルにすら瞠目させるほどの活躍をするようになちゃって。成長したなあ。出遅れた石動先輩は、真打登場の出番待ち、というのを信じておこう。
前前世も、前世も孤独に一人戦うばかりだった諸葉。前世の冥王の頃には右腕左腕がちゃんと居て、片割れの静乃だけではなく、自分の来世を託すだけの信頼と親愛を寄せる部下が出来ていただけ、孤高の騎士フラガよりも進捗していたのかもしれないけれど、それでも孤独の王だったシュウ・サウラを一番身近に見てきた「彼女」をして、心熱くするほど今世の諸葉の周りには多く人が居て、独りで戦うこと無く、みんなの力を借りて戦っているというのは、ほんと隙らしい隙ないですよね。殆ど単独でも突き抜けて強いはずなのに、それに甘んじず慢心せず、自分の周囲の人たちの成長を促し、敵であった者たちまで味方にして、一緒の舞台で戦っているのだから。独りで戦っていてすらも安定感半端ないのに、そこまでされたら揺るがしようがないじゃないですか。
傍に宇佐子が居たとしても、どうしても独りで戦わざるをえなかった熾場とはあまりに違うその有り様は、田中先生も思う所あっただろうなあ。
さて、ついに次でこのシリーズも最終巻ですか。今から大盛り上がりが予想できるが故に、実に楽しみです。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>20 ★★★☆   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 20 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>20】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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完全崩壊にむかう亜鐘学園で、諸葉は六翼会議の首魁“炎王”熾場亮と再びの対峙を果たす。かつて学園で並ぶ者なき英雄として活躍し、諸葉以前にランクSへと到達した『もう一人の少年』。誰よりも冷静でありながら、誰よりも燃えさかる魂を宿した若き戦士は、いかにして悪魔になり果てたのか?そして今、灰村諸葉を前に練り上げた必勝策が狡猾な牙をむく…。むかいあう超最強VS超最強!!燃やせ。凍てよ。天地にせめぎあう炎と氷。在りし日の悔恨をくべ、竜をも呑みこむ火が燃えあがる!!語られざる物語が明らかとなる、学園ソード&ソーサリィ第20弾!!
ほぼ熾場視点から語られる第20巻。敵キャラ視点で話が進む、というのはかなり珍しいと思うんだけれど主人公の諸葉が熾場さん視点だと完全にラスボスなのはなんともはや。そもそも熾場さん、敵の首魁というには強キャラ感を自分から消しているような人だったから、やたら反則級の諸葉相手だとこう見えてしまうのもわからなくはない。そもそも、戦闘それ自体にはあまり意味を見出すタイプじゃないし。
それに、亜鐘学園黎明期の殉職者が出まくっている環境最悪の頃の悪戦苦闘を見せられると、熾場さんの自身への無力感が伝わってくるんですよね。どれほど力を蓄えても、守りたいものを守れなかった熾場さんにとって、自分の力を誇るなんてとても無理なんだろうし、それに比べて、犠牲者を出さずに仲間たちを守ってみせた諸葉への羨望や憧憬もよくわかる。
それにしても、マリさん校長先生、本当に苦労したんだなあ。黎明期の学園の状況というものは本当に酷いもので、教育方針も敵に対する戦術も何も確立されていないまま現れるメタフィジカルに対して無為に投入されて、次々に死んでいくまだ未熟な学生に過ぎない子どもたち。学園上層部は権力欲に取り憑かれてそもそも生徒を護るという発想もない。
ここからマリさん、ただの学生、ストライカーズの隊長という立場から学園の実権握って、諸葉が入学した頃にはあれだけの態勢を整えてみせてたんだから、本当に大したものである。しかも、それ以前に熾場さんと宇佐子の出奔という事態まであったんだし。
あのマリ校長のトレードマークである魔女の帽子の由来の話もあって、熾場さんと宇佐子が彼女にとってどれだけ大事な存在だったか、今更ながら納得させられる。そりゃあ、あの二人が目の前に現れたら、黙って攫われるとは言わないけれど、逆らう気力みたいなものはなくなってしまうかもしれない。まあそれだけではなく、彼らが完全に悪堕ちしていないという信頼もあったのだろうけれど。
自分を悪辣極まる悪魔と標榜する熾場さんだけれど、どれだけ自認していても人の良さが滲み出てしまってて無理があるんだよなあ。それに、宇佐子がそんな悪魔みたいな輩についていくはずがない、という信頼もありましたし。そんな彼らが、明らかに悪極まっている駿河の下に黙ってついている、というのが違和感ありましたけれど、そういう絡繰りを用意してたのか。田中先生もそっち側に加わっててのね。
田中先生の方は、どうしてインビジブルみたいなのになってたのか不思議ではあったんですよね。一族ぐるみなのかと思ってたら、田中息子の方は何も知らなかったみたいだし。
いや名前が田中太郎ってどれだけあからさまに偽名なんだ、ってそれでしたから古来からの暗殺者一族、みたいなノリなのかと思ってました。まさか、本名だったとは。
しかも、回想聞いてたら特別な事情や理由があったわけじゃなくて、結構なんとなくで今のポディションに収まっちゃってたんですねえこの人。で、後戻りできないところまで泥沼にハマってしまったと。元々善人以外のなにものでもないだけに、余計にしんどかっただろうなあ、この現状。
ともあれ、ここまで来て熾場さんが独自に動き出した、というのは展開としては興味深い。なんとなく、それやらかしてしまったんじゃ、という思いもあるのだけれど。宇佐子さん、ぽわぽわ癒し系キャラのくせに、めっさ幸薄そうなだけになおさらに。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 19 ★★★★  

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 19 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 19】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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「我が総戦力を以って亜鐘学園へ侵攻。捕獲対象は――嵐城サツキ」
日本支部長・駿河安東が発した一言が亜鐘学園に波乱を呼ぶ。
日本各地から名だたる熟練救世主が集結、若き才能たちを蹂躙せんと無慈悲な総攻撃が仕掛けられる。その中にはあの邪仙・ペイリーの姿も……

「竜を戮すとは、こういうこと」
諸葉を殺すためだけに研ぎすませた千の罠の前に、果たして勝機は!?

さらにサツキと諸葉の前世を知る者たちも現れ、亜鐘学園は完全消滅へのカウントダウンを刻み始める。

これは、守るための戦い――。
正義の意味を問う超王道学園ソード&ソーサリィ、壮絶なる第19弾!!
総戦力って、嘘偽りなしに日本支部長としての戦力だけじゃなく、黒幕としての戦力も根こそぎ投じた総戦力だったのか。
ただ、絶望度ということになると前回の六翼会議による襲撃の方がヤバかった気がする。何しろ、前回は諸葉が不在だった上に、攻めてきた相手がSランクも含めたAランクでも逸脱した部類の連中ばかりで、戦力的にも圧倒的だったもんなあ。
今回に関しては、卒業した先輩たちが拘束され不在だったとはいえ、諸葉はちゃんと居るし、何より残った連中についてもレベルの上がり方が凄いことになってる途中でしたし。それぞれ、石動先輩にしても、サツキや静乃、春鹿、レーシャとみんな停滞や壁を突破してブレイクスルーしたあと、でしたからねえ。日本支部の各地の支部長がこれ、完全に当て馬扱い。みんながどれだけ成長したかの試金石、というのがなんともはや。
まあ日本支部自体、他の国と比べるとレベル低い感じではあったんですよねえ。各支部長の描写を見ていても、フランス支部やロシア支部の練達と比べると、セイバーとしての意識の甘さが伺えましたし。
その辺、才能が云々というよりも駿河安東という人物が、他の六頭領と比べると組織を率いるという姿勢において、あんまり力を尽くしてこなかった様子が伺えますしね。他の支部は、六頭領への尊崇や敬意、恐怖でもなんでも、彼らの導き、カリスマ性、リーダーシップによって強くなることに非常に貪欲であるのが見て取れたのに対して、日本支部は全体的に現状維持以上の意識に乏しい感じでしたし。その分、亜鐘学園のストライカーズがその強さへの貪欲さをひとえに抱え込んでいた節があります。もちろん、支部長の中には一廉の人物もいたのかもしれませんけれど、全体のリーダーでない以上どうしたって影響力は限定的になっていまうからなあ。
その意味では、亜鐘学園に校長として残った石動先輩は、最良の選択をしたのでしょう。今の彼は、組織に埋没するよりもリーダーとして影響力を広げ続けるほうが明らかに良い風になってますし。
と、今なら他の国の支部の精鋭たちとも互角に渡り合えるような亜鐘学園実戦部隊が、今更日本支部相手にどうこう出来るわけがなかったわけで、あれ? あたりが鈍いなあ……と思ってたら案の定彼らは前座にすぎず……。
って? あれ? 暗黒騎士ってそんな扱いでいいの!?
いや、彼らって能力的にもキャラクター的にも十分敵の幹部クラスとして存在感があったんですが、わりと簡単に……。そもそも、彼らの存在ってどういうカラクリになっているかまだ不明な部分も多いので、あれでおしまいというわけではないのかもしれないけれど。
それにしても、石動先輩がどうにも頼もしすぎる。ひたすら相手が強すぎて敗戦を繰り返してきた彼ですけれど、そのたびに努力して強くなり、しかし戦う相手はさらに格上、という辛すぎる立場だったのですが、今回の防衛戦でMVPだったのは間違いなく石動先輩だったのでしょう。だって、殆ど一人で戦線を支えて、サツキたち他の生徒たちが太刀打ち出来なかった連中を、圧倒していたのですから。
それでも、良い所を持って行かれてしまうのは彼の宿命なのかもしれませんが。いやもう、殆どSランクに両足突っ込んでる気がするんだけれどなあ。ジーシン相手くらいなら、もう勝てるくらいになっていてるんじゃないだろうか。
そんでもって、久々のシャルル復活。もっと劇的なパワーアップをして帰ってくるのかと思ったら、実のところこのひとも石動先輩と同じく努力型だったんですよね、そう言えば。何気に強くなり方が玄人趣味すぎて、派手なのか何なのかよくわからないあたり、非常にシャルルらしいというか、ギャンギャンうるさい先鋭すぎる性格と裏腹に能力の方はすげえ地道で繊細なのよねえ、というのを改めて実感させられたのでした。

と、ここからさらに本命襲来かー。やべえ、少数精鋭による襲撃もえげつなかったけれど、波がどんどん強くなる波状攻撃は、ジワジワと焦燥が募ってくる。確実に味方側が消耗してきたところに、真打ち登場だもんなあ。
ある意味、この巻は全部が前座だった、と言っていいかもしれない。これは、次の盛り上がりがどれほどになるか、非常に期待してしまう。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 18 ★★★★   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 18 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 18】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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そして漆原静乃は目を醒ました。繰り返し見る同じ夢、前世で会った冥王シュウ・サウラの物語。愛しい声がつむぐのは“冥府の魔女”として知られる静乃の本当の名―。一方、六翼会議のアジトを突き止めた諸葉たちは迷宮内部へと強行突入を決める。囚われた仲間を救うべく亜鐘学園の精鋭は謎めく罠に挑む。その先で、遂に邂逅した六翼最速の剣士レナードと諸葉。ありえざる必殺の終焉剣と、常識破りな諸葉の太極―奇しくも似た業をぶつけあう、究極の一騎打ちの結末は?見よ、戦技全てを超えし刹那を!!閉ざされた静乃の記憶が、悪夢の如き奇跡を顕現させる学園ソード&ソーサリィ第18弾!!

丈弦先輩、大金星どころじゃないよこの戦果!! すげえすげえ、テンプレートに全く負けずにやり抜いちゃったよ。いいなあ、こういうありがちなパターンを一切合切無視してみせるの。お約束に縛られない、だからといって奇を衒うわけじゃない真っ向勝負でひっくり返してくれるの、見ていて痛快なんてものじゃなかったですよ。
今回は思いっきり静乃メインの話ではあるんだけれど、それとはまた別にレナードを中心にすげえ男臭いやり取りが随所に見受けられて、わたくし大満腹の大満足ですよ。
石動先輩も、あれだけ生真面目で職務に忠実な性格と裏腹に道を踏み外しても強くなることに拘るバトルジャンキーの側面が丁度レナードとの戦いに出てて非常に良かった。敵同士にも関わらず、生涯最高の戦いに対する想いを汲んでしまうあたりなんぞ、漢のロマンにズブズブに沈み込んじゃってまあ。でも、それがいい。
そんでもって、諸葉という主人公はそんな男心を見事に震え響かせ沸き立たせてくれる男なんですよねえ。女にもモテるんだけれど、この主人公それ以上に男の方にベタ惚れされてしまうんだけれど、レナードとの戦いなんか見てると、そのあたり嫌というほどわかってしまう。強い弱い云々じゃないんですよね、敵味方とかそんなん関係なくて、自分が貫き通したものに関して誰も理解してもらえなかった領域、階梯のことだろうと、それこそ自身がわかっていなかった部分まで理解してくれる。自分がこの上なく認めて焦がれる相手が、これ以上無く自分を認めて理解してくれた時の、この歓喜はそれこそ当事者にしかわからんのだろうけれど、あの嬉しそうなレナード見るとなんも言えんわー。
良い、戦いでした諸葉・レナード戦。

そんでもって、今回のメインである静乃。これまで彼女自身思い出せていなかった前世のことが浮かび上がってくるのだけれど、なるほど。これまで、諸葉には2つの前世がある、という話に関してその過去を断片的に思い出すシーンは度々あったけれど、じゃあ恐らく二度目の人生だったシュウ・サウラの時は前世の記憶なんかは蘇らなかったんだろうか。2つの前世は断絶して無関係のままだったんだろうかという点についてはずっと気にはなっていたところだったんですよね。その答えが今回明らかになったわけで……。
めっちゃ絡んでるじゃないか!!
しかも、むしろシュウの方じゃなくて静乃の前世であるエルメナの方がガッツリと。何気に、静乃の前世の真名が驚愕の事実だったんですよね。しかも、シュウとの出会いのきっかけが彼の人の導きだったというのなら、彼女がずっと懊悩し続けていたのも無理からぬこと。
色々と複雑でモヤモヤとしたものを抱えた静乃だったんだけれど、この二度目の生で彼女は因果を吹き飛ばし、また靄を払う太陽の光を得たわけだ。
なんかもう、静乃がサツキのこと実はメチャメチャ好き、今となっては諸葉と同レベルでサツキのこと大好き、というのも物凄い勢いで得心出来てしまった。そりゃあ好きだわ。愛してる、と言って過言ではないくらい好きだわ。実は隙あらばペロペロくらいしたいんじゃないのか、これ?

諸葉の方よりもむしろ静乃の方でサツキ好き好きなテンション上げまくったというところで、あのラストの展開を持ってくるというのは、なんかもうすげえですわ。これはもう、次どうなるんだよ!!? とテーブルばんばん叩いて前のめりにならざるを得ないですよ。ここしばらく、このシリーズ次の巻への引きが毎回凶悪すぎますがな。しかも、その引きが肩透かしにならない怒涛の展開が毎回冒頭から発生するわけで、くぅ魅せ方引き寄せ方心得てるなあ。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 17 ★★★☆  

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 17 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 17】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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ランクSの知られざる一面、解禁!?

「見境なくフラグ立てる兄様ね! 」
お好み焼き屋の娘を襲う非道な借金取りを通力無しで撃退せよ!?

「おいたわしや……エドワード様」
作曲に悩むエドを救う、AJの献身的過ぎる職権濫用は吉と出る?

「私はアメリカ支部長に頼みがある」
日本に馴染みはじめたレーシャがアーリンに頼んだ武装がヤバい!

そして、諸葉が過ごす普通だけど普通じゃない『特別な一日』の最後に待つものとは――!?

《白騎士機関》各国代表が力の限りに日常を謳歌する、秘密と油断のオフショットが目白押し!!
さあ、語られざる物語を紐解け!
新たな魅力が満載の超王道・学園ソード&ソーサリー第17弾!!


「お好み焼きソースは危険の香り」

そう言えば本作では一般人の人ってあんまり出てこないので、セイバーたちの認知度っていまいちわからなかったのだけれど、思った以上に伏せられているのね。まあ、ヤクザ如きが相手になるわけでもなく。ってか、野良セイバーなんてものが居るのか。ヤクザの用心棒やってる時点で程度が知れるけれど。


「サー・エドワードのスランプ」

あれ? 白騎士エドワードって本業で作曲家なんてプロフィールあったんだっけ? 話題には出てたかもしれないけれど、全然覚えてなかった。まあイギリス編は基本的にAJさんの暴走を楽しむのが主だわねえ。それなりにイギリス支部もキャラは揃っているはずなんだけれど、アンジェラさんが毎度毎度強烈過ぎて他の人が完全に存在感消え失せてしまってる。それくらい、アンジェラさんが面白強烈すぎるんですけれど。ってか、エドワード絡みの時のAJって、ヤバイどころじゃなくブチギレすぎでしょうw この狂犬に仕切られてるイギリス支部って同情に値する。そんでもって、この狂犬とじゃれ合って遊ぶのが大好きな諸葉は十分おかしいw


パリ半妖夜譚

副支部長を失って一番荒れまくってた頃のシャルルさん……普段とあんまり変わってないような! 基本的に傍若無人で人の話を全く聞かない唯我独尊だもんなあ。ただ、このシャルルさんの場合、無茶苦茶な言いようにハイハイと応じているよりも、激しくツッコミ入れていた方がレスポンスがいい気がするんですよね。対応はそっちの方がいいんじゃないだろうか、と諸葉や今回のリゼットという女学生の言わずにはいられないツッコミの応酬を見ているとそう思うわけで。口は悪いけれど、本当に度し難いほど悪いんだけれど、しかも無自覚で融通無碍なんだけれど、それでもいい人なんだよなあ、シャルル。絶対関わり合いたくないタイプではあるけれど。突っ込み入れるのも大変だししんどいんだぜぇ、と諸葉の疲労度を見ているとよく分かる。その意味では、ガンガン文句言えるこのリゼットは有望株なんだがなあw


「暗殺魔法少女」

作者、ほんとレーシャが好きというか、使いやすいんだろうなあ、というのがよく分かる話である。確かにこのわりとネガティブな割にマイペースで天然なママ押しが強いレーシャって、誰を絡ませても自分ペースで引っ掻き回せるので、何気に日常コメディパートでは万能選手なのよねえ。いや、もう本当に相手選ばないので。あの奇人極まるアメリカ支部長と絡ませても、お互いに化学反応起こしてえらいことになってるしw ツッコミがないまま際限なくどこまでも行ける組み合わせだw


「ユーリ・オグレビッチの謎(性別的な意味で)」

ちょっ、えーーー!? 現状ロシア支部の最大戦力でカティアの唯一無二の相棒、というポディションのユーリ。大人しめの女の子キャラだと普通に思ってたんだけれど、え? なに? 性別不明キャラだったの!? まさかの男の子疑惑!! どころか、自分の性別をどちらにも見せて真実を見せずにほくそ笑んでるあたり、思いっきり魔性キャラなんですけれど。こんなにかわいい子が女の子のはずはない!?


「アンジェラ・ジョンソンは吠え面をかかせたい」

今思い返しても、諸葉とAJの二人のロシア行はシリーズ屈指の面白さだったと思うんだけれど、あれだけ凶暴極まるアンジェラさんが、あれだけやりたい方だ諸葉に振り回されるのは、見てて愉快極まる! アババババ、とか言ってるアンジェラさん大好きよ?
振り返ってみても、諸葉がこれだけ遠慮なしに甘えるのってアンジェラさんくらいなんですよねえ。もう好き勝手弄ってるし。どれだけアンジェラさんのこと大好きなんだよ、というくらい。これで、二人ともお互いに恋愛感情はこれっぽっちもないのだけれど、だからこそ気の置けないやり取りが出来るんでしょうねえ。


「灰村諸葉の特別ではない一日?」

ハッピーバースデー。こうしてみると、諸葉くんの生活と言い人間関係といい、充実してますなあ、楽しそうですなあ。女の子だけじゃなく、同年代の友人たちや先輩にも恵まれて、突出した存在にも関わらずまったく孤立せずに同じ輪の中にいるというのは、諸葉の性格も然ることながら周りの連中もイイやつらなんだよなあ。


最近出番なかったアンジェラさんや、ユーリの新境地が見られたり、とこういう短編集もシリーズ長くなってくるとありがたいものです。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 16 ★★★☆   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 16 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 16】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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二年生の夏。雷帝の跡を継ぎ、ロシアの代表となったカティアの計らいで黒海での遠征合宿に向かった諸葉たち。しかし一時の憩いを破るようにエドワードから不穏な報せが。
「ロシア支部幹部九名が謎の失踪を遂げている。カティア女史にはくれぐれも油断しないようにね?」
六翼会議とカティアを結ぶ裏切りの線をほのめかし、エドワードは諸葉に密偵任務を与えるのだが―猶予はわずか三日間、果たして諸葉は最凶最悪の陰謀を暴けるのか!?振るえ、聖剣魔剣の絶なる連技!切ない想いが奏でる魔の唄を打ち砕け!信じた友のために清濁あわせて再びのロシアを往く、超王道学園ソード&ソーサリィ第16弾!!
そうだよなあ、世界各国の支部の中でも雷帝の恐怖政治によって統治していたロシア。諸葉に敗れたとはいえ、雷帝ヴァシリーサが健在だった頃はカティアも彼女の権威に乗っかって自由にあれこれ出来たかもしれないけれど、彼女がいなくなってしまったらそりゃ雷帝に抑えつけられていたものが好き勝手しだしますわなあ。元々力と恐怖によってねじ伏せ蓋をしていたものに、カティアがどれだけ対抗できるか。
彼女が最悪を逃れるために最低の選択を選んでしまったのも、悪魔の囁きにうなずいてしまったのも無理からぬところがある。というか、否と言えない状況まで追い込んでどうやっても提案に乗らないといけないところで、甘言を弄するあたり、六翼会議のやり方は実に巧妙で悪魔的なんだよなあ。そもそもの原因であるヴァシリーサを殺ったの、あんたらだってのに。

しかし、ここでしっかりとカティアの裏切りの情報を掴んでしまうのが、さすがは諜報のお家元である大英帝国のエドワード卿である。確かに六翼会議に一手も二手も先手を取られてしまっているものの、未だに本当に致命的なまでに状況が瓦解していないのは、これエドワードの功績だよなあ。彼がガッチリと根本を抑え、火消しに諸葉が駆けまわることで最悪は打開しつつなんとか次へ次へとつなげることができている。救済措置についても諸葉の打診から鐘を突くように対応してみせてくれてるし、エドワードの頼もしさは本当に助かる。
確かに切り崩しはウケてしまっている一方で、日本支部、というか諸葉たちの学園単体で見ると確実に戦力は向上してるんですよねえ。今回、これまでで一番えげつない敵だった人型魔神の大群に対して、諸葉単体での無双ではなく、ちゃんと次世代に世代が変わった実戦部隊で対抗できていたわけですから。特に、校長となった石動先輩抜きでこれだけ戦えたら大したものでしょう。新戦力の田中くんも然ることながら、特にめぼしい飛躍を見せていたのが春鹿で、Aランク昇進もこれなら文句なしですわ。間違いなく今回の戦いのMVPは彼女。ある意味、彼女が駆けまわることで戦線を維持していたようなものですしね。
ついに対異端者戦にデビューとなったエレーナも、これは一撃必殺要員として重要な役割を担えそうですし、先輩がごっそりと抜けてどうなるかと思った実戦部隊も、様々なポディションで優秀なメンバーが出てきて陣容固まってきたなあ。

ラスト、丈弦先輩がまたぞろえらい危ないところまで足踏み入れちゃってるんですけれど、死亡フラグじゃないですよね!?

シリーズ感想

疾走れ、撃て! 12 ★★★★☆  

疾走れ、撃て! (12) (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 12】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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人類史上最大の作戦から五年―。学兵制度は完全撤廃され、『戦後』の復興は徐々に進んでいた。敵と恐怖を失った人類に残されたのは、破壊され尽くした街とインフラ、そして大量の兵器と、行き場のなくなった元兵士たちだ。ラジオからアナウンサーが、兵役のない平和を享受して育った新たな青少年達を向える町の声を伝えるなか、佐武俊太郎と美冬は、かつての戦火を共にくぐった英雄たちに思いを馳せる。…「死んでないわ、少佐は」「ああ。あいつらは死んでない、絶対にな」神野オキナが贈る新感覚軍隊アクション青春ラブコメ、遂に感動のフィナーレ!
たくさん生きて生きて、たくさん死んで死んで。次の時代が来る。

ついに迎えた人類史上最大の作戦。乾坤一擲の人類の存亡をかけた最後の勝負。そう、総力戦だ。本当の総力戦だ……と、そうならばよかったのだけれど。いや、良かったのか? 作戦を前にした世の空気は、複雑怪奇なものだった。この作戦が終わったあとに、人間の文明などもう残らないかのような悲壮感を通り越したような諦観のまますべてを注ぎ込もうとしている空気感の一方で、各国の上層部は人類が存続したあとの戦後世界を睨んで一致団結とは程遠いパイの取り合いをはじめている。破滅の甘受と人類社会の生き汚さを両立させたような不可思議な最終決戦前夜。或いは、これこそが生々しい終戦前夜なのかもしれない。
だが、ここで人類が滅びようと存続しようと、あまりに強大な存在になってしまった理宇たち魔王とその花嫁たちの生きる場所はこの地球上には存在しない。戦って、敵もろともに死ね。そう期待され、場合によっては強制的に排除される可能性を考慮しながら、それでも理宇たちは最終決戦に挑む。彼らに英雄願望はなく、悲壮感もなく、それでいて生き残るために手段も選ばぬ悪鬼羅刹となっているわけでもない。この時の理宇の心境は如何ばかりだったのだろうか。いくらか語られてはいるものの、彼の攻撃性に欠けていながら随分と「図太さ」と手に入れたこの性格はやはり興味深い。
女性関係については紛れも無く魔王となった彼だけれど、あくまで立ち位置としては人類の英雄でも決戦兵器でもなく、仲間たちと生き残れるように精一杯努力し最善を尽くそうとする学兵の隊長で在り続けたのだろう。やるだけやったら、まあなんとかなるだろうという内向的なくせに鷹揚なくらいの図太さがあるキャラクターは、この絶望的な局面においては頼もしい限りだった。彼の学友であり戦友であった仲間たちにとっても、そうだったんじゃないだろうか。だからこそ、彼の仲間たちも悲壮感なく、精一杯戦えた。頑張って生きた。
本当に簡単に、あっさりと多くの登場人物が死んでいったけれど、それらもまた精一杯生きた結果、だったんだろうか。悲しくても、虚しくはなかった。理不尽ではあっても、無念ではなかった。
可能性を限定されてしまった中でも、彼らは自ら選んだのだ。選択したのだ。結果はどうあれ、掴みとろうとしたのだ。離すまいと、必死だったのだ。
たくさん、たくさん死んでしまった。生き残れない人も、いっぱい居た。
でも生きて生きて、死んで死んで、その果てに戦いはちゃんと終わったのだ。そのあとに、戦後という破綻した世界でなおも生きるための戦いが続くのだとしても、その先をつかみとるための戦いを、彼らはやり遂げたのだ。
その一部始終を、本作は見事に書き尽くしたと思う。
昨今ならずとも、作品が中途半端に終ってしまうことは珍しくもない。書くべきこと書きたいことを全部書ききるなんて不可能に近いだろう。シリーズは長く続かず、続いても迷走して辿り着くべき先を見失うなんてざらだ。
だからこそ、この作品のやりきった、書き切った、ぜんぶやってやった、という充足感の素晴らしさには賞賛を惜しめない。
エピローグのもたらしてくれた余韻まで、本当にぜんぶ憂いを残すことなくやり切ってくれた。
五巳さんも、俊太郎と深冬も、虎鈴も困難に見まわれながらもみんな幸せになれた。どれほど苦しい有様の戦後でも、祝福されるべき未来にたどり着いていた。最後に、生き残ったみんなの笑顔があった。
それが、とても嬉しい。ただただ、嬉しい。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 15 ★★★★   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 15 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 15】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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石動が校長となって初めて迎える新学年。戦力増強のため刷新された学園システムの目玉『学内総当たりリーグ戦』も大詰め! その優勝者には、ランクA昇格を賭けた石動校長への挑戦権が与えられる。
果たして、舞台に立つのは、
「邪魔はしないでよ、モモ先輩! 」
「サツキこそ足引っ張るなってば」
サツキ&春鹿の現・学園最強白鉄コンビ! それぞれ諸葉の教えを胸に、不撓不屈の精神で遥かなる高みを目指す!
だがその裏でヂーシンが石動に接近。ひたむきに強さを希求する男が闇の中で交わした『契約』とは?

「――僕は灰村君を越えたい」

届け、邪を払う刹那の閃き!!
信念と友情が燃える、疾風迅雷の学園ソード&ソーサリィ第15弾!!
石動先輩、かっけえなあもう!! 当初から闇堕ちしそうな気配をプンプンと漂わせながら、それでも鋼の意志と生真面目さ、一本気通った性格と克己心で踏みとどまり、真っ当な努力を持って成長を続けていた石動さん。しかし、並のAランクでは足元にも及ばない強者となりながら、超越者の壁は厚く高く、彼は何度も無様に這いつくばり、勝者から見下されながら血反吐を吐くような悔しさに咽びながら、無力に涙することになる。
そう、誰にも慕われ、信頼され、諸葉からも絶大な敬意を寄せられている石動先輩は、無残な敗北者であり続けていたのだ。
彼の強さへの希求は飢餓感に等しいもので、度重なる敗北と大きな強さの壁の存在は、求道者的な在り方ゆえに余計に彼を追い込んでいく。
そう、ここであっさりと闇堕ちしてしまうのなら、所詮石動さんもそれまでの人……というには、今までずっとかっこよくそれ以上に気持ちの良い人であり続けていたので、いつか絶対に来る展開だったとはいえ、どうなってしまうのかとハラハラしていたのですが……。
参った、この人は想像以上の人だった。まだまだ、全然分かっていなかったよ。なんて欲張りで、皆の信頼を裏切らない人なんだ。友人である丈弦先輩のほうがやっぱりこの人のことをわかってたよ。
まさか悪魔の誘惑に乗ってしまい強くなるためなら手段を選ばない! としながらも、だがそうやって得た強さをどう使うかはこっちの勝手だ! とばかりにパワーアップするだけして、力さえ得ればお前は用無しだ、とばかりに動いてしまうとは思わなかった。ってか、そのやり口は普通悪者サイドのやり方ですから。裏切り者とか反逆の弟子の行動パターンですから!!
これを主人公サイドでまんまとやってしまう人がいるとは、この展開は想像の埒外だったよ!
普通の闇堕ちする人は、強さを得るために他のすべてを捨ててしまい、自らが強くなりたいと思った理由を見失って、暴走或いは悪の手駒になってしまうというパターンなのだけれど、この石動先輩という人はもうこれだけ強さを渇望しながら、どうして強さを欲するか、の部分に関しては巌のごとく頑なに揺るぎなく見失わないんですよね。だからこそ、強くなるために手段を選ばなくても、道は見失わない。
いや、カッコいいですわ。これほどがむしゃらに、常人の壁を努力で突き破った人は滅多ないですよ。マジカッコいいですわ。
それでも、S級であるジーシンの壁はまだ厚かったのですけれど、今までと同じように打ちのめされ、地面に這いつくばらされながら、今までと違い今度はついに自らの力で立ち上がり、自らの力で届かないはずの敵に拳を届かすことが叶った。あれほど明確に、壁を突き破った瞬間が描かれたことがあっただろうか。
シリーズ15巻という長きに渡る積み重ねがあったからこそ感慨深い、そこで描かれ続けた石動先輩の葛藤と慟哭がついに報われた瞬間である。そして何より、常人の側であった人がついに超人の域へ努力と意思の力で到達した瞬間である。名実ともに、石動先輩は諸葉たちと同じステージへ這い上がってみせたのだ。
もうね、カッコいいですわ。男惚れですわー。
この人の凄いところは、あれだけ強さを求めながら、その求める強さを持っている人に対して一切嫉妬しようとしなかったところなんでしょうね。悔しく思い続けながら、しかし妬ましくは思わなかった。その高みに至りたいと願いながら、その高みに居る人を自分と同じ位置に引きずり下ろしたいと思うことはなかったのである。
ただただ、自分がその高みたるステージに上がりたかった。そこに居る人に憧れた。これぞ、求道者というものだったんでしょうなあ。

そして、彼のそんな克己心は彼ほど凄まじくはなくとも、彼の後輩たちに着実に伝わり、感化し続けている。春鹿の成長しかり、サツキのあの悔し涙もまた然り。
主人公たる諸葉の圧倒的な存在による牽引だけでは、ここまで学園全体の雰囲気が向上したりはしなかったでしょう。強すぎる彼におんぶに抱っこになってしまい、さて他の生徒たちが果たして戦力となり得たか。
まー、なんにせよ今回ばかりは石動先輩オンステージの主人公回と言わざるをえないでしょう。もうこの人が全部持ってっちゃったもんなあ。どうやら、石動先輩の戦い、彼の得た能力を目の当たりにしたことをきっかけに、ある意味頭打ちだったレーシャも、どうやらヒントを得てパワーアップフラグが立ったみたいですし。
相手方は強力だけれど、静乃がマジモード入ったのも含めて、味方サイドの底上げがだいぶ叶ってきた感じだなあ。
にしても、静乃さん、びっくりするくらいサツキと打ち解けだしたなあ。打ち解けたというより、甘やかしだしたというか、可愛がりだしたというか。弄り方にラブが感じられるようになってきたぞw

シリーズ感想

疾走れ、撃て! 11 ★★★★   

疾走れ、撃て! (11) (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 11】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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理宇が鷹乃と二人きり、見知らぬ砂漠の暗闇に放り出されて一週間。果てしない砂上と轟雷・改の狭いコクピットの中だけでの生存を余儀なくされた極限生活は二人の精神を徐々に削っていく……。一方、二人の帰還を祈る虎紅とミヅキは、連合軍の指揮官陣による事実上の撤退指令を跳ね返し、最前線に立ち続けていた。
「私はつねにベストを選択しているのです。だからあなたたちは生きている」
しかしその間にも理宇たちの「作戦遂行中行方不明認定」期限は刻々と迫る……!
神野オキナが贈る新感覚軍隊青春ラブコメ、極限・緊迫の第11弾!
これは……五巳さん泣いてるじゃんよ。うわぁ〜ん、これは一番辛い泣き方だよぉ。
この展開は、五巳さんには残酷すぎるよなあ。端から手に入らなければもっと諦めもついたかもしれないのに、絶対的なまでにアドバンテージを得て、これ以上ないほど満たされて……にも関わらず、自分から手放さないといけないという選択、もしワガママを通せば比喩ではなく人類が滅びるという地獄の選択。自らの幸せ、恋の成就、愛の甘受と引き換えに、家族や友や仲間の命と未来を選択させる。それを、わずか17歳の少女に選ばせる。繰り返すけれど、ここまで身も心も浸しあった関係になっておきながら、それをなかったことにするなんて、蜜の味を知ってしまったあとに、こんな仕打ちをするなんて、本当にもうなんというか、筆舌に尽くしがたい。
そのあとの展開がまた悪魔か、というようなもので、幾らなんでも五巳さんの心をベキベキに折りすぎですよぉ。
ただ、五巳さんのお兄さんの件に関しては、太刀風提督の戦死の件も含めてどうも不審な点があるんですよね。……あの幕間での会話、一見加藤教官と伊達教官のそれのように装われてますけれど、状況的にちょっと不審すぎるし。そもそも、太刀風提督のふげんの件はあまりにも唐突というか、訳がわからないタイミングなんですよね、物語的に。戦場での冷徹でそっけない論理に基づくならば、別段なんの不思議もないとも言えるのですけれど、さすがに五巳さんのお兄さんのあの怪しげな振る舞いまで見せられると、うがってみてしまいます。
そうでなくても、このままだとあまりにも五巳さんが哀れすぎるもんなあ。

ぶっちゃけ、理宇に甲斐性見せろよ、と言ってしまうのが一番簡単なんでしょうけれど……。ってか、五巳さんに自分から言わせてしまう時点で思うところは多々あるのですけれど、彼は彼で自分が生きて帰ることを望まれていない、と理解している時点で、五巳さんを自分の側に置き続けることが果たして良いことなのか、迷う要素はあるんですよね。理宇にとって、一緒に死んで欲しいとまで言えてしまうのは、やはり虎紅とミヅキだけでしょうから。とはいえ、だからこそやっぱり五巳さんに自分から言わせてしまったのはなあ。
でも、五巳さんの最後の矜持というか縋る拠り所を思うと、理宇から突き放されてしまうと、虎紅とミヅキへの最後の強がりすら出来ない状況に追い込まれてしまうわけで……。
まああれだよね、本気で理宇が自分に望まれていることを無視してでも、世界を敵に回してでも、世界を救ったあとに魔王となってしまうのだとしても、一緒に死ぬのではなく、生きて、自分を愛してくれる娘たちを愛して幸せにする未来を勝ち取る覚悟が出来たなら、そこでようやく五巳さんを泣かせない選択が出来るんじゃなかろうか。
ってかこのままだと、少佐とミヅキ、試合に勝って勝負に負けたようなもので、思いっきり後々まで尾を引きますよ、これ。負け犬のまんまですよ、これ。ちゃんと、同じステージに立って勝負しないと。
理宇には、もっともっと欲張りになってほしいものです。

世間の皆様の大好きな「栄光ある敗北」なんて、それこそ足蹴にしてもいいんですよ?


シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 14 ★★★★  

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 14 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 14】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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"いざ、剣と魔術の乱舞。日本支局攻防戦!!

「ただいま、エリカ叔母さん」
春休みに入った亜鐘学園を後にし、久々に実家に帰省した諸葉。マヤ&レーシャ同伴の家族団欒や、静乃の祖父から「彼氏の呼び出し」を受けるなど束の間の休暇を味わう。
だがその陰で、六翼会議が次なる一手に動きはじめる――日本支部長駿河安東の拉致。白騎士機関最大の急所を狙い、遂に《炎王》熾場自らが作戦の渦中に現れた。
迎え撃つは日・仏連合の最強チーム!
かつて敵対した二国が手を取り合い、奇策、鬼謀、超次元の防衛戦を繰り広げる。
綴れ、常識を突き破りし連理の秘術!!
剣と炎が入り乱れる緊迫の学園ソード&ソーサリィ第14弾!!"
そういえば諸葉の叔父さんと叔母さん、ずっと諸葉の話には出てきていたものの、実際に登場した事がなかったのか。
そりゃあ、諸葉をこれだけ出来た子に育てた人たちなのだから、立派な人たちなんだろうとは思ってたけれど……叔母さんが外人だってのは予想外すぎるよ!! この二人の来歴については作中では一切話題にはのぼらなかったのだけれど、多分裏設定、というか二人の半生の激動のストーリーみたいなのがちゃんとあるんだろうなあ。決して裕福な暮らしではない、というのは普通の日本人の夫婦ならそういう事もあるんだろうな、と思うだけなんだけれど、片割れが外国人だとよっぽどの紆余曲折の末にここに落ち着いたんじゃないだろうか、と想像が羽ばたいてしまう。まあ過去はどうあれ、今はただの一般人。そして諸葉によっては尊敬する叔父夫婦であるだけなのだけれど。
しかし、最初に親代わりの叔父夫婦の元に連れていったのが、いつもの二人じゃなくてまーやとレーシャの二人だったというのはなかなかの変化球である。でも、レーシャは特に、ナチュラルに場を和ませてくれる存在なので、こういう日常パートではけっこう重宝するんですよねえ。どんな相手でもレーシャは弄りやすいというか。サツキや静乃だと、このケースだと諸葉の親代わりの面前だと色々と畏まっちゃうし、意識し過ぎちゃう場面であろうから、家族の団らんという意味では自然体のまーやとレーシャの方が、馴染むんですよね。諸葉も、久々の帰省ということでリラックスしたいところだったでしょうし。

さて、肝心の六翼会議との抗争だけれど、事此処に至っても未だアドバンテージは向こうに持って行かれたまんまかー。まーやの覚醒など、着実に相手に奪われた主導権を取り返すための手は打ってるのだけれど、それでも追っつかないのはそれだけ相手が上手なんだろうけれど、それでも苦しいなあ。
ぶっちゃけ、今の白騎士機関って中国の師父は前線に立てないしアメリカも戦闘向きじゃなし。ぶっちゃけ、諸葉とエドワードとシャルルの三人で何とかしないと行けなかったわけで、ここでシャルルが痛手を受けたのはちょっと辛すぎる。六翼のうち一人も落とせてない、というのもなあ。よっぽどの大逆転劇が待っていないと、この展開はストレスが溜まるばかりですよ。
そして、目に見える形で白騎士機関と六翼会議がぶつかり合う一方で、のそりと鎌首をもたげるようにどうやら本筋の、本当の黒幕が浮上してきたじゃありませんか。なるほど、熾場さんが敵のボスというには、理性的だし突き抜けた感じがしなかったのはこういうことだったのか。

にしても、あのシャルルの面倒臭さはむしろ仲良くなってきた時のほうがより一層面倒くさいんじゃないだろうか。諸葉、いい加減慣れたのかと思ったら、まだ自在にあしらえるほどではなかったか。いや、可哀想だからもうちょっとかまってあげなよ、というのは他人事だからか。フランス支部のシャルルの部下たちが、慣れきった様子でシャルルを弄って遊んでいるのを見ると、慣れたら扱いやすい人なんだろうなあ、とは思うんだけれど。あれで、食事に誘われて実はめっちゃ嬉しがってた、とかわかんねえよ! 可愛げの塊みたいな人ではあるんだけれど、やっぱり面倒くさいよ!!

シリーズ感想

彼女は遺伝子組み換え系3   

彼女は遺伝子組み換え系 (電撃文庫)

【彼女は遺伝子組み換え系】 嵯峨伊緒/refeia 電撃文庫

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「決めました、命川景。この家は私が占拠いたします」。少女は微笑み、景に銃口を押しつけた。日常的にテロの脅威に晒される新東京都で、普通の高校生の景はテロリストの少女に自宅を占拠されてしまう。少女の正体は“ムーンチャイルド”。かつて「世界テロ紛争」で壮絶なテロを引き起こし、世界中を恐怖の底に叩き込んだ人間兵器の生き残りであった。そんな彼女の毒舌に傷つきながら、不思議な共同生活を始めることになった景であったが…。これは、世界的で個人的な、近未来アクションファンタジー。
毒舌、というんだろうか、これ。最強のツンデレ少女とか毒舌が売りみたいな物言いをしているけれど、彼女のバックグラウンドを考えると、その口の悪さはキャラクターじゃなくて防衛反応に近いものだと思うんですよね。常に拒絶を身にまとうことで、自分を守っている。人類から敵認定され、その命を狙われ続け、裏切られ、この世のどこにも安息の地が存在しないという境遇からすると、他人を信用することも出来なかったでしょうに、この娘根っこの部分で甘いんですよね。誰も信用できないにも関わらず、心を許せる相手を探してしまっている。あの口の悪さは相手への攻撃で心を寄せてくるのを遠ざけようとするのと同時に、ふと緩んでしまい兼ねない自分に甘えを許さないための戒めであり楔でもあるように見えたわけだ。
だからこそ、景に対して心を許して以降は、口ぶりや使う単語こそやや口汚いもの混じっていても、そこに旧来のキツさや冷淡さはごっそり抜け落ちてるんですよね。皮肉めいた物言いもしないし、毒舌キャラとして売るにはマイルドすぎるんじゃないかなあ。
と言って、ヒロインとしてキャラが弱いとかじゃあないんですよね。非常にクレバーだし、長い長い逃亡生活を続けてきたはずなのに、ヘタレたところも折れたところもない。ふてぶてしさの影に当初は疲れた面も垣間見えたけれど、景の家に落ち着いたあとはそういう面も見えなくなったし、景の背景を知り彼の思いと願いを知ったあとは、いい意味で対等の、景の頼りになる相棒として寄って立つことになりますしね。
ごくごくシンプルに、カッコいい女の子なんじゃあないでしょうか。

ただの一般人の少年が、世界を騒がすテロリストを匿う、なんて随分場違いな話、という風に当初は思ったものですけれど、段々と彼の方の事情が明らかになるにつれて、景には明確に「ムーンチャイルド」たちと関わる理由と、確固とした意思が存在することが浮き彫りになってくるわけです。それは、突き詰めれば世界の流れに逆らうこと。景の家に転がり込み、猫よろしく自分の家のように居座って、ようやく落ち着いた生活を満喫しだしていた少女にとってそいつは決して歓迎スべきことではなかったはずなのですが、なんだかんだと言いながら彼女は少年の意思を否定せず、その願いを貶さず、そっけなく傍らに立って彼の剣となり盾となるのです。
支えるでも後押しするでも導くでもなく、その傍らに立つ。そのべたつかない距離感が、なんか好きでしたねえ。
彼女の能力のド派手っぷりも素晴らしかった。似たような能力はよく見かけるものの、ここまで攻撃的にぶん回す使い方はなかなか見ないものですもんね。豪快極まる!

しかし、何気にちゃんと偽装して潜伏すれば、ムーンチャイルドって素性は意外とばれないんじゃないだろうか。

これといった明確な敵組織などが存在せず、生まれから非合法、その使われ方からして暗部、そして最終的に切り捨てられ、テロリストとして存在自体を悪とみなされ世界のあらゆる国々から追われるムーンチャイルドにとって、世界こそが敵そのものなんですよね。逃げて隠れて身を潜める、という選択肢ではなく、ムーンチャイルドの人権を取り戻す、という戦いを選択するのなら、この作品先々の舵取りを相当難しいものにしたと言わざるをえないんだけれど、そのあたりをきっちりと最後まで書ききったなら実に読み応えのある秀作になるに違いない。ラストの展開は、ムーンチャイルドの置かれた状況の醜悪さに対して、悲劇に酔わずなかなか面白い方に転がしてきたと思うので、先々この土壇場で築いた出発点からどう進んでいくか興味深いだけに、これは続きが読みたいなあ。

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 13 4   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 13 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 13】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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亜鐘学園にも卒業式の日が訪れた。
実戦部隊の次期隊長も決まり、敬愛する先輩たちが旅立っていく朝に諸葉が思い出す記憶とは――

「大人しく性欲の餌食になれぃ!」
斎子と真夏のセクハラ海水浴!

「モロハ、遠慮なく揉むのデース」
ソフィの大胆すぎる勘違い?

「兄様、もう脱げないよぉ……」
「諸葉の全裸は私が守る」
女子寮騒然の脱衣ポーカー大会開催で諸葉の貞操が大ピンチ!!

心拍数ドキドキの肌色シチュエーション満載な嬉しすぎる大騒動♪

一方、遠くロシアの地にも勇気ある別れの星が瞬いた。

めくるめく展開に興奮必至の学園ソード&ソーサリィ、危険な第13弾!!
久々に見たなあ、こんな酷い表紙絵(苦笑 いや、男の尻が揉まれてるジャケットデザインとか見たこと無いから久々どころじゃないかもしれない。

というわけで、石動先輩たち三年生の卒業に合わせていくつかのエピソードを盛り込んだ短篇集。12巻と次の巻を繋ぐ幕間回でもあります。石動隊長たち三年生が抜けることで、実戦部隊も新体制を迎えることになるのだけれど、Aランクの石動隊長を始めとして実力を持つメンバーの多くが三年生に偏っていたために、彼らがごっそり抜けるのはかなり不安だったんですよね。静乃とサツキ、そして春鹿先輩を除くとCランクすら殆どいない本当に心もとないメンバーだけに、諸葉に頼り切りになってしまうのではないか、と。
そこの懸念は三年生諸氏も共有していたようで、石動隊長の後任となる新隊長の人選は、ある意味すごく納得でした。思えば、登場当初から人の上に立つべき資質は折々に触れて示してましたもんね。あれだけお調子者でやかましく鬱陶しい人間にも関わらず、メンタルのブレの無さはもしかしたら石動隊長よりも頑強かもしれないし、周りのこともよく見ているし、諸葉に対しても一切特別扱いせずに最初から先輩風吹かしてましたからねえ。諸葉に対して一貫して色眼鏡で見ないで、ちゃんと後輩として接してたのって実はこの人くらいなんじゃないだろうか。あれだけ突出していた諸葉が、あっさり実戦部隊に馴染んだのってこの人のお陰、という面は間違いなくある、と思われ。
普段は馬鹿ばっかりして迷惑かけまくるだろう人だけれど、肝心なときにはすごく頼もしいんじゃないだろうか。石動隊長みたいに全力で引っ張るタイプじゃないけれど、むしろこういう支えなきゃ、こっちがちゃんとしないと何やらかすかわからねえ、というアホな隊長の方が今の弱小メンバーは奮起しそう。
さつきは、まあ確かにもう一年。ちゃんと最上級生になってからだなあ。この娘も上にたったら良いリーダーになりそうだけれど。


「鬼副長の甘いワナ」
なんで、こんな女として終わってるというかエロオヤジをこじらせているような人が、見てくれは美人なんだろう。というわけで、斎子副長の鬼畜さを諸葉、これでもかと味わうの回。いったい何をどう育てたら、こんな酷いセクハラ親父に成長してしまうのか深刻に首を傾げたくなる。母親の方はわりと厳格でまともな人っぽいのに。やはり、セイバーらしく前世の影響なんだろうか。かわいそうに。
まあ、これに目をつけられて絡まれる諸葉の方が明らかにかわいそうなんですけれど。こんな中身ゲス親父な女性の生肉に思わず興奮してしまった諸葉の敗北感は想像するに余りある。


「アメリカ娘のミステイク」
ソフィア先輩の場合、ほぼ天然百%なのが恐ろしい。この人も最初の方はもっと色々と含みをもたせた怪しげな一面を持ったキャラクターだと思ってたんだけれどなあ。むしろ逆に、これ以上なくあけっぴろげな人過ぎて、うんこれは幾らなんでも無防備すぎる。
今回の短篇集は、諸葉も年頃の男の子なのだよ、というシャイというか初心な一面がけっこう垣間見えてよかったんですねえ。まあ、彼の場合このたぐいの主人公としては珍しいくらい、一貫して親しみやすいキャラなんですけれど。


「春鹿と斎子の放課後クッキング勝負」
……春鹿先輩、ちょっと追い込みすごすぎじゃないですか? 周回遅れ呼ばわりされたこの人ですけれど、ひたすら脳筋方向に突っ走っているさつきに、もったいぶりすぎて押しどころを見失ってる静乃、ある種の沼にハマってしまって遠いところに行ってしまったエレーナ、とヒロインとしてはなぜか残念な方向に迷走している他のヒロイン衆に対して、春鹿だけは着実に女子力あげてヒロインとしての徳を積み重ねてるんですよね。今回なんか、ついに諸葉の胃袋を掴んじゃいましたよ。もはや周回遅れどころか、追い越してないかこれ?


「宗谷真奈子の好き嫌い」
うわー、すごく面倒くさいタイプの女性にも関わらず、むしろそれがいい、というところまで至っちゃってる丈弦先輩、ガチでべた惚れじゃあないですか。この先輩、スマートな人柄だけにこっそり付き合ってるといっても、もっと余裕あるのかと思ってたんだけれど、デートの様子なんか見てたらいっぱいいっぱいにも程がある。ちょっと好きすぎだろう(笑
それにしても、デートでばったり、というシチュは一緒にも関わらず、諸葉の痒いところにまで行き届いたフォロー含みの可愛い後輩っぷりと、悪魔の様なさつきの所業の格差には笑ってしまった。いや、本当に無邪気に酷いな、さつき。これは殴りたいww


「サツキと斎子の女子寮ポーカー勝負」
これ、最後までサツキが負けてたら諸葉、斎子先輩にいったいどこまでされてたんだろう。鬼畜系エロゲの陵辱もかくや、というレベルにまで至ってたんじゃないだろうか。なにそれみたいw
ともあれ、無事人生終了していたのは間違いなし。サツキの豪運なのにポーカーフェイスが一切出来ない、という凄まじい弱さはちょっとおもしろすぎるでしょう。これで自分が弱い、という自覚があるならまだしも、あれだけ負け続けているにも関わらず、まったく揺らがないあの自信はどこから来るのか。この娘のアホさ加減も留まるところを知らないなあ。そこが可愛くもあるんだけれど、そこにヒロインとして、という冠がつくかどうかは微妙。
しかし、これビジュアル的にみたら凄まじい展開ですよね。作者、なんかネジ外れた?


「血戦 エカテリンブルグ」
12巻の衝撃のラストからどうなったのか、に合わせて雷帝が諸葉に敗れたあと、どうなっていたかについてもこの話で語られるのですが……そうだよなあ。雷帝がこれまでやってきた事がチャラになるわけじゃないんですよね。彼女の心を挫いたところでそのまま放置、というのは雷帝当人とロシアの人たちにとってそれはそれで厳しい処置だったと思うんですよね。自分たちで、これまでのことの精算と今後のことについて考えやってかなければいけなかったわけですから。
その中で、カティアはよくやっていたしこのまま行けば、ある程度は成果と安定は掴んでいたんだろうとは思うんだけれど、ヴァシリーサについてはどこまで助けられていただろうか。
彼女のへこみっぷりはちょっと予想外でしたけれどね。思うところはあったんだろうけれど、むしろだからこそ余計に立ち直れなかったんだろうなあ。自分だけのことなら、折れたものを鍛え直すことも出来たかもしれないけれど、彼女は前世も今世も王として在り、彼女なりに責任感を以って統治を行っていただけに、取り返しのつかないものに関してちゃんと理解し、受け止めていたわけだ。本当にただの暴君だったなら、あっさりと心いれかえられたのかもしれないけれど。
それこそやり直すには、もう一度生まれ変わらなければならないのかもしれない。


「エピローグ」
なるほど、そう来たか、と頷くばかりのラスト。そうだよなあ、この作品の主人公の一人である石動隊長を、このまま卒業、異動という形で物語の最前線から離すのはありえないですよねえ。
幸いにして、前任者が図らずも居なくなってしまったこともあり、この配置は大いにあり、かと。いや、本当に三年生全部抜けてそのままだったら、さすがにヤバかったもんなあ。


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聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》12 3   

聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》12 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》12】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

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諸葉不在の学園を襲う、招かれざる悪魔ども――亜鐘学園実戦部隊の総力をもって、絶望的状況を覆せ!!

「発表しまーす。今日、この学校は」
「オレたちの手で滅ぼすと決めた!」
諸葉不在の亜鐘学園を襲う未曾有の危機。反・救世主を唱える六翼会議の熾場亮が暗躍し、レナードとルイーズ、そしてヂーシンまでもが、学園壊滅の嵐を巻き起こす!
対抗するのはサツキ、静乃をはじめとした実戦部隊の精鋭たち。絶望的危機下にあって、誰もが命と全力を賭して立ち向かう。心は一つ、諸葉の帰還をひたすらに信じて……!

「皆のことはこのあたしが守ーる!!」
「夫の留守を守るのは妻の務めよ?」

招かれざる悪魔どもの来訪に、一致団結で立ち向かえ!
若き総力結集の防衛戦に挑む、超最強学園ソード&ソーサリィ第12弾!!
諸葉が居ない中での、残された亜鐘学園の生徒たちの激闘。六翼会議のメンバーの実力たるや如何なるものか、と思ってたんだけれど、なるほどなあ。如実にSクラス未満Aクラス以上、というあたりになるのね。ぶっちゃけ、諸葉を除いてもSクラスとAクラスには隔絶した差がありすぎて……ちょうどこの中間クラスが存在しないんですよね。その意味では、六翼会議のだいたいのメンバーはこの中間クラスにあたるわけか。新たに加わったヂーシンと、ロシアの雷帝はSクラスの一番下あたり。逆に石動隊長は限りなくAクラスの頂点に近いところまで実力を引き上げている、にも関わらず、隊長はどうしてももう一歩届かずに悔しい思いをし続けてるのが、辛いなあ。
かつて、ヂーシンにまるで歯が立たなかったのもさることながら、今回Sクラスに至らないであろうレナードにも一対一では伍しきれず、地べたを這うことになったのは悔しいことこの上ないだろう。隊長も、どんどん強くなっているにも関わらず、これだけ敗戦を重ねてしまっているのは、読んでいるこっちも辛いです。もっと報われて欲しいし、これだけ負け続けてしまうとどれだけ精神的に強靭な隊長でもどこかで悪堕ちしちゃうんじゃないか、という不安がつきまとってしまいます。ヂーシンに負けた後も危惧してたんだけれど、そんな不安を吹き飛ばすように揺るぎなく正道を歩み続けてくれて、隊長は大丈夫、と一度は安心したものですが、そこから勝利を得るのではなくさらに敗北を重ねてしまう展開になるとなあ……実際怖い。
伸び悩んでいるわけでもなく、レナードも絶賛しているようにその実力は着実にAクラスを超えつつあるわけですし、今回の防衛戦では戦線を支えきったMVPだと思うのですけれど、結果として勝ててない以上、隊長としても納得出来ないでしょうし。
意外と今回の戦い、身内側でも明暗分かれたような感じで、株をあげたのが副長の神崎とやはりサツキになるのか。そしてモモ先輩。神崎副長、本気でただの変態だと思ってたら、ここまで前線指揮官としての指揮能力に秀でているとは思いませんでした。これって、ログ・ホライズンのシロエばりの全力管制戦闘だわなあ。
モモ先輩は、というとこの人はBクラスというのが不思議になるくらいの活躍で。同時に、自分の限界の向こう側を、敵であるレナードに見出したことで、スピードタイプとしての進化の手応えを得てるんですよね。自分が進むべき道の具体例が、敵とはいえはっきりとそこに見いだせたわけで、手探りのママ進むよりもよほど進捗は早くなるでしょう。
そして、ひたむきに努力し続けた結果、それに見合う順調な成長を見せたサツキ。この娘に関しては、余計な業とか小細工抜きで、ひたすら脇目もふらず基礎工事で土台を鍛えてたらその分、想像を絶する超巨大建造物が出来そうな超巨大基礎が出来てました、みたいなノリで、どこまで底が抜けるのか楽しみになってきた。器の大きさの限界が見えない、という意味ではもしかしたらすでに訳の分からないことになっている諸葉よりっも、サツキの方がおっかないことになりそうで、ちょっとワクワクしている。

一方で、努力不足が露呈してしまったのが、静乃なんでしょう。ストイックなくらいに強さを探求している隊長や、努力を欠かさないサツキに迷いながらも進み続けるモモ先輩なんかに対して、静乃は実力を伏せるなんて悠長な真似をしている間に随分と置いてけぼりをくらってたんですなあ。神崎先輩のあの一言は厳しかった。昼行灯を気取ってやるべきことを怠っている者が、いざという時に限界を突破した何かを掴めるのか、というとそんなわけがなく、そんなはずがなく。今回、物語の流れというか回転からして、諸葉不在の中で静乃が大活躍しそうな順番だったと思うんですよ。あらすじでも、それっぽいことを匂わせていますし。ところが、実際はというと戦力のひとりとして相応の働きはしたものの、目立った活躍があったかというとお世辞にも秀でたところがあったわけではなく、肝心な所で実力不足を露呈してしまった感すらある。なかなか、厳しい展開じゃあないですか。
出来ないものは出来ない、という厳然たる現実は、マーヤについてもおんなじで。アニメでは彼女、あっさりと再現成功させていた校長の固有秘法を、しかしどれだけ頑張っても、泣き叫びながら振り絞っても何も成せなかったわけで。この作品って、諸葉がそれこそなんでもやってのける完璧超人なんでそっちに目が行きますけれど、意外と出来る出来ないの厳然たる区分け。やるべきことをしっかりやっている人としていない人に対する正当な結果、が結構如実に描かれてるんですよねえ。だからこそ、その境界線上で足掻いている、石動隊長以下の主人公以外のメンバーの活躍がしっかりと輝く作品になっていると思うんですけれど。

さて、ラストで最近おとなしかったロシア支部がどえらいことになってますけれど、ロシアの雷帝の今後が問われる展開でもあるなあ、これ。

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聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》 11 3   

聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》11 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》 11】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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諸葉に迫る、刺激的な誘惑の数々! そして現世最高の発明家《工廠》アーリン=ハイバリー、遂に登場!! だけどその正体は……? ソフィアとも緊急密着するアメリカ編の第11弾!!

「ウチを救えるのハ君しかいないんダ」
アメリカ支部長アーリンたっての願いで、ソフィアと共に渡米することになった諸葉。果たしてそこでは――
「NYの夜を一緒に満喫しないか?」
なぜかアメリカ美女たちによる、刺激的な誘惑に次ぐ誘惑が待っていた!
手段を選ばぬ引き抜き工作をしかけてくる彼女たち。だが「家族愛」を重んじるアメリカ支部の真意を知った時、 諸葉は彼女たちの為、誰にも為すことのできぬ戦いへと自ら身を投じる――

放て、想いを束ねし必中の超撃!!

魅惑のお姉様たちと行く真冬のニューヨーク縦横無尽、オトナのレクチャー満載な旅情譚!
ソフィアたちと心も身体も緊急密着する、超最強学園ソード&ソーサリィ第11弾!!
あれ? 何この地味目の新キャラ。と、思ったら、この娘がアメリカ支部長なの!? え? アメリカ支部長って女だったの!? 何を勘違いしていたのか、自分、アメリカ支部長ってドワーフみたいなオッサンなんだと思い込んでました。なんでそんな風に思ってたんだろう。以前から、アメリカ支部だけは各支部の勢力争いから距離を置いているというか、アーリンが戦闘向きじゃないクリエイターかアーティスト気質の人で俗世に関心がないみたいな話で、今まで殆どスポットが当たっていなかったから、というのもあるんでしょうけれど。
しかし、前々からアメリカ支部の大人しさというか、自己主張の薄さは気になってたんですよね。だって、アメリカですよ。あの派手で目立ちたがり屋で、というのは偏見かもしれませんが、とにかく前に出たがるアメリカさんがなんとも大人しいのは不思議な感じだったのですが、今回諸葉がアメリカ支部に招かれて現地に赴くことで、その様子を目の当たりにすることが出来たわけで……いやいや、なるほどなあ。アメリカらしくない、と思っていましたけれど、アーリンの元に集うこのアメリカ支部という組織は、これはこれでアメリカらしいの一つの側面とも言えるのかもしれない。
あの大国意識剥き出しの傲慢な、しかし頼もしくも強い「アメリカ」というのはやっぱり、アメリカ合衆国の政府(ガバメント)としての、国家としてのそれであるわけで、しかしアメリカ支部はアーリンの意向と努力もあってか国からの干渉を徹底的に配した独立性を保っている。それが、大きなマクロとしてのアメリカではなく、ミクロなアメリカの精神性を体現してる感じなんですよね。ステイツとしてのアメリカじゃなくて、ファミリーとしてのアメリカ、とでも言うのか。アーリンが、組織への束縛を極端に忌避しているのも、そのあたりが大きいのでは。
結果として、面白いことにアメリカ支部は他の5つの支部と比べても極端に組織色が薄い集団になってるんですよね。これだけミニマムな集団で、よくあの広大なアメリカ大陸の防衛を賄えているものだ、と思う所なんだけれど、組織色が薄いのとは逆にチームとしての連携力は素晴らしく高いように、フットワーク軽いんだろうなあ。
なんか、よく知っているアメリカを、違う立ち位置から見たような新鮮なアメリカ感がなかなか楽しいお話でした。気分的にも、諸葉のアメリカ旅行編というか、ホームステイ編みたいな感じでしたし。
アーリン支部長も、もっと腹に一物抱えているタイプなのかと思っていただけに、本当に純粋に芸術家肌の、しかし真摯に身内の事を思いやるファミリーの長らしい人だったのは良い誤算でした。これで、本当に裏でなんぞ画策してそうな黒幕っぽいのって、日本の支部長だけになっちゃったじゃないですか。他はイギリスのエドワードも、フランスのシャルルも、中国の老師も、ロシアの雷帝もほぼ諸手を挙げての灰村派になっちゃってたところに、トドメでアメリカも支部丸ごと諸葉サイドになっちゃいましたしねえ、これ。
今回のアメリカでの魔神級の出現予知の、どうも情報がわざと後出しされてたんじゃないか、というようなタイミングとか見ても、どうも日本支部長がわざとやってるんじゃないか、という向きがありましたし、こりゃ獅子身中の虫はやっぱり日本の方になりそうか。
実際、諸葉がアメリカ行ってるタイミングで、日本でラストにあれですもんね。完全に陽動だ。

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聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>10 4   

聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》10 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>10】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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聖夜を焦がす《悪魔》の火を斬りはらえ!!

亜鐘学園ですごすクリスマス!! だが、謎めく「六翼会議」の魔手はささやかな平穏を脅かす。絶好調、超王道学園ソード&ソーサリィ、堂々第10弾!!

亜鐘学園でむかえる初めてのクリスマス。諸葉はサツキたちへのプレゼントを選ぶべく町へ繰りだす。かつて会った不思議な女性・ネリーこと宇佐子との再会や、信頼しあう少女たちとのにぎやかな夜。諸葉はかけがえのない冬を満喫する。
だが、そんな平穏を打ち砕くように、凶暴な異端者が急襲。諸葉への執拗な敵意をぶつける謎の敵に対し、市街地での迎撃戦を緊急展開! その戦いの果てにたどりついた場所で、諸葉はあの禁じられたもう一人のランクS――《背教者》熾場亮と二度目の邂逅を果たす。

激熱、諸葉VS炎王!! 『六翼会議』の謎めく陰謀と悪魔の灼熱を斬りはらう、超最強バトル第10弾!!
今回の主役は何と言っても石動隊長すぎるでしょう。いや、考えてみれば前々から石動隊長は裏の主人公的に扱われていた気もする。折々に触れて、石動隊長はスポットあたってましたもんね。最近は特に、中国のレベルSとの戦い、先の英仏日の共同作戦における同じ日本のランクAたちとの対面など、石動隊長が歩んでいく道が刻々と描写され続けていましたし。その上で、今回のあの石動弟の末路。皆が楽しく過ごしているクリスマスの夜に、一人失踪した弟を探し続ける彼の姿に感じる苦味を何と表現したら良いものか。
その姿はカッコ良いとは決して言えない苦しさに塗れているのだけれど、諸葉のような快男児とは裏腹の鬱々としたものを抱え込んでいる陰鬱とすら言っていいだろう男なのだけれど、この人の石を咥え、石を括りつけ、石を引きずるようにして、それでもひたすらに前に進み続ける姿には、憧れや敬意に近いものを感じてしまう。強さ、カッコよさ、痛快さなら、ランクSの怪物たちがはるかに上回るだろう。それでも、人として仰ぎ見てしまうのは、こういう地を這い続けている人なのだろう。諸葉が、同じランクSの面々とは対等に渡り合いながら、石動隊長に関しては一貫して尊敬し続けてるのもよく分かる。
これほどの人が血を吐くように目指し続けているからこそ、ランクSというものに重みを感じるという部分もあるんじゃないかと思うくらいに。だからこそ、あのランクSの重みをわかっていないだろう輩が敵に回ってくれたのは僥倖ですらあると思うのだ。石動隊長にとっての、乗り越えるべき壁がそそり立ってくれたのだか。
弟は嗤ったが、今なら信じることが出来る。この人は、きっとその高みへと至るに違いない。その日がくるのが楽しみである。

いわゆる六翼会議による宣戦布告編となるのだろうけれど、その首領格である熾場亮の過去が語れる事で、かつての異端者との戦いがどれほど理不尽で凄惨なものであったか、それを踏まえてどれほど先人の努力があって今の体制が整えられたのかが明らかになり、一方的に熾場亮たち一党が邪悪と言い切れないだろう下地は敷かれたわけだけれど、さてどう折り合いをつけていくのか。ネリーはまず悪い人じゃないし、多分恐らく、でも間違いなくあれの正体であるあの人も、実は悪い人でしたって事もなさそうだし。
でも、割り切れない争いを、しかし悩み苦しみ迷った果てにスッキリ痛快に描くことは、作者のあわむらさんは前前作のデビューシリーズ【無限のリンケージ】でしっかりやってくれているので、そのあたりは心配していないのであります。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>94   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 9 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>9】 あわむら赤光/ refeia  GA文庫

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日英仏三大ランクS合同の大規模作戦決行!!

謎に包まれていた異端者発生地の特定に成功した白騎士機関。これを叩くべく、日英仏の三支部合同による史上最大の作戦が敢行される。

諸葉、エドワード、シャルルの三大ランクS、さらに初めてその姿を現した中国支部長・迭戈が一同に会し《群体要塞級》攻略の糸口を模索する。作戦の核を成す、最難関ミッションを一任される諸葉。気配を殺し、且つ迅速なる隠密行を要求される任務で、諸葉がパートナーに選んだのはなんと――モモ先輩!?
「もうアタシ……逃げないから! 」
往け、超神速のその先へ――!!

新たなる一歩への勇気と覚悟が試される、最大規模の総力バトル勃発な学園ソード&ソーサリィ第9弾!!
モモ先輩、アニメのキービジュアルではレーシャと並んでちゃんとサツキと静乃と同格の所にいるんですよね。静乃は、モモ先輩のことを周回遅れと言って余裕ぶってますけれど、彼女のスピードからすると周回遅れ程度で大丈夫なのかなあ、と。この人、走りだすまではモタモタとなかなか動き出さない人ですけれど、一端動く出したら思い切り良く全力で突っ走る人だからなあ。それは戦闘面だけじゃなく、恋愛関係でも同じなんじゃないかと。一途ですよ、この人。そりゃもう、ぐるぐると変な方向突っ走っているサツキや、微妙に落ち着いちゃってるレーシャと比べても、一度恋を自覚したらひたむきに前進してきそうで、周回遅れ程度じゃ全然遅くないんじゃないかなあ、と。静乃だって、いざとなるとヘタレそうなところあるし、余裕ぶってる場合じゃないですよ。
まあ、影ではちゃくちゃくとマーヤが侵略侵食洗脳を推し進めているので、気がつけばロリが大勝利、という危険性も。事実、若干既に手遅れ気味な事が発覚してますしw
しかし、この英仏との合同作戦という大舞台で、モモ先輩を引っ張ってくるとは思わなかった。彼女のポディションからして、ヒロインとして扱われるにしても、日常回を含めて、もっと余裕のある所で着々と彼女の実力や関係を積み立てて、という形になると思っていただけに、この場面でサツキや静乃を差し置いて彼女を持ってくるあたりは、モモ先輩の抜擢はかなり本気だと思われる。
実際、戦闘シーンを見てても、ことバトルの相棒という意味では黒魔の静乃や対人専門のレーシャ、そしてタンクのサツキと比べて、モモ先輩の諸葉との相性は抜群なんですよね。彼女のスピードは、諸葉の万能性に対して応用力が非常に高いのである。勿論、サツキや静乃も状況に寄るんだろうけれど……実はサツキはエドワード、静乃はシャルルの下位互換みたいな節もあり、本気で大物とガチで戦う場合にはエドワードたちと組む方が強そうなんだよなあ(苦笑
これまでの様子を見ていると、サツキは今やストライカーズのメインタンクの一人として、部隊に欠かせない一員となってるけれど、静乃の方は微妙に実力を存分に発揮できるポディションがまだ出来てないみたいなので、彼女の取り扱いどうなるのかは興味深いところなんですよね。

しかし、ストライカーズの石動隊長、前回ルー・ヂーシンに為すすべなく負けてしまったので、精神的に大丈夫か心配していたんだけれど、とりあえず大丈夫そうで安心した。この人、さり気なく闇堕ちしそうなフラグの気配があって心配なんですよねえ。精神的にもタフネスで気持ちのよい人でもあり余裕も懐の広さもバランス感覚も面白みもある人で、簡単に闇堕ちしそうな隙が見当たらないんですが、だからこその危うさがありそうな気もあり、でも逆に真っ当に強くなっていきそうでもあり、どっちにでも振りそうな可能性があって、この人も目が離せないんだよなあ。
やっとこ登場した日本支部のセイバーたちは、案の定イマイチパッとしない人たちで、もうちょい頑張れ、という感じなので、余計に石動隊長含めてストライカーズの面々には期待が膨らむのです。亀吉先輩が変な方向に才能を開眼させてしまったり、丈弦がえらく頼もしいポディションになってたり、とそろそろ副長の斎子さんがパワハラとセクハラしかしてない人みたいに見えてきたので、あんたもちょっと頑張れw

話の方は、要塞級三体との決戦に合わせて、囚われた人たちの潜入救出という、日本だけじゃなく英仏のセイバーたちも総動員したこれまでにない大規模戦闘なのだけれど(AJが荒ぶっておられる!)、色々倒す方法にも順番にも条件がある、というあたりは、大規模レイドバトルを連想させるシステムで面白かった。シャルルもエドワードも、単独自の戦闘スタイルと、パーティーリーダーとしての戦い方はそれぞれいつもとはまた違っているのねえ。
と、派手にバトルが進む一方で、物語はついにこの戦いそのものの核心へと踏み込みだす。ついに、真の敵の正体、その一部が明らかに……。
やっぱり、人間の敵は人間か。

シリーズ感想

疾走れ、撃て! 10 4   

疾走れ、撃て! 10 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 10】  神野オキナ/refeia MF文庫J

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休戦協定失効から数ヶ月、田上理宇は「英雄」としてテレビに駆り出され、同時に慰問を兼ねた物資補給で各地をまわっていた。そんななか紫神中隊は仙台へ向けての物資輸送任務に就く。虎紅やミヅキ、理宇にも知らされていなかったが、この任務が決戦への投入であることを予感していた。市街地に放たれた野犬型やカラス型の敵グールが徘徊するなか、電子・陽電子衝突型加速器を改造した巨大転送装置の下へと進む理宇たち一行。その先に、峻烈な生と死の駆け引きが待ち受けるとも知らず――!! ついに、人類の生き残りを懸けた史上最大の作戦が始まる、第10弾!!
……どよ〜〜〜ん。
マジかー。これはマジなのかー。正直、すっごい凹んだ。直接描写がなくて、手紙による報告という形で事実が告げられるのがまたもう、キツかった。手紙から伝わってくる感情を押し殺したような文言がまた辛い。最後の一文なんか、トドメですよ。それにしても、嘘だろ、と言いたくなる。どこかで、これは謀略による工作なのだ、という可能性に縋りたくなる。でも、わざわざこんな工作する必要なんてどこにもないんだよなあ。
実のところそんなに出番自体は多い人じゃなかったんだけれど、存在感についてはピカイチだったし、後ろ暗いところの多い大人たちの中で、本当に珍しいくらい課せられた責任を正々堂々と背負える人でしたし、プライベートでの出来事も目の当たりにしていたので、それが喪われてしまったというのはショックでショックで、かなり陰鬱な気分を引きずることになってしまった。五巳さん、よく耐えたなあ。
休戦協定失効と同時にはじまったダイダラの一斉攻撃。日本政府の対応を見ても分かる通り、世界的にもダイダラとの休戦というのは、上層部では端から信じられていなくて、注意深く対応の準備は整えられていたんですよね。これは、客観的に見ても合格点どころじゃなく、ほぼ万全に近い備えだったと思うんですよね。この手のお話の軍や政府の上層部というのは無能だったり組織的硬直に蝕まれていたりと碌なものではないパターンが多いのですが、このシリーズにおいてはその有能さは瞠目に値するんじゃないでしょうか。人類生存戦争においては、これくらい上層部がしっかりしてくれていないと、とてもじゃないけれど勝てない生き残れないのですけれど。もっとも、組織の上が有能ということは、それだけ陰惨なくらいに合理的であり冷徹であり非情であり容赦呵責の欠片も存在していない、という意味でもあるわけで、有要な駒である田上理宇と紫神中隊は「英雄」として徹底的に、それこそ残りカスも出ないくらいに搾り取られ、酷使される事になってしまうのです。これまで、虎紅がなんとか捨て駒にされないように立ちまわり、理宇やミズキも慎重に行動してきてはいたのですが、戦況と彼らの置かれた境遇、そして生き残るために発揮せざるを得なかった万能の杖としての力と存在は、有無をいわさず彼らを、最適に活用できる配置へと押し流していくのでした。
それでも、どれだけ過酷な「死地」に送り込まれる事になるとしても、事実上「後腐れなく死ね」と命じられているのではなく、ちゃんと生還も込みの作戦であったことは、軍部も非情ではあっても悪意はなく、血の通った人間の組織なのだと感じる事が出来て、いやまだ良心的だよなあ、と。
アレで?と言いたくなりますけどね。作戦内容とか、作戦が成功したあとの投げっぱなしっぷりとか見ると、アレで良心的?と言いたくなりますけどね!
それでも、先に、休戦協定延長の為に送り込まれた人員の選定方法とその末路を思うと、まだ本当に良心的だなあ、と。
史実旧軍のミッドウェーなどの激戦を生き残った将兵に対しての、帰ってくるな後腐れなく死ね、と言わんばかりの前線送りの人事とか思うと、まったく良心的だなあ、と。

まあ幾ら良心的でも、作戦そのものが初っ端からあんなに破綻させられてたら、どう見ても大失敗なんですけどね。大失敗以外のなにもんでもないだろう、あれ!!
えらいこっちゃどころじゃないよ! 

史上最大の作戦の発動という物語のクライマックスに突入することは、人間関係の方もそろそろクライマックスに入りはじめたということでもあり、伊達教官がなんかマリッジブルーになっちゃってるのも、これもクライマックスということなんでしょうねッ。
ただ、この二人の場合、ようやく夏華さんが伊達教官をとっ捕まえて、結婚にまでこぎつけたという意味ではラブラブと見ていいはずなんだけれど、同時に当たり前のように教え子たちと共に死地についてくる気満々だったものだから、夏華さんが母親と結婚式場の下見をしたりして回っていたのを、帰って来れないことも見越した上での親孝行みたいに言っていたのが、何とも苦しかったんですよね。勿論生きて帰ってくるつもりではあっても、戦死して戻ってこれない可能性も当然のように受け入れている。新婚前のカップルとしては、そりゃあ切なすぎますよ。だから、秋山さんたちの心遣いは身に沁みた、心に沁みた。この人達は、伊達教官たちの代わりに、子供たちを体を張って守るつもりなのだと思うと、またぞろ胸が詰まるんですけれど。

体が成長してしまった虎紅は、扱いなどもっとややこしい事になるかと思ったけれど、なんとか戻ってこれてよかった。それに、メンタル面もあんまり変わってないみたいだし。もうちょっと自信持って接してくるかな、と思ったんだけれど、前と同じくらいにフラットでしたね。いや、精神的に。肉体的にはもうフラットじゃなくなってしまいましたが。でも、精神と肉体の成長が吊り合ってなかったから、バランスが取れなくてよくコケてたと分析してましたけれど、だったらラスト近辺で何にもないところで転んでたのはなんでなんだろう。単に、虎紅が成長とか関係なしにドン臭いドジっ子だった、というのなら笑い話で済むのだけれど。
それにしても、ミズキがもう完全に虎紅にべったりで苦笑してしまった。もう抜け駆けしようとか、頭にもないんだろうなあ。それはそれとして、英雄としての仕事から深夜に帰ってきた理宇を、起きて待っていて出迎える姿が、その引き際といいホント献身的で、この娘は尽くすタイプだよなあ。よっぽど母親似なんだろう、うん。
そういえば、この作品における理宇のヒロインたちって、五巳さん含めてみんな尽くすタイプなんですよね。いや、あのブレンダさんは抜きにして。この人はヒロインとしては別枠も良いところでしょうから。
ちなみに、主人公の理宇が一番献身的で尽くすタイプなんですけどね!

史上最大の作戦は、スタートすると同時に筆舌しがたい状況に突入してしまい、いったいどうするんだこれ! と絶叫するはめに。クライマックスは否応なくラストまでノンストップになりそうだ。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 8 3   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>8 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 8】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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待ちに待った学園祭! だが――

「まーやが一日校長なのです! 」

マヤの職権濫用で、諸葉は恋の噂の真相を直撃取材されることに! そして明かされる、初々しくもうらやましすぎる諸葉の女性遍歴!! 兄の威厳を賭けたサツキとの添い寝合戦! 冷静すぎる静乃が初めて取り乱した、触れてはいけないあの場所とは? さらにモモ先輩との秘密特訓や、レーシャといく亜鐘学園部活動見学ツアー!?

そしてマヤと諸葉の密着24時間はベッドもお風呂もいっしょなのです!?(にぱっ)

束の間の平和を謳歌する、戦士たちの大騒ぎ!
その上まさかのAJ乱入でますます白熱する超最強のヒロインズカーニバル満開な第8弾!!
マヤさんが、幼女のくせに作品屈伸肉食な件について。あんた、静乃なんか目じゃないほどガチの肉食系幼女じゃないですか! 
というわけで、まーやを連れて学園祭巡り、というのを刺身のつまにして、それぞれのヒロインとの1エピソードを綴っていく短編形式。

『「妹」とすごす日曜日』
自称妹のサツキとの一日デート。これ見てると、最初の頃の諸葉の女の子の好みに、サツキがドストライクだった事が改めてよく分かる。だというのに、この自称妹はそのアドバンテージをそいやっ、と投げ捨てて、妹としての関係を押し付けちゃってるんですよね。勿体無い。ここで押せ押せで女の子として接していれば、そのまま転んでしまいそうなくらい、諸葉ってこの頃サツキにドキドキしてるんですよね。今となっては、もう諸葉の意識は「妹」として安定しちゃってるし。自分でチャンス踏みつぶしたんだもんなあ、この娘。アホの子である。
しかし、前世ではサツキ全然強くなかった、というのは前から出ていた情報だったっけ。これは意外だったのだけれど。今では不朽のタンク役として大活躍しているのですが。あれだけ短絡感情型に見えて、リーダーシップ持ちというのも意外。そういえば、石動隊長を除くと指揮官適正持ってる人材が殆どいないんだよなあ。副長は完全にアレだしw

『漆原静乃の逆鱗』
女の子に壁ドンされるって、燃えますね!
面白いのは、攻めっけを欠かさない静乃に対して、案外と諸葉の方も攻めっ気を絶やさないことか。静乃は余裕があるように見えて、押されれば素直に可愛げを見せるタイプでもあるので、ひたすらチョンチョンとつつきあうという、何ちちくりあってるんだ、という関係に見えてしまう二人である。何気に一番いちゃついてるのって、この二人なんだよなあ……と思っていたころもありました。まーや無双を観るまでわ。

『楽しい武活へようこそ』
レーシャのメンタルが豆腐。いや、それは登場当初からわかっていたところだけれど、この放っておけない感は諸葉だけじゃなくて、一般生徒まで共有できるレーシャの愛嬌だったのか、わかる。もはやマスコット化しているような気もするけれど。
それにしても、ここの学園の生徒のキャラの濃さは、ストライカーだけじゃなかったのか。一般生徒まで総じて奇矯じゃないかw

『天使ちゃんとの寮暮らし』
はい、アウト! 諸葉とまーやの禁断のイチャイチャ生活。息をするようにイチャイチャするこの二人。むしろ、意図して無垢を装いながら諸葉にイチャイチャしてもらう幼女の犯罪臭たるや、ちびっ子の方があうと。色々と邪ますぎる! まるで年齢をさげるアイテムだか魔法だかで幼児化して、女子寮に親友して女の子たちに可愛がられてゲヒゲヒほくそ笑むオッサン的な邪まさである。

『Like a whirlwind』
諸葉って、AJと並んで春鹿先輩のこと大好きだよなあ。私も大好きです。こういう、男まさりなくせで負けん気強いのに小動物っぽさを抑えきれないキャラクターとか。女っ気がないと自分で思い込んでいるところが、逆に無防備さにつながってて、健康的にエロいんですよね。一瞬たりとも止まってられないような、いつも走り回っているイメージもあってか、本当に可愛い。

『休日の二人』
AJさん再び! いやあ、この人本当に可愛いなあ。アンジェラさんは、突けば突くほど輝くんだから、エドワードももうちょっと弄ってあげるべきだよね。エドワードは、諸葉やら他のS級はイジるくせに、女性に対してはちと紳士すぎる。その点を鑑みると、諸葉の方が女慣れしている気すらしてくる。いや、実際誑かすの大得意なんですけど、この主人公。
ともあれ、AJさんはあれだけぶきっちょなんですから、自分から前に出ようとすると絶対にずっこける人なんですから、誰かが手伝ってあげないといけんのですねえ。エドワードは、あれ、人付き合いの仕方実は親密になるほど下手くそっぽいし。諸葉も、そろそろエドワードの事、信頼してあげてほしいものです。うざいのはわかるけど。AJのためにも。


というわけで、息抜きを挟んで、日英仏の合同作戦。合同作戦というと、どうしてもいがみ合いとか、利益配分での内部対立とかが挟まってしまうものなんだけれど、今となってはシャルルも諸葉大好きさんになってしまっているので、変な足の引っ張り合いが起こらなさそうな分、素直に燃える展開になってくれたらいいなっと。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 7 4   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 7 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 7】 あわむら赤光/refeia  GA文庫

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囚われの諸葉を救う、少女の覚悟!!
諸葉、拘禁……そして行方が途絶えて――脅威の使い手、ヂーシンが守る難攻不落の館へ挑め!

史上初・魔神級《異端者》との戦いの最中、突如として現れた“中国支部長代理"ルー=ヂーシン。
彼は諸葉こそが《異端者》を生み、操りさえする元凶だとの疑惑を唱える。諸葉は己の潔白を示すべく拘禁処分に敢えて甘んじるのだが――

「臭い物には蓋をすればよいのです」
ヂーシンらの卑劣な企みにより、外界から隔絶された異次元空間『牢獄の魔女の館』に幽閉されてしまう。静乃たちは諸葉を救い出すため、持てる手段を尽くし、難攻不落の館を破る決死の戦いに挑む――!!

綴れ、王佐の魔女の精髄! 不屈の想いが重なりあう、絶対最強の学園ソード&ソーサリィ第7弾!!

「あなたを佐けるのが、私の定めよ」

しょうがないといえばしょうがないのだけれど、石動隊長にはもう少し花を持たせてあげて欲しい。この人が容易に折れる事はないと思うのだけれど、弟という爆弾を抱えているだけにちょっと心配なんですよね。現状において、何の後ろ盾もなく純然たる努力と向上心だけでS級に到達しそうな気配があるのは石動隊長くらいなものだからなおさらに。いやでも、前回はフランス支部のA級を一方的に叩きのめしているので、不憫枠ではないのか。むしろ、現状がちょうどA級のトップクラスよりも上で、しかしS級には届かないくらい、という目安にはなったわけで、ここで挫けず敗北を糧にさらにパワーアップして欲しい。
とはいえ、この等級基準、どうやら単純な戦闘スペックじゃなく、対<異端者>戦にどれだけ有益か、というところにあるそうなので、その意味ではわりと健全な評価基準として機能してるんだなあ。【人喰い】レーシャが以外なほど等級低いままなのは、裏方仕事を負わされていたから正当な評価が伏せられていたと思ってたのだけれど、単純に対人戦特化型だから、だったのね。
ソフト面での運用特化型の能力についても非常に評価が高く設定してある、というのは対<異端者>組織として相応に整備され機能していることがよく分かる。ちゃらんぽらんに見えるエドワードだけど、あれで有能なんだよなあ。
でも、幾ら組織の基本構造がしっかりしていても、中の人間たちがそれに相応しい働きをしなければ、組織なんて機能しないわけで、現状の対<異端者>戦をそっちのけで内輪もめばかりしている状況は、お世辞にも健全とは言いがたい。諸葉が怒ってたように、異端者と戦うよりもS級同士、支部間で争ってばかりだし、権力争いに汲々として、本分を忘れてしまっている連中にも事欠かない。大層に何が救世主(セイヴァー)だ、恥ずかしいと思うのも無理はない。
でも、悪いところばかりに目をやらずに、イイ方に目を向ければ、各国にもちゃんと心ある人たちは居て、決して現状を良しとしているわけでもない。シャルル率いるフランス支部のように、勝手ばかりしている過激派、と見做されていたところだって、前巻の諸葉たちとの対立を通じて、彼らがひたすらがむしゃらに突き進むしかなかった状況に、ひとつのきっかけが訪れたケースもある。さらには、今回の諸葉に対して理不尽な扱いが強いられた件に関しては、組織の膿が目に見える形で湧きだした、という観点で見たら、大きな前進だったと捉えることも出来るだろう。
この作品のいいところは、能力の如何を問わず性格的に小物な輩は、相応の報いを受ける、わりと速攻で、という点ですね。端的にいうと、ムカつく野郎は気持ちよくぶっ飛ばされる、ひどい目にあう、虐げられた方が黙ってやられてない、というところなんでしょう。静乃の悪党な兄ちゃんのように、金と権力持った小悪党として味方サイドで活躍しまくってる稀有な例もありますけれど。あの兄ちゃん、わりと底の浅そうな狡っ辛い権力主義者なのに、上手く手綱握ってる静乃が巧妙なのか、異様に味方として頼もしいんですよね。一方で、底が浅い分万が一ふらふらと敵に回ってもあんまり怖くなさそうだし。面白い。

さて、ひと通り各支部のクラスSと渡り合ったところで、ようやく<異端者>という謎の存在に近づくファクターとなりそうな、或いは真の黒幕と思しき一団と、諸葉は知らず行き会うことになるのですが……、黒幕と行ってもどうやらこっちも悪役ではあっても悪人ではなさそうなのか、それとも良識が通じない相手なのか。シャルルの恋人のありさまを見ると、あれをやらかした相手は絶対悪っぽいんだけれど、今回登場した連中は決して話が通じない相手ではなさそうだったからなあ。とは言え、話が通じても交渉ができるかどうかは怪しいけれど。しかし、田中先生については、信頼していただけに、あの展開はちょっとショックだった。いやまだ、あの連中が敵だと決まったわけじゃないんだけれど、明らかに敵っぽい流れだもんなあ。
一方で、こっちこそ話が全然通じなさそうで、敵対しまくったフランス支部のシャルルは、というと……デレた、デレた、すごいデレたー! なに、シャルルさん、あなたAJをはるかに上回る勢いでこの物語最強のツンデレとして君臨するおつもりか!! クロエの解説が入るようになったことで、あの難儀なシャルルの傍若無人さが異様に可愛らしいツンデレにしか見えなくなったじゃないか!! どんだけ素直になれないんだよ!
でも、これからもそのままのシャルルさんで居てください。

シリーズ感想

疾走れ、撃て! 9 4   

疾走れ、撃て! 9 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 9】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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クィーンの提言を受けた突然の戦闘停止。相手は交渉可能な存在なのではないかという期待が世界を駆け巡る。だが現状を仮初めの休戦と見た軍は、理宇たち紫神小隊を第三独立中隊として再編した。中隊長となった理宇の下にはリヴァーナや、先の戦闘で理宇の命を狙ってきた溝呂木のシンパたちまでもが集められた。さらにミヅキの身を心配した父の差し金でアメリカ海兵隊のブレンダもやってきての一騒動…。「ようこそ、我が中隊へ!」虎紅やミヅキと、理宇は覚悟を新たにする。―そして刻限!!ダイダラが咆哮する戦渦に立つ、新感覚軍隊ラブコメ第9弾!

待て、待て待て待て。多様性を喪ってしまえば、その先にあるのは完全な停滞だぞ? 様々なバリエーションがあるからこそ、目新しさというのは産まれてくるものなのに、どうして画一化シなければならないのですか!?
おぱーいの話である。
いやまじで。ミヅキもリヴァーナも、あのブレンダ姐さんもバインバイン揃いだからこそ、少佐のちんまいバディが引き立っていたというのに、何故だ何故だ何故なんだーー!!
個人的には育つ系は全然ありだったんだけれど、少佐については別である。ショックである。衝撃である。失われてしまったのだと涙が出てきた。うぉーーーん。虎紅がいるから別にいいじゃん。

シリーズ最大の衝撃的な展開がラストに待っていたのだけれど、客観的世界の行く末的には瑣事なのでしょう。主観的にも、別に理宇はおぱーい星人でもなかったと思うので、さほど関係はないかもしれないが、それでも私のワールド的にはパラダイムシフトでありました。いっそ、ポールシフト的とすら言っていいくらい、世界の見え方がガラリと変わる展開でした。おのれ、活火山。

ちなみに、私は別に平原派ではありません。若干山脈派寄りですよ? でも、多様性を楽しめるお得な雅観を完備しております。
しかし、まさか少佐のあれが、陰謀論に基づくものだったとは、なんだってーー!? と叫ばずには居られない。運命といえばまさに運命の邂逅であったのでしょうけれど、その出会いがなければずっと少佐はこのままで居られたのだと思うと、偲ぶ涙もありけりなり。まあ、恋する少佐の不器用な可憐さを思えば、この変転も仕方なかったのだと思うのだけれど、はたして今後あの「可憐」さが維持できるのは、甚だ不安である。いやまて、視点を変えてみるならば、無表情不器用系のクーデレなダイナマイトお姉さんが誕生したと思えば、ウハウハじゃね? 

と、いつまでもこだわりについて語っていても話が進まないので、客観的世界の様相に言及するならば、こちらもまさにターニングポイントを迎えている。
相手は交渉不能の異星体。相手を殲滅するまで終わらない生存戦争、或いは絶滅戦争と言っていい戦いに人類がハマり込んでいたのだと思っていた所に、まさかの敵のクイーンからの停戦勧告と、交渉の申し出があった。
全く選択肢がないまま、どちらかが死に絶えるまで戦わなくてはならない、と思っていた所に違う選択肢が現れた、というのは考えてみれば途方も無い希望の光りなはずなのです。正直、官民政軍問わず、長年の戦争で疲弊した人類は、この希望に飛びつきすがりついてもおかしくはなかったんですよね。
でも、頼もしいことに、この世界の各国の政府や軍部は、敵意にしろその逆にしろ、いずれの感情をも脇に置いた冷徹と言っていいくらい冷静な判断を失わず、安易に希望的観測に飛びつかなかったんですよね。これはちょっと意外だった。もっと、意思統一ができずに無茶苦茶な混乱が起こると思っていたのに、停戦は続かず戦争は再開されるという判断がブレずに敷かれ続けていたんですから。この備えがなければ、停戦が終わった段階で人類は二度と立ち直れないダメージを受けていたとしてもおかしくなかったはず。
ここで描かれてる政治や軍部はほんとに冷たくて怖いんですけれど、それ故にプロフェッショナルに徹していて、権益を欲したり野心にしがみついたりという行動はあるにしろ、国の実利を疎外するまでのものではなく、非常時においてはほんと頼もしいんですよね。
でも、それは同時に末端は容赦なく駒扱いで消費されかねない、という危険性も内包していて、実際捨て駒扱いで使い潰された学兵たちも存在し、その傷跡は今なお色濃く残っている。なので、その「駒」の一つである理宇たちは、常に使い潰されることへの危険性を意識して、注意深く慎重に行動しているのも、安心感の一つなのでしょう。警戒心のない主人公たち、というのは傍から見ていてハラハラを通り越して、イライラを貫いて、もう「死ぬがよい」とまで思うケースも度々ありますからねえ。その点、彼らの慎重な立ち回りは、ほんと好感持てます。勿論、どれほど慎重に注意深く立ち回ろうとも、どうにもならない時はあるのですけれど。それをも覚悟に入れているのですから、何というか子供だろうと十代だろうと、社会の荒波は容赦してくれないのよねえ。
その上、英雄やそれ以上の役割を果たせ、と強要されてるわけですから、途方に暮れても仕方ないでしょうに、理宇たちはスれも荒れもせず、すごく健全に前向いたまま頑張ろうとしてるんですから、そりゃあ同世代の仲間たちも、彼らを見守る大人たちも、自分の出来ることを尽くして、一緒に戦おうと思ってくれるわけだ。それこそ、一度は理宇たちの命を狙った連中でさえ、飲み込むほどに。

万能の杖にまつわる謎の、中核と言っていい部分が概ね明らかとなり、輪をかけて壮大な話になってきたところに、ラストのあの展開。もうクライマックスに突入しているのですが、酷いことにならずにハッピーエンドまで走りきって欲しいです。
あの教官カップルが、完全に「この戦いが終わったら結婚するんだ」という流れに乗ってしまっているんで、その辺りのフラグ折りも願いを込めて。まあ、夏華さんが死亡フラグなんてへし折りそうですけれど。素手で。婚活戦士に死亡フラグとか通じなさそうじゃけんw

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 64   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 6 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 6】 あわむら赤光/refeia  GA文庫

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亜鐘学園実戦部隊VSフランス魔術軍団!!

熾烈なる『組織』対『組織』の総火力戦、勃発!
そして完全覚醒サラティガの真価とは――!?

「貴様が百億なら安いものだ」

ヨーロッパ経済界の大物、ランクSの黒魔――二つの顔をもつ男シャルルから突如スカウトされた諸葉。もちろん諸葉はすぐに辞退。だが、シャルルは不可解な執着をみせる。
古えより連なりし本物の魔術結社《太陽の揺籠》のゴーレム使いたちを動員、諸葉本人ではなく実戦部隊を襲わせたのだ。追い詰められる少年少女たち。しかし、限界を超えた死闘は彼らを新たな段階へと導く――。

組織対組織の総火力戦! 謎めくシャルルの真意。そして完全覚醒サラティガを手にした、諸葉の剣聖技とは?

永遠の絆を刃に変えて、百鬼夜行の魔術師集団に挑む学園ソード&ソーサリィ第6弾!!
やれやれ、困ったもんだ。この作品、読んでるこっちに「カッコイイーーッ!!」と拳握って身悶えさせりゃあイイと思ってるんだぜ? ふん、そんな安々と思惑に乗ると思ってもらっちゃ困りますなぁ……。

かっくえーーっ!!

石動隊長、かっけーーっ!!
丈弦先輩、かっけーーっ!!
そんでもって、シャルルが飛び切りかっくえーーーっ!!

参った、前回の雷帝さんがランクSという割に人間的に非常に残念な人物で、敵としては気持ちよくぶっ飛ばされて蹂躙されてスカッとするタイプだったので、同じく人間的に破綻してそうだったシャルルに対しても、あらすじから予想される自分本位なやり方も相俟って、敬するべき敵としては殆ど期待していなかったのですが、これがどうして。これこそが世界に6人しか居なかったランクSの一人、と呼ぶに相応しいデタラメな力量を見せてくれて、これが格好いいのなんの。戦闘中のセリフがイカしてるんですよね。あれはヴァシリーサみたいなのには絶対言えないセリフだよなあ。生まれ持っての才能や出力に頼りきったものではない、自らの技量を研鑽し研鑽し、その技を業とまで磨き上げ、前人未到の領域へと到達した者だけに許された揺るぎない自負に支えられた最強宣言。
相対している諸葉のテンションが上がりまくるのも、これは仕方ない。諸葉って人間そのものが大好きなだけに、努力を惜しまず自分を高めようとする人はさらに大好きだし、そんな中で生まれる人の可能性の限界を突破したような神業とかには感動しちゃうタイプだもんなあ。それが自分が見たこともない領域の、想像したことすら無い遥か高みの超絶技巧ならば尚更に。その意味では、シャルルのスタイルってもろに諸葉の好みドストライクなんですよね。
シャルルの人品の方も、初対面こそあれだったんで……というかあの性格は難儀すぎるだろう、この人。どれだけ偉そうな俺様なんだ、と思ったら本人悪気はないし、あの様子だと自分では謙虚で控えめだと思い込んでるんじゃないだろうか、あれ。誤解されやすい性格、というよりも誤解しかされない性格だよね、あれ。いやまあ、じゃあどんな人物なんだよ、と言われるともう死ぬほど面倒くさいですが。面倒くさすぎて、色々抉らせてしまった挙句に思い詰め果てて行き着くところまで行き着いてしまった、みたいな。ある意味、超絶真面目なんだよなあ。でも、その面倒臭さが、放っておけなさこそが、周りの人達に慕われ、付き従わせている要因でもあるのでしょう。ただ、その面倒臭さ、頑固さ、愚直さ故の脆さが周囲の側近たちに彼を支え守ろうと思わせた分、諸共道をハズしてしまった、とも言えるんですよね。一緒になって泥をかぶり、悪成す道を往こうとする方へと走ってしまった。この手の面倒くさい人は、真正面から叱り飛ばしてその思い詰めて余裕をなくしてしまっている所に冷静になって考えるだけの余地を生み出させる事が必要なのに、それを怠って、共依存になってしまったのが問題だったのか。多分、それを成すべき役割だったのが、シャルルのパートナーだったフラヴィだったのでしょうけれど、まさにその要を失ってしまったことが拍車をかけてしまったんだろうなあ。その役割を担える可能性を持っていたクロエは、優しくて情が深く良識的だった分、どうもこの人甘やかし体質だったみたいだしw

しかし、思っていた以上にランクS=規格外とランクAの間には大きな断絶がある。あくまでランクAって常識の範疇内なんですよね。諸葉を含めてこれまで出た六頭領の力量を見ると、果たして同じ「救世主(セイバー)」なのかと疑いたくなるくらい。その中で、シャルルのそれが常識の延長線上にある常識外であったことは、決してランクAの人間がランクSへと至るのは、可能性として絶無ではないのだ、という事を示してくれたわけで、その意味でもシャルルって希望の星なんですよね。それを踏まえて、というわけじゃないんだけれど、石動隊長が現状に満足せずに英雄に焦がれる少年のようにひたすらに諸葉の背中を追い続けている姿は胸を打つ。事実として、唯一殆ど彼だけがランクAからSへと至る階段に這い上がろうとしているわけだし。他には静乃が居るくらいか。人喰いの彼女は、力としては突き抜けているけれど、ある意味能力的には至っちゃっている気もするし。その意味では遥か後方にあるとはいえ、サツキもあの急成長っぷりをみると……。
尤も、分かりやすく規格外として存在する七頭領とは違う領域で、規格の外に逸脱している人たちも居るようで。丈弦先輩がまさにそれであり、また田中先生もどうやら思ってた以上に裏が深いご様子で。
ともあれ、石動隊長のカッコよさはぶち抜けてます。あまりに上を見る事に一途すぎて、どうもあの弟に足引っ張られそうなフラグも立ってるんですけれど。弟の方は改心も克己もせずに腐りっぱなしかぁ。

これまである意味、内輪同士での諍いだったのが、ついに単なる怪獣扱いだった<異端者>のもとてつもないのが現れて、しかも……という、次回に繋げるには盛り上がり十分のラストシーン。最後にドーンをイラスト持ってくるのは、気合入ってるのが透けて見えるなあ。
ここからが実は本番だった、というのなら美味しすぎます。アニメ化も相まって、今一番旬なシリーズになってきましたよっと。

シリーズ感想

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 55   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 5 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 5】 あわむら赤光/refeia  GA文庫

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『禁呪』VS『禁呪』の歴史的大激突!!

現世最大最凶の魔力《雷帝》ヴァシリーサへ挑め! ロシア支部戦争編、開戦。

「これが俺の戦争だ」

ロシア支部に運命を弄ばれた少女レーシャを救うため、諸葉はひとり日本を離れ、広大な帝国へ殴りこむ。

目指すはランクSの禁呪使い《雷帝》ヴァシリーサ。しかし最悪最凶と謳われる、ロシアの猛者たちが諸葉の前に立ちはだかる! 容赦なき連戦につぐ連戦。入り乱れる絶技と絶技。己の持てる全ての力を駆使し、諸葉は前進し続ける!! そして戦いは決戦の地「エカテリンブルグ」へ――。

『禁呪』と『禁呪』がせめぎ合う、歴史的大激突! 静かな怒りが天を喰らい、世界の形さえ変えていく。
美しき案内人と危険なロシアを往く、バトルカタルシス爆発の学園ソード&ソーサリィ第5弾!!

アンジェラさん、大好きじゃーーー!!

うははは、ヤバイ、やばいやばい、AJさんが好きすぎてもうどうにもタマラナイ!! なにこの人、最高に素敵すぎるんじゃないですか? エドワードの部下で、以前腕試しに襲撃をかけてきた女の人、というのも忘れてたくらいの人だったんだけれど、今回ロシアのヴァシリーサに戦争を仕掛けようという諸葉に、エドワードが案内人として送り込まれてきたAJさん。彼女と二人旅、と相成ったわけですが、これがもう最高の旅だったのでした。ロシアの各地を区管長として収めているヴァシリーサの部下である幹部連中を片っ端から打っ倒していく、という殺伐とした旅のはずなんだけれど、AJさんと諸葉のでこぼこコンビがいい味出しまくってて、なんだかひたすら楽しい気分の旅だったんですよね。というか、AJさんが良いキャラすぎますよ。新ヒロインというのもおこがましい、何というか人間として手放しで好感持てちゃう人なんですよね。エドワードの美人腹心というからには、もっとクールなキャラなのかと思ったら、完全人情系の姐御肌で態度も荒っぽい人だったんだけれど、人の良さが滲み出ちゃってて、どんなキツイ憎まれ口叩かれてもついつい微笑みが浮かんで来ちゃうのである。
諸葉がまたAJさんのこと大好きでねえ。この主人公、わりと人間そのものが大好きなタイプで、どんな相手でも長所を目にとめて好感を覚える人好きする性格なんだけれど、それでもAJさんへの好き好きっぷりはちょっと度を越しているんじゃないか、というほどだったんだけれど……わかる、気持ちわかるよ! AJさんは付き合えば付き合うほど好きになっちゃうよな!! これについては、もしAJさんが男だったとしてもこの好感度天盤は変わらなかったと思う。男とか女とか抜きにして、人間としてAJさんべた惚れよ。
諸葉の立場からしても、AJさんみたいな立ち位置の人って初めてだったんじゃないだろうか。頼れる先輩なんかは石動隊長をはじめとして、決して居ないわけじゃなかったんだけれど、諸葉が年下の男の子として裏表なく甘えられるような人というのは居なかったんですよね。AJさんはそそっかしいし柄は悪いし短気で怒りっぽい事この上ないんだけれど……凄くじゃれつきやすい人なんですよね。邪険にはしても突き放さないし、根本的に面倒見の良い人で、諸葉の凄味を身近で実感しその実力を肌で理解しながらも、いざという時彼を身を挺して守ろうとしてくれた人でもあるわけです。それも諸葉がどれほど強かろうが関係なく、庇護者として、弟を守る姐のように、全身全霊を込めて。
もうねえ、あの諸葉があまりにAJさんを好きすぎた挙句、懐いちゃって懐いちゃって。お前は、元気の有り余った大型犬か、というくらいAJさんにじゃれついちゃってるし。AJさんはAJさんで、ぎゃーぎゃー喚いて叱りつけながらも、満更でもなさそうだし。
今回はエドワードとのお遊びとは違う、ついにランクSと本気で対決するという緊迫の展開だったはずなんだけれど、肝心のヴァシリーサではなく全部AJさんが持ってっちゃいましたよ。完全にAJさん回。
ラストなんか見てたら、諸葉、アンジェラさんに頭上がってないですか。静乃をはじめとするヒロイン衆ですら、アンジェラさんの雷にはタジタジだし、もうこれはアンジェラ姉さんと呼ぶほかナイですねっ!
これほどの人を腹心として懐に抱えているエドワードの偉大さが初めてわかった気がします。
それに比べて、ヴァシリーサは能力とは裏腹にその人格の方は思いっきり欠落、というよりも未熟さが目立つ人物だったようで。正直、あそこまで酷い支配をしていながらあの処置は甘い方だとは思うんですけれど、まあもう立ち直れないくらいにベキベキに心折りまくったからなあ。敵は<異端者>であって、これは所詮身内同士の揉め事に過ぎないわけで、内輪もめで戦力を減らすわけにはいかないし、しょうがないのか。精神的に未成熟であった分、ある程度叩き直すことは出来そうですし。
しかし、ポイントポイントの展開の熱さは、やっぱり素晴らしい。痛快感がパないです。此処ぞという時に、思わず拳をグッと握りしめてしまうような、痒い所に手がとどくような行き届いた、そう望むべき所に望むものが、時にはそれ以上に想像を上回る熱量が降り注ぐようなシーンの数々、いやいや素晴らしいったらありゃしない。
クライマックスの盛り上がりときたら、最高潮もいいところでした。あくまで諸葉が突き抜けた強さを示しつつ、しかしそれ以外の周りを固めるキャラたちがまた活き活きとして活躍を欠かさないんですよね。諸葉の一人舞台にならず、みんながべらぼうにカッコいい。その上で、諸葉が最高にカッコいいという構図は、痛快さにかけては現行のライトノベル見渡しても、最高峰と言っていいんじゃないでしょうか。
こりゃ、この作品弾けるで。

1巻 2巻 3巻 4巻感想

聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉 44   

聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 4 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱〈ワールドブレイク〉 4】 あわむら赤光/refeia  GA文庫

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諸葉を狙う美しき《魔剣》の暗殺者――!!

ロシア支部の刺客・レーシャ襲来! 恐るべき《魔剣》の暗き光と、少女の横顔に見える影……。そして、遂に諸葉の《聖剣》が真の輝きを取り戻す!!
「灰村諸葉は身内に対して非情になれない。それが奴の死を招く――」
ロシア支部の密命を受け、留学生として諸葉の前に現れた美少女・レーシャ。彼女は"人喰い"の異名を持つ、対人戦のエキスパートだった。正体を隠したまま積極的にデートへ誘ってくるレーシャ。だが諸葉は彼女の破天荒なふるまいや、時折見せるひどく物悲しい眼差しに、語られざる残酷な掟を予感する……。

急襲、救世主殺しの救世主! 《魔剣》レプラザンの凶刃を受け止める、覚醒せし《聖剣》サラティガの真なる力とは――!? 美少女暗殺者と命懸けの通学路を行く、緊迫感最高潮の学園ソード&ソーサリィ第四弾!!
諸葉さん、あんたかっこ良すぎるじゃろう!! 一連のレーシャへの対応は元より、何より最後のあの行動でしょう。もう痺れたわー。なんつーかなぁ、この主人公って作中の登場人物たちにしても読者にしても、一番願ってやってほしい、と思っている事をズバンと叩き切るようにやってくれるんですよね。得てして、そういうやってほしい、と言うことは立場やしがらみ、常識や社会秩序、単純な力関係や圧力などからどうしても困難だったり、実行に障害があったりするものであり、それ以前に心理的にも足踏みしてしまうものなんですね。つまるところ、やって欲しいと願いつつも半ば無理だと諦めている。少なくとも、そこにたどり着くためには様々な多岐にわたる準備だとか辻褄合わせだとか、面倒くさい手順が必要になってくる、というのは否応なく理解してしまっているわけである。正義とは、正しくあるほど、善に近いほど身動きが取れなくなってしまうものなのです。
だからこそ……しがらみだのなんだのを全部すっ飛ばして、無視して、叩き潰して、許せないもんは許せないんだ! と正しき怒りを真っ向から理不尽にぶつけてくれることの、なんと痛快なことか。この痺れるようなカタルシスを果たして今どきどれだけ味わえるものか。

滾ったわ!!

いやあ、元々この諸葉くん、いわゆる俺つええ系主人公にも関わらず、肩肘張ってなくてスカした気障ったらしさもなく男女問わず好かれるタイプなんですよね。これだけ突出した力の持ち主なのに、ある種の特別感がなくって自然体なのです。周りの連中からも、気安い扱いを受けていますし、そういった関係を結べる人格の持ち主だったりするのですが、かといってやはり普通からは逸脱してるんですよね。ここぞという時の揺るぎのなさ、自分を持て余しておらず絶大な力そのものを制御下に置いている安定感。それでいて、こぢんまりしておらず荒々しいどこまでも膨れ上がるような雄大さもあって、とにかく頼もしいのなんの。それでいて、あの最後の果断さ、苛烈さ。惚れるわー、惚れ惚れするわー。
レーシャとの接し方も、半ば彼女が暗殺者とわかっていながら一緒に過ごしているのですが、なんていうかホント自然なんですよね。無闇におせっかいでもお人好しでもなく、過剰に何とかしてやろうとか思ってるんじゃなく、あの暗殺者とわかっていながらもそれはそれとして脇においておいて、本気で普通の友達として接してるんですよ、この子。
ロシア側としては、レーシャを身内として受け入れてしまえば諸葉は彼女を攻撃できない、と考えていたようですけれど、はっきり言って諸葉ってそういうレベルじゃないんですよね、これ。このニュアンスは読んでこそ理解できる範疇なんでしょうけれど、尋常じゃないですわ、彼。大物とかいう段階じゃないかも。こういう、よくあるシチュエーションだからこそ、諸葉という人物のパない器の大きさが見えた気がします。

お膳立てとしては、最高のシチュエーションになってきました。これは次回が楽しみすぎる!

1巻 2巻 3巻感想

疾走れ、撃て! 8 4   

疾走れ、撃て! 8 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 8】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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クリスマスイブの激戦の後、学生兵士たちは短い休暇となったが、帰る場所のない田神理宇は(そしてミヅキも)虎紅の采配で兵舎に残留することになる。総員がかりで駐屯地恒例?の正月の餅飾りのための餅つき大会をした過日の賑やかさも消え、兵舎の静けさに包まれたミヅキと虎紅は理宇の様子を気にかける。一方、兵舎を出た鷹乃や深冬たちは、束の間、家族との幸福な日常を噛み締めていた。ただし「第二級戦闘警戒態勢」発令中のために銃は携行していたが。――そして、残り少ない平穏な時間は終わろうとしていた。嵐を予兆させる第8巻!
加ww藤ww教www官www!! いかん、思わず草を生やしてしまった(笑
でもそれくらい、加藤夏華の求婚活動が決死戦すぎて、わらた。今回、理宇たちの人間関係や陸軍の政治勢力の激変など嵐の前の静けさながらも大きな動きが多々あったにも関わらず、なんか加藤教官の必死過ぎる戦いに存在感を全部持っていかれてしまった感がある。ミヅキと虎紅に加藤教官が、何甘いことちんたらやってんだ、恋愛に正々堂々なんて存在しねえ、勝利こそが正義だ、ありとあらゆる手段を駆使して恋敵を蹴落として目的の男を奪取するんだよっ、という趣旨の演説を泥酔しながら熱烈にぶってしまっていたシーンには、いろいろな意味で頭を抱えてしまった。
「洒落や冗談では決して無いんですけれども、ご苦労なさってらっしゃるンですね」
十代の少女たちにしみじみと気遣われてしまうアラサーw そんな風に気遣わないであげてっ!
いやあ、まだ夏華さん、そこまで焦るほど年齢的にも切羽詰まってないと思うんですけれど、相手があの伊達教官というラブコメ主人公もかくやという鈍感男となると、なるほどここまでデス・マーチを敢行しないと通用しないのか。加藤教官は、ぶっちゃけそこまで肉食系じゃなくむしろその挙措は控え目な女性だと思うので、そんな女性にあそこまでさせるという意味では、伊達教官も悪い男よのぉ。翌朝の、彼女のやり切った、という達成感に満ちた穏やかな笑顔には、もうこちらも満面の苦笑である。
「そ、その、じ、自分は何もするつもりはなく……」
「はい、何もしてないのは存じております」
 ほほえみを崩さないまま、夏華は続けた。
でも、あけまして、おめでとうございます、伊達教官」
わはははははは……年貢の納め時ですよ、伊達さん。

一方で、ついにラインを踏み越えて理宇に好意を伝えてしまったミヅキと虎紅。突然、身近な二人に告白され、猶予期間は与えられたもののどちらかを選べと迫られて追い詰められる理宇。いきなり、どっちか選べと言われてもねえ、そりゃあ困る。意外とちゃんと主人公がこういう決断を強いられる展開というのはなかったりするので、理宇がどうするかは興味津々ではあるんだけれど、同情も湧いてしまう。ミヅキと虎紅の二人についてはお互いに恋敵かつ戦友として交流を深め、今や敵というよりも親友という関係にまで深まり、散々気持ちも盛り上がっていたのに対して、理宇については彼女たちが自分に向ける感情については完全に青天の霹靂だったんですよね。身近に居たミヅキについては、勘違いから親友の裕也と交際していると思い込んでいて、異性として見ることを必死で避けていたわけですから、いきなりそれが誤解であり実は前から自分を好きだったと言われては、まず気持ちを整理するところから始めなければならず、精神的に何の準備も整っていなかったところに一人どころか二人両側面から完全奇襲ですから、もう為す術なしですよ、これは。それとなく、雰囲気が盛りがっていたならともかくねえ。ミヅキとしても、今回の告白は偶発的なもので、決して場が整っていたわけではなく、かなりなし崩しに開戦してしまった、という体たらくでしたから、虎紅がうまく状況を纏めてくれたとはいえ、これはややも拗れるかもしれません。
そう、もう悠長に構えている時間はないのですから。

決戦前の最後の猶予期間。中央では、陸軍は政治の季節真っ盛り。幸か不幸か、対立する溝呂木と馬上、この二人は権力志向の俗物ではなく、純粋に軍人として現状を打破する為に全力を尽くしている優秀な人物なのですが……。だからこそ、拗れているとも言えるのか。溝呂木中将も吸血鬼なんて異名とは裏腹に、学兵を気遣い権力の乱用を嫌う非常に健全で厳格な軍人ですし、馬上さんも派閥をつくらず公平に物事を判断する真っ当な軍人、そして軍人という枠を離れて一人の人間としてみると、二人とも優しい心を持ったとてもマトモな人間なんですが……優秀な司令官というのは、兵をうまく殺せるという意味でもあるんですよね。本当に大事な時、ためらうことはしないはず。それに、頭が健全であっても、カリスマであるということは下が信奉するあまりに暴走してしまうという事が多々あるわけで、その為に起こる悲劇が既に乱発されている。
誰が悪いというのではなく、各々が自分の信じた道を選び、断固として進軍している。その信じた道というのは決して大きく違っているわけではなく、ともすれば重なることもあるはずなのに、何故かどうしてかそこには対立や反発が生まれ、意味のない軋轢や誤解、暴走が介在してしまう。基本的に、どこにも誰にも独り善がりの野心や悪意は見当たらず、みんな悪い人じゃないだけに、一致協力できない現状というのはどうにももどかしくて仕方ない。
最後の理宇たちを助けに来た混成軍なんて、ある意味象徴的なんですよね。矛盾と錯誤のその先にある、人間としての純朴な有り様に殉じた結果としても。
何にせよ、生き残ることこそ肝心なのでしょう。本当の混沌は、まさにここからはじまるわけですから。

シリーズ感想
 

6月28日

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6月27日

浦上ユウ
(電撃コミックスNEXT)
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猫夜叉/亀小屋サト
(電撃コミックスNEXT)
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たくま朋正/伊藤暖彦
(電撃コミックスNEXT)
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綾村切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)
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結城鹿介/髭乃慎士
(電撃コミックスNEXT)
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幌田
(まんがタイムKRコミックス)
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6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
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鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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篠崎 芳
(オーバーラップ文庫)
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寺王
(オーバーラップ文庫)
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御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
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メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
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雨川水海
(オーバーラップノベルス)
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江口 連
(オーバーラップノベルス)
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和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
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KK
(オーバーラップノベルスf)
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雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
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6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
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志瑞祐
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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月見 秋水
(MF文庫J)
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三月みどり
(MF文庫J)
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花間燈
(MF文庫J)
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衣笠彰梧
(MF文庫J)
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常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
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ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
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疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
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九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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甘岸久弥
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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天ノ瀬
(MFブックス)
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ラチム
(MFブックス)
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櫻井 みこと
(MFブックス)
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御手々 ぽんた
(MFブックス)
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支援BIS
(KADOKAWA)
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藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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水無月すう
(角川コミックス・エース)
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鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
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御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
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人生負組
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
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黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
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村光/ベニガシラ
(ガルドコミックス)
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七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
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木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
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優風
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ) Amazon Kindle B☆W DMM


安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
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三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
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内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
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花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
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久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
(ヤングジャンプコミックス)
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
Amazon


東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
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佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
(ガンガンコミックスUP!)
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雨沢もっけ
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/松元こみかん
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
(ガンガンコミックスUP!)
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リキタケ/三木なずな
(ガンガンコミックスUP!)
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琴子
(SQEXノベル)
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猫子
(SQEXノベル)
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平成オワリ
(SQEXノベル)
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榛名丼
(SQEXノベル)
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蝉川夏哉
(宝島社文庫)
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貴戸湊太
(宝島社文庫)
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6月6日

智弘カイ/カズタカ
(KCデラックス)
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ippatu
(ヤンマガKCスペシャル)
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6月5日

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6月3日

いつきみずほ
(ドラゴンノベルス)
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夢・風魔
(ドラゴンノベルス)
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矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
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助野嘉昭
(ジャンプコミックス)
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ONE/村田雄介
(ジャンプコミックス)
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松井優征
(ジャンプコミックス)
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伊科田海
(ジャンプコミックス)
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権平ひつじ
(ジャンプコミックス)
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鏡貴也/山本ヤマト
(ジャンプコミックス)
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水あさと
(ジャンプコミックス)
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篠原健太
(ジャンプコミックス)
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針川智也
(ジャンプコミックス)
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時田時雨
(ジャンプコミックス)
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猗笠怜司
(ジャンプコミックス)
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佐々木尚
(ジャンプコミックス)
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賀来ゆうじ
(ジャンプコミックス)
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末永裕樹/馬上鷹将
(ジャンプコミックス)
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大須賀玄
(ジャンプコミックス)
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バブル製作委員会/肘原えるぼ
(ジャンプコミックス)
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三部けい
(角川コミックス・エース)
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長岡太一
(角川コミックス・エース)
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佐茂すけ/竹村優希
(角川コミックス・エース)
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関崎俊三
(角川コミックス・エース)
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封宝/富樫聖夜
(フロース コミック)
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此匙/浜千鳥
(フロース コミック)
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神栖みか/シロヒ
(フロース コミック)
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武シノブ/江本マシメサ
(PASH!コミックス)
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柳矢真呂/ぷにちゃん
(PASH!コミックス)
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深山キリ/もり
(PASH!コミックス)
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さーもにずむ
(PASH!コミックス)
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